熱測定
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33 巻, 1 号
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  • 山岸 明彦
    2006 年 33 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2006/01/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    自然界には低温の場所が多く,そこに生息する低温菌から低温適応酵素が得られている。低温適応酵素は低温で充分な活性と充分な基質結合能を持ち,耐熱性が低いという特徴を持っている。酵素の低温適応機構を研究するために,好熱菌酵素を材料として低温適応酵素を進化工学的に作成する実験を行った。得られた低温適応酵素は基質(補酵素)結合エンタルピー変化と活性化エンタルピー変化が共に減少していた。それによって低温での高酵素活性を実現していた。低温適応酵素の中には高い耐熱性を保持したまま低温での活性が上昇したものがあった。この実験結果は,耐熱性と低温での高活性が両立するということを示す結果である。しかし,これがどの程度一般性を持つかという点については今後の研究が必要である。全生物の進化の過程で超好熱菌から低温への適応が起きたことが明らかになりつつある。従って,好熱菌酵素を基にした進化工学的低温適応実験は,生物の進化を再現する実験といえる。
  • 片桐 千仭
    2006 年 33 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 2006/01/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    脂質はタンパク質や糖質とともに生物を形づくっている。生物の生息環境下で固・液の相転移が容易に起こりうることがタンパク質や糖質と異なる脂質の特色である。昆虫は熱帯を起源とし,地球上に広く分布している。変温動物の昆虫が寒冷地でも生息できるようになった要因を脂質に着目して私たちは探ってきた。エネルギー源であるトリアシルグリセロール,生体膜のリン脂質,体表の炭化水素について,相転移の回避や利用を昆虫がおこなっている例を報告する。
  • 奥田 隆
    2006 年 33 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 2006/01/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    ネムリユスリカの幼虫はアフリカ半乾燥地帯の岩盤の窪みなどにできた小さな水たまりに生息する。乾季になり水たまりが干上がると,幼虫はカラカラに乾燥するが,次の雨で水たまりに再び水が張ると吸水して1時間以内に発育を再開する。実験室内で48時間以上かけてゆっくり乾燥させた幼虫は,水に戻すとすべてが蘇生したが,数時間で急速に乾燥させた幼虫は蘇生しなかった。前者のゆっくり乾燥させた幼虫の身体には,乾燥重量の20%に相当する大量のトレハロースが蓄積しており,さらにそれがガラス化していることがわかった。一方,後者の急速乾燥させた幼虫体内からはわずかなトレハロースしか検出されなかった。脳を除去したネムリユスリカ幼虫をゆっくり乾燥させた後に水に戻したところ,蘇生した。また,幼虫から摘出した組織を培養下で乾燥させ,水に戻したところトレハロース合成能を持つ脂肪体(脊椎動物の肝臓に相当)については蘇生した。このことからトレハロース合成を含む乾燥休眠の誘導に中枢神経が介さないことがわかった。
  • Nurul Karim, Shun-ichi Kidokoro
    2006 年 33 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2006/01/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    Isothermal titration Calorimetry (ITC) has become a powerful method for evaluating enzyme kinetics, as it provides a way to detect catalytic reaction heat as a function of time with high sensitivity and reproducibility. This review focuses on both established and newly emerging methodologies for evaluating the kinetics of enzyme-catalyzed reactions. Because it allows direct determination of the reaction rate, which itself indicates enzyme activity, ITC is expected to provide a general and effective way to evaluate enzyme activity. The theoretical basis of ITC for evaluating enzyme kinetics is reviewed, as demonstrates the advantages of this method.
  • 2006 年 33 巻 1 号 p. 36-38
    発行日: 2006/01/31
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
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