熱測定
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34 巻, 4 号
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  • 西 義則, 内山 進, 小林 祐次
    2007 年 34 巻 4 号 p. 152-158
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    4(R)-Hydroxyproline(HypR)は蛋白質全体では稀なアミノ酸であるにも関わらず,天然のコラーゲンには頻繁に存在する。HypRはコラーゲンの三本鎖構造の熱安定性に貢献することが知られている。これまでに一連のポリトリペプチド(X-Y-Gly)10[X, Y: Pro, HypR, or 4-フルオロプロリン(fPro)]を用いてコラーゲンの三本鎖構造の安定化機構を調べる研究が精力的に行われてきた。DSC解析によって三本鎖から一本鎖への転移に伴う熱力学量を求めることにより,エンタルピー項が主として(Pro-HypR-Gly)10の熱安定性に寄与しているのに対して,(Pro-fProR-Gly)10や(fProS-Pro-Gly)10ではエントロピー項が主に高い熱安定性の要因であることが示された。溶液内で実測された分子体積と結晶構造より得られる固有体積の値との比較から,この違いはペプチドの水和の違いに起因することを明らかにした。
  • 八田 一郎, 中西 加奈, 太田 昇
    2007 年 34 巻 4 号 p. 159-166
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    皮膚角層は皮膚のバリアー機能や水分保持機能において重要な役割を果たしている。角層は角層細胞と細胞間脂質で構成されているが,とくに細胞間脂質はこれらの機能を主として担っている。そのような観点から細胞間脂質集合体がつくる構造を明らかにすることは重要な課題である。われわれは小角広角X線回折像の温度依存性の測定と示差走査熱測定を行い,それら結果を解析することにより,二つのラメラ周期構造と二つの炭化水素鎖の充てんの間の関係を明らかにした。それに基づき,化粧料や経皮吸収剤の開発の応用研究を分子レベルで展開できると考えている。
  • 日高 千晴, 松下 裕亮, 滝沢 武男
    2007 年 34 巻 4 号 p. 167-174
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    蛍光体材料として着目されているアルカリチオガレートおよび同族化合物の単結晶作製を目指し,これらの化合物の熱的特性を調べた。この化合物の作製において,2元化合物合成の際に生ずる生成熱と未反応の硫黄により蒸気圧が上昇してしまうことが化合物合成の妨げとなっていた。2元化合物を初期原料として用いることにより,高温での硫黄の蒸気圧および化合物の反応熱を抑えられることが示差熱分析(DTA)の測定によって明らかとなった。さらにDTA測定と粉末X線回折測定から,単結晶作製の際に必要な状態図を作成した。この図により溶融法による単結晶作製が可能であることが示された。化合物によっては,過冷却の制御のために坩堝の形状を工夫し,一度融解した化合物の一部を固化して種結晶を形成することによって光吸収測定に耐えうる良質の単結晶作製に成功した。
  • 永沢 基, 川路 均, 東條 壮男, 阿竹 徹
    2007 年 34 巻 4 号 p. 175-181
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    BaTi1-xZrxO3の相転移とリラクサー挙動を主に誘電率測定,断熱法および緩和法熱容量測定により調べた。BaTi1-xZrxO3の誘電率測定では,チタン酸バリウムに存在する三つの相転移がx=0.35以上でリラクサー挙動へと変化することが確認されたものの,熱容量にはリラクサー挙動に対応する熱異常が観測されないことが明らかになった。典型的な鉛系リラクサーであるPbMg1/3Nb2/3O3(PMN)などと比較した結果,鉛系リラクサーでは秩序-無秩序型の相転移が凍結していると考えられるのに対して,BaTi1-xZrxO3系ではTiイオンなどのBサイトイオンの変位が凍結していることが示唆された。このことからBaTi0.65Zr0.35O3では変位型の相転移が凍結しているのではないかと考えられる。一方,x=0.80以上では新たな誘電分散が観測され,Zr4+マトリックス中でのTi4+周りの局所歪みによる分極形成の可能性が示唆された。
  • 2007 年 34 巻 4 号 p. 182-184
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
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