比較眼科研究
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26 巻
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原著
  • 金井 一享, 印牧 信行, 吉野 晃, 和田 泰則
    原稿種別: 原著
    2007 年 26 巻 p. 13-18
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2013/09/11
    ジャーナル フリー
    見込みのある抗炎症物質の薬理学的評価のためのエンドトキシン誘発ブドウ膜炎モデルとしての実用性を調べるために、Sprague-Dawleyラットにサルモネラのエンドトキシンを硝子体接種し眼内炎症を誘発した。眼内炎症は、対照のラットも同様に、リポポリサッカライド(LPS)接種前0時間(無処置眼)と接種後3、12と24時間の房水中の浸潤細胞数、蛋白濃度、プロスタグランジンE2(PGE2)と一酸化窒素(NO)レベルを測定することで評価した。LPS硝子体接種24時間後の細胞浸潤数(82±32.1x105 cells/ml)は、それぞれ無処置眼(0±0x105 cells/ml)あるいはPBS硝子体接種(0.1±0.2x105 cells/ml)と比べて有意に上昇した。蛋白濃度は、無処置眼(3.8 ± 1.9 mg/ml)と比べてLPS接種後3時間(12.4 ± 3.3 mg/ml)、12時間(15.5 ± 7.6 mg/ml)と24時間(14.1 ± 1.5 mg/ml)で有意に上昇した。一方、PBS硝子体接種後の蛋白濃度は、3時間(10.9 ±3.2 mg/ml)と12時間(6.0 ± 0.9 mg/ml)で有意に上昇し、24時間後(5.3 ± 0.9 mg/ml)に減少し、無処置眼(3.8 ±1.9 mg/ml)と比較して有意差を認められなかった。LPS接種群と対照群のそれぞれの時間の有意差は、硝子体接種後12時間と24時間で認められた。PGE2とNO濃度は、硝子体LPS接種後12時間から無処置眼(348.9 ± 200.8 pg/ml and 179.8 ± 47.5 μmol/ml)より有意に高く、24時間後に最高値であった(949.5 ± 218.6 pg/mlと407.6 ± 59.7 μmol/ml)。一方PGE2とNO濃度は、無処置眼(348.9 ±200.8 pg/mlと179.8 ± 47.5 μmol/ml)と比べてPBS硝子体接種後12時間(762.1 ± 148.7 pg/mlと272.3 ±10.8 μmol/ml)で有意に上昇した。これらの結果は、PBS接種による炎症仲介指標の値は、無処置眼と比べて有意に上昇しているために、硝子体処置の影響は、12時間後まで存在することを明らかにするものである。しかしながらLPS接種後24時間のすべての炎症指標は無処置眼あるいはPBS接種と比較してそれぞれ有意に上昇していたので、眼内炎症のこのモデルは、見込みのある抗炎症物質の評価のために適しているかもしれない。
症例報告
  • 小林 幹英, 河田 英司, 青木 豊彦
    原稿種別: 症例報告
    2007 年 26 巻 p. 19-24
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2013/09/11
    ジャーナル フリー
    非臨床安全性試験の背景データ収集のために当研究所に導入した60匹(雌雄各30匹)のCrlj: CD1 (ICR)マウスのうち、雌の1匹に対して実験中に過誤により右眼に外傷を負わせた。経時的に観察した結果、受傷時(第1病日)に眼窩からの出血、眼球突出、角膜混濁がみられ、第3病日から眼球の小型化(萎縮)、第6病日から前房出血及び著しい水晶体混濁が観察された。このうち、眼球萎縮と水晶体混濁は剖検を行った第28病日まで継続した。組織学的検査の結果、眼球内各全組織の変性がみられた。このことから本症例は眼球癆と診断され、その発症は受傷後5日以内と考えられた。外傷による眼球癆は、医学的には多くの報告があるが、実験用マウスにおいても同様の所見が確認された。
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