本研究の目的は, 構造方程式モデリングを利用してブランド価値を表現する2次因子分析モデルにおいて, アジア全体に共通するモデルとそれぞれの国での違いを表現するモデルを同時に特定する方法について論じ, その有用性を検証することである.
株式会社日経BPコンサルティングが実施する, アジア12カ国における60のグローバル・ブランドのブランドイメージを調査した“ブランド・アジア”のデータを用い, モデルの母数推定にベイズ分析的なアプローチを適用する. 従来の手法ではアジア全体もしくは各国での違いのいずれかの分析しかできなかったが, 階層ベイズ法を利用することで両者を同時に分析することが可能となる.
また, 事前分布の超母数を積極的に解釈することにより, ブランド価値のアジア全体における普遍性とそれぞれの国での多様性の比率を明らかにし,2次因子分析モデルにおける不安定な指標を特定することも可能となる.
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