中枢性筋弛緩薬afloqualoneのヒトにおける依存性の有無を検索する一法として, 本薬がヒトにおいてbenzodiazepine系薬物などの中枢抑制薬に類似する自覚的効果をもつか否かを, 年齢31~46歳の健常男子志願者8名を対象として, 3日間ずつ2回試験した.試験はdiazepamおよびplaceboを対照薬として用い, 二重盲検下に行った.本剤の割り付けは3日間ずつ2回のセッションのうち1回をafloqualone, 他をdiazepamおよびplaceboとし, afloqualoneセッションでは初日20, 2日目30, 3日目40mgを1日1回経口投与し, diazepam-placeboセッションではdiazepam5mgを初日もしくは3日目に1回経口投与した.本試験ではタッピング検査, クレペリン検査およびafloqualoneの血中濃度の測定も併せて実施した.その結果, 次の如き知見を得た.
1) Afloqualoneは20mg/1回 (常用量), 30mg/1回, 40mg/1回, diazepamは5mg/1回 (常用量) の投与でタッピング検査の上に筋弛緩作用が認められた.
2) Afloqualoneは, 大脳高次中枢には影響しないことが認められた.
3) 自覚的効果についてはdiazepamはPlaceboに比較し, アンケートI, II, IIIの項目のいくつかに統計学的に有意な肯定回答があったが, afloqualoneにはそのような傾向はほとんど認められなかった.好ましい自覚的効果の有無を質問したアソケートIVに対してはいずれの薬剤に関しても肯定回答はみられなかった.
以上の結果より, afloqualoneは常用量の倍量までの用量範囲では依存性に関連あると考えられる自覚的効果を発現せず, 本薬に精神依存性があることを示唆する知見は全く認められなかった.
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