デジタルアーカイブ学会誌
Online ISSN : 2432-9770
Print ISSN : 2432-9762
5 巻 , s1 号
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第6回研究大会予稿
口頭発表
  • 藤岡 洋
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s1-s4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    編集を経ないが故にアーカイブの「原秩序尊重の原則」あるいは資料としてのリニア性が担保されている学術調査で記録される動的映像資料だが、編集を経る他の動的映像と比べ極めて冗長である。そのため「何のために記録されたか分らない」「無駄な部分が多い」と後生の研究者によって畏避されてこなかっただろうか。本稿は、冗長と見なされる部分を含む動的映像がなぜ記録されたのか、その理由ないし目的を探る。するとこうした動的映像の冗長性の一部は撮影者の「技巧」によって生み出され、分析・活用に欠かせない「痕跡」であることがわかる。

  • 山本 純子, 濱田 陽人, 新名 佐知子, 中里 正行
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s5-s8
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    デジタル・アーカイブで画像データを公開する有用性は高いが、画像に有用なメタデータを付与するために、発信者は多大な労力を要している。しかし、近年、人工知能技術による画像認識の進化が目覚ましく、さまざまな成果も報告されていることから、すでに流通している画像認識技術と、ブラックリストとホワイトリストを掛け合わせることで、画像データに対するメタデータ付与の省力化の実現性を調査した結果を報告する。検証手法として、スポーツに関連する画像データを先に50枚選定し、人工知能技術による流通ソフトに対象画像を認識させ、そこで認識されたラベルから、人手によりスポーツ分野の「ホワイトリスト」「ブラックリスト」を定める。その後、スポーツ関連画像データを読み込ませ、それをブラックリストとホワイトリストの内容に応じて自動振り分けした結果と、今後の発展性を報告する。

  • 佐藤 洋一, 衣川 太一
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s9-s12
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    占領期のパーソナル写真は、アメリカ人など外国人が撮影された写真がデジタルアーカイブとして紹介されているが、撮影場所などの明確なキャプションがないものが大半である。また戦災による被災箇所を写した都市部の写真も一定数存在し、都市史的にも貴重だが、撮影地点が同定されず、写真史料としての限界を作っている。こうした限界を打開する方法はないか。本稿では占領期のパーソナル写真を事例として、写真撮影地点の同定作業を進めるための一般的な方法的枠組みを提示することを試みる。

  • 佐藤 雅也, 柊 和佑, 山本 明, 柳谷 啓子
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s13-s16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    近年ではヴァーチャル・リアリティ(以下VR)技術の発展により容易にVRコンテンツに触れることが可能になった。現在流通する3Dモデルのアバター(以下アバター)現在流通するアバターの数は少なく、製作するか配布・販売しているものを利用する必要がある。将来的に個人の所有するアバターの数が増えることが予想できる。また、VRサービスが一般化することで、従来の“わかっている”利用者以外が経済圏に参入してくる。その際、アバターは洋服的な“着替える”対象になり、感情や気分、体調といった要因で選択されることが考えられる。そこで、今後の利用者及びアバター自体の増加に対応できるように、洋服を選ぶようにアバターを蓄積し、検索、装着などの広範な利用方法を検討する必要がある。

    本稿では、ファッションの分類を参考に、価格や3Dモデル特有のポリゴン数などの要素を追加した、アバターのアーカイブ化について提案を行う。

  • 前川 道博
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s17-s20
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    地域資料のデジタルアーカイブ化は、知識循環型社会の進展において極めて重要な課題である。学習者が必要とする知識・情報源に思うがままにアクセスし、参照データを活用して学習成果を公開する学習をここでは「キュレーションモデル」と呼ぶことにする。MALUI連携はその支援策として期待されるものであるが、制度的な壁、慣習的諸条件により連携にすら至れないのが実情である。本研究で提起するキュレーションモデルは、学習者が主体となり、MALUIが収蔵する一次資料などを調査に利用しつつデジタル化を進めることにより、デジタルコモンズ上に自らデジタルアーカイブ化した資料を蓄積公開するものである。講座「公文書利用で始める地域学講座」でその試行評価を行った。

  • 安永 知加子, 柊 和佑, 山本 明, 柳谷 啓子
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s21-s24
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は、中部大学の放送研究会が約20年にわたり大学や地域の情報を番組化した映像と付随する情報の組織化を行い、利活用しやすい映像アーカイブをつくることである。本システムは、これらの映像番組を地域情報資源と捉え、映像だけでなく関係する各種情報資源をも収集素材としている。実際にアーカイブ化を進めたところ、大学という組織単位で制作される番組は一定のゆるやかなポリシーに添いながらも、時期により種々の原因で変化していることがわかった。本発表では、カット単位で検索可能なメタデータスキーマとシステムの作成および検索手法の実装を進めつつ、その過程で得た大学組織及び放送研究会単位のポリシーの変化に関する知見を解説する。ポリシーの変化にはドキュメントから読み取れる場合と、読み取れない場合が存在する。今回は、ポリシーを利用するために、組織内動画アーカイブを作成する際に関係する2種類のポリシーについて解説を行う。

  • 宮田 悠史
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s25-s28
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    我が国の「デジタルアーカイブ」草創期において、文化資産のデジタル記録とアドバタイジングで「地域振興」を図る動きが自治体で進んだ。しかし、それら自治体によるデジタルアーカイブの全てが地域振興、とりわけ筆者が注目する「地域の経済振興」に関連するとはいいがたい。

