計算機統計学
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33 巻, 1 号
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原著論文
  • 万 可, 谷岡 健資, 南 弘征, 下川 敏雄, 水田 正弘
    2020 年 33 巻 1 号 p. 1-28
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/08/13
    ジャーナル フリー
     医学研究では, リアル・ワールド・データ (real world data) に代表されるビッグデータを用いて, 新規治療が既存治療に比べて顕著に有効な部分集団を抽出する方法, すなわち, サブグループ抽出法 (Subgroup identification method) が注目されている. これらの研究では, CART (Classification and Regression Trees, Breiman et al., 1984) などのプロダクション・ルールで解釈可能なモデルに基づいて提案されているものが多く, 生存時間データに対する方法も例外ではない. 例えば, Negassa et al. (2005) は, 比例ハザード・モデルの治療×共変量の交互作用に対して樹木モデルを仮定し, RECPAM (Ciampi et al., 1988, 1991; Ciampi & Thiffault, 1988) のアルゴリズムのもとでモデルを構築している. また, Kehl & Ulm (2006) は, Bump Huntingの1つであるPRIM法 (Patient Rule Induction Method; Friedman & Fisher, 1999) に基づいて新治療に対するresponderを抽出している (以下, SPRIM法と呼ぶ). さらに, Lipkovich et al. (2011) は, ルール・ベースでの再帰的アルゴリズムを用いてサブグループを抽出する方法, すなわち, SIDES (Subgroup Identification based on Differential Effect Search) 法を提案している. ただし, これらの方法では, サブグループ内における新治療と既存治療の比例ハザード性を仮定しなければならない. 一方で, 免疫チェックポイント阻害剤などの臨床試験では, 治療群間の比例ハザード性の仮定を満たさないことは広く知られている.
     本論文では, 比例ハザード性の仮定を満たさない場合にも適用可能なBump Hunting法を提案した. そこでは, 治療効果の評価基準にサブグループの境界内平均生存時間 (RMST : Restricted Mean Survival Time) の差を評価基準に用いた. RMSTに基づく生存時間PRIM法の有用性を文献事例により提示し, 性能を数値検証により評価した. その結果, RMSTに基づく生存時間PRIM法はSPRIM法およびSIDES法に比べてRMSTが高いサブグループを適切に捉えることが示された.
総合報告
  • 山本 由和
    2020 年 33 巻 1 号 p. 29-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/08/13
    ジャーナル フリー
  • 今田 一希, 船山 貴光, 山田 実俊, 山本 義郎
    2020 年 33 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/08/13
    ジャーナル フリー
     本研究では, ヘアサロンチェーン店から提供された2年間分の顧客情報とPOSデータを用いて分析し, 店舗の利益向上のための提案を行った. まずRFM分析を用いて顧客のサービス利用の特徴を分類した. 次に, サービスによって施術時間が異なることから, 顧客の1時間当たりの会計額に注目し, Hourlyという指標を提案した. これをRFM+H分析として提案し, 店舗ごとに顧客の購買傾向を分析した. さらにそれを使った分類から, RFM+Hによる顧客分類の再定義を行った. そして以上を用いた, 顧客の郵便番号と利用店舗の関係, 提供データを2つの期間に分けた場合の同じ顧客の顧客分類の推移について分析した. 最後にRStudioで分析結果のインタラクティブな可視化を行うShinyアプリケーションを作成し, 考察を行った.
  • 陶山 瑞樹, 山本 由和
    2020 年 33 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/08/13
    ジャーナル フリー
     本稿では, 顧客の来店を促すことを目的として, ヘアサロンチェーンの ID 付 POS データに含まれる, 顧客情報と会計情報の可視化と予測を行った. このために開発したソフトウェアとこのソフトウェアによる結果について述べる.
     可視化の目的は, 顧客情報と会計情報の傾向を把握することである. 対象のデータでは, 顧客をグループに分けて分析できることが分かった. そこで, 会計時の情報からその顧客のグループを予測して, そのグループに応じてお勧め商品の提案や次回来店時期の予測などを行うようにした. 顧客グループと次回来店時期の予測は深層学習, お勧め商品の提案は協調フィルタリングを使用した.
  • 阿部 興, 佐藤 由起奈, 作村 建紀, 鎌倉 稔成
    2020 年 33 巻 1 号 p. 49-57
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/08/13
    ジャーナル フリー
     事業者が顧客との関係を管理する上で, 顧客の再度の来店や, 来店する頻度にどのような要因が寄与しているか見極めることで, 施策の改善や評価が行える. 本研究では, 顧客の来店間隔にマルコフ再生過程を仮定し, ある確率で来店というイベントの生起が停止するモデルを提案する. これは顧客の定期的な来店と, その停止 (離脱) という現象をモデル化したものである. 来店間隔の具体的な分布としてはワイブル分布を用い, 顧客の離脱に関してはベルヌーイ分布を用いる. そして, 顧客の離脱と来店間隔の分布の双方に対して回帰型の分析を行い, 両者に影響を与える変数について, 回帰係数とその信頼区間という解釈しやすい情報を提供する. パラメータ推定の安定性はシミュレーションによって確かめる. 提案するモデルの有用さと予測精度はヘアサロンの顧客データの分析から示される.
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