EM アルゴリズムは, 欠測を含む観測データから最尤推定値を求める反復法として広く用いられており, 収束の安定性, 適用モデルの汎用性, さらにプログラミングの容易性などの優れた性質を有している. その一方で, 収束の遅さが弱点として指摘されてきた. これは, EM アルゴリズムが線形収束することによる. 線形収束する反復法から生成されるベクトル列の収束を加速する方法として補外法があり, その1つに vector
ε アルゴリズムがある. 本論文では, vector
ε アルゴリズムにより EM アルゴリズムの収束を加速する
ε-accelerated EM アルゴリズムと, この加速法に re-starting step を組み込むことで収束スピードの改善を図る
εR-accelerated EM アルゴリズムを示す. 数値実験により, これらの加速アルゴリズムの性能を比較・検証する.
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