部分相溶系であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とイソタクチックメタクリル酸メチル(
isoPMMA)のブレンドの等温結晶化過程と融解過程をDSC-FTIR同時測定で検討した。PVDFのTGTG'(α型)とT3GT3G'(γ型)コンホメーションのCH
2横揺れ振動に帰属される795と810cm
-1の吸光度を各結晶型の結晶化指標として用いた。等温結晶化初期にはα型が生成し最大値を示した後,γ型が生成した。α型とγ型のIR吸光度変化の関係からα-γ転移のメカニズムを検討した。PMMA組成が0.2以下のブレンドではγ型はα型からの固相転移で生成したが,PVDFでは固相転移に加えて過冷却液体から直接γ型が結晶化することが明らかになった。等温結晶化後の昇温速度では多重融解ピークが観察され,各ピークはα型の融解,α型の融解・再結晶化で生成したγ型の融解ならびに等温結晶化過程で生成したγ型の融解であることがわかった。
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