熱測定
Online ISSN : 1884-1899
Print ISSN : 0386-2615
ISSN-L : 0386-2615
26 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 赤間 美文, 兵藤 秀樹, 田中 誠之
    1999 年 26 巻 4 号 p. 125-129
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    1-フェニル-3-メチル-4-プロピオニル-5-ピラゾロンとAl,Ga,Inとの錯体を合成し,それらの熱的および分光学的性質について調べた。錯体を元素分析したところ,金属1モルに対してと配位子が3モルの割合で結合していることが分かった。熱分析の結果,錯体の分解が始まる温度はAl-C3 > Ga-C3 > In-C3の順に低くなり,イオン半径の最も小さいAlイオンを中心金属とする錯体が,最も熱的に安定であった。さらに,Al,In錯体を示差走査熱量測定(DSC)したとき各試料に観察された2本の吸熱ピークは,混在している幾何異性体の融解によるものと考えられる。
    これら三種の錯体のIRスペクトルにみられる1600cm-1と1490cm-1付近のピークは,それぞれキレート環のC=OとC=Cの伸縮振動によるものであり,中心金属のイオン半径が小さな錯体ではこれらのピークは高波数側にシフトしていることが明らかとなった。
  • 田中 晶善, 小川 ひとみ, 妹尾 啓史, 小畑 仁
    1999 年 26 巻 4 号 p. 130-135
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    黄色ブドウ球菌ヌクレアーゼの再生過程を,本酵素の蛍光強度増大を指標としてストップトフロー法により観測した。pH1.6から6.7へのジャンプに関し,三相が観測され,それぞれの見かけの速度定数k1,k2,およびk3(k1 > k2 > k3)と遷移相の熱力学諸量を評価した。最も速いk1-相には,小さい活性化エンタルピー変化と大きい負の活性化エントロピー変化が伴った。酸性領域において急激に小さくなったが,k3はほぼ一定であった。k1-相とk2-相は脱プロトン化過程を反映しているものと考えられる。
  • 田中 晶善, 苅田 修一, 小菅 芳栄, 妹尾 啓史, 小畑 仁
    1999 年 26 巻 4 号 p. 136-140
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    黒麹かびグルコアミラーゼの澱粉結合ドメインフラグメント(Thr507-Arg616; 以下WT)と,そのCys509をグリシンとセリンに置換した二種のアミノ酸置換タンパク質,C509GとC509Sを遺伝子工学的手法によって調製した。これらの熱変性を断熱型DSCによって観測し,ジスルフィド結合が熱変性パラメータに与える効果を調べた。pH7において,いずれのタンパク質も単一の吸熱ピークを示し,C509GとC509Sの変性のピーク温度は,いずれもWTに比較して約9℃低下した。野生型の変性の中点温度 (52℃)で比較すると,これらのアミノ酸置換タンパク質は変性のギブズ自由エネルギー変化で8~9kJ mol-1不安定化した。三種のタンパク質とも,天然状態において部分的に二量体化していると推定された。
  • 吉田 博久
    1999 年 26 巻 4 号 p. 141-150
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    示差走査熱量測定(DSC)とX線回折(XRD)ならびにフーリエ変換赤外分光測定(FTIR)との同時測定法の概要と,高分子の結晶化過程を同時測定で測定した場合どのような情報が得られるかを,ポリエチレンテレフタレート(PET)を例にガラス状態ならびに溶融状態からの結晶化過程について解説した。DSC-XRD同時測定からは,近距離秩序ならびに長距離密度ゆらぎと長周期構造などの空間秩序が,結晶化発熱のどのような段階で形成されるかを,またDSC-FTIR同時測定からは,分子鎖コンホメーションの秩序化が結晶化発熱ならびに空間秩序形成とどのような関係があるかを知ることができる。同時測定からPETの結晶化メカニズムは次の様に考えられる。π電子相互作用によって芳香環のスタックが起こり,分子鎖の配向が始まり,これによって長距離密度ゆらぎが生じる。この過程が結晶核形成過程である。次に結晶化発熱の大部分を占める,エチレン鎖のコンホメーション秩序化と乱れた短距離秩序形成ならびにπ電子相互作用が働くb軸の秩序化が起こる。この過程が結晶成長過程となる。その後,a軸方向の秩序化とコンホメーションの整合が起こり,長周期が形成される二次結晶化過程となる。ガラス状態からの結晶化と溶融状態からの結晶化では,核形成過程で形成される長距離密度ゆらぎの大きさと,二次結晶化過程で起こるコンホメーションの整合過程に相違が観察される。
  • 1999 年 26 巻 4 号 p. 151-152
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
feedback
Top