BaTi
1-xZr
xO
3の相転移とリラクサー挙動を主に誘電率測定,断熱法および緩和法熱容量測定により調べた。BaTi
1-xZr
xO
3の誘電率測定では,チタン酸バリウムに存在する三つの相転移が
x=0.35以上でリラクサー挙動へと変化することが確認されたものの,熱容量にはリラクサー挙動に対応する熱異常が観測されないことが明らかになった。典型的な鉛系リラクサーであるPbMg
1/3Nb
2/3O
3(PMN)などと比較した結果,鉛系リラクサーでは秩序-無秩序型の相転移が凍結していると考えられるのに対して,BaTi
1-xZr
xO
3系ではTiイオンなどのBサイトイオンの変位が凍結していることが示唆された。このことからBaTi
0.65Zr
0.35O
3では変位型の相転移が凍結しているのではないかと考えられる。一方,
x=0.80以上では新たな誘電分散が観測され,Zr
4+マトリックス中でのTi
4+周りの局所歪みによる分極形成の可能性が示唆された。
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