    本研究では、自治体による映像アーカイブと地域における経済振興の関係に注目し、過去(草創期)に構築された自治体による映像に重点を置いたデジタルアーカイブ(上田市デジタルアーカイブ、石川新情報書府、Wonder沖縄)の性質と、地域に与えた経済振興に関する効果について整理する。その後、それらの関係に関する分析をとおして、地域経済振興に資する自治体における映像アーカイブの性質について仮説を生成する。ただし、本発表は当該研究の前半部分を対象とし、事例の性質と地域に与えた効果について特徴的な事項を整理するものである。

  • 皆川 雅章
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s29-s32
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    地域文化デジタルアーカイブ化の将来の担い手を養成する目的で,2020年度から関連科目を開講している。専攻コースを持たず,人文系・社会科学系の履修者が混在している講義の中で地域文化やデジタルアーカイブへの関心を高めさせる工夫を試みた。本報告では,2020年度開講科目「デジタルアーカイブ論」において行った「地域文化に目を向けさせ,デジタルで記録を残すことの有用性を実感させる」取り組みについて記す。筆者がデジタルアーカイブ化を目的として撮影を行ってきた北海道郷土資料のデジタルデータに解説を付して「今週の画像」として履修者に毎回の講義で紹介した。使用したデジタルデータと履修者によるベスト3選定結果を記す。

  • 中川 源洋, 中嶋 謙一, 平野 和弘
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s33-s36
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    RGB-Depth(深度)カメラシステムは、カラー情報とカメラからの距離情報を同時に取得する技術である。本システムを用いれば、舞踊などの無形文化財や美術展の空間そのものを3次元データとして記録することができる。

    従来技術では、再現できる鑑賞視点に制限があったり、立体物の表示に制限があるといった課題があった。本技術は、少ない視点から撮影しそのデータをツールに入力することだけで3次元データを作成するものである。取得した3Dデータは自由視点で映像再現するので、実際の展覧会場で作品鑑賞に近い体験の提供が可能となる。また取得データは空間のもつ情報をすべて包含していることから、作品そのものの映像情報だけではなく、作品の展示順番や作品同士の距離など情報を含み、展覧会場のアーカイブに適している。

    本発表では、山形ビエンナーレ2020での展覧会場の3次元データ化実験事例を中心に3次元データの活用可能性に関して報告する。

  • 小川 直人
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s37-s39
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    宮城県仙台市にある複合文化施設せんだいメディアテークで、特定非営利活動法人20世紀アーカイブ仙台と協働して2013年から実施している展覧会『どこコレ?――教えてください昭和のセンダイ』は、場所・年代等が不明の写真を展示し、鑑賞者の記憶をもとに複数の証言を集めることによって特定していく参加型の展示、あるいは、調査手法とも言える取り組みである。これは現実空間での集合知の活用例と捉えることができ、その簡便さとは裏腹に、従来活用できなかった写真・映像を特定していく有効な手法である。また、さまざまな世代・属性の来場者間のコミュニケーションを促す機会ともなっている。

  • 高橋 良平, 中川 紗央里, 徳原 直子
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s40-s43
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    国の分野横断型統合ポータル「ジャパンサーチ」は、我が国の幅広い分野のデジタルアーカイブのメタデータを集約し、多様なコンテンツをまとめて検索・閲覧・活用できるプラットフォームである。ジャパンサーチでは、コンテンツの二次利用を促進するため、分かりやすい利用条件の表示等に取り組んできた。本発表は、ジャパンサーチの活用事例と機能について紹介した上で、ジャパンサーチ上の二次利用条件整備の取組を解説するとともに、データのオープン化に向けた課題及び事例について報告するものである。

  • 時実 象一
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s44-s46
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    COVID-19によって引き起こされた様々な事象をデジタルアーカイブとして記録する試みが世界中でおこなわれている。これらについてウェブ調査を行った結果を報告する。

  • 岑 天霞, 渡邉 英徳
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s47-s50
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,社会環境の変化によって,災害をテーマとしたフィクション映画のレビューの変化を捉えることである.そこで本研究は,ネットから感染症・災害をテーマとした映画のレビューを収集し,テキストマイニングによって可視化分析する.例として,2011年のアメリカ映画『コンテイジョン(Contagion)』のレビューを対象に,ワードの出現頻度の比較する関数に基づいた色付けを導入してワードクラウドの可視化分析下.この上で,「COVID-19」の感染拡大の状況と重なって比較分析を行い,手法の有用性が確かめられた.

  • 北本 朝展
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s51-s54
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    自然災害やパンデミックのようなクライシスが発生し、その状況が時々刻々と進展するのに伴って、社会の状況を記録した膨大なニュースが生成される。このようなニュースのデータをコーパスとして蓄積し、その分析機能を備えたアーカイブを構築することは、ジャーナリズムの成果を社会の分析と歴史の研究に活用するための基礎的な情報基盤となる。本研究は、筆者が構築する3つのクライシス・ニュース・アーカイブとして台風、東日本大震災、COVID-19を取り上げ、このような大規模テキストコーパスの「読み方」を探求するための方法を比較検討する。またそこから読み取れるクライシスごとの特徴やクライシス間の比較についても予備的な結果を述べる。

  • 堀内 暢行, 橋本 陽
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s55-s58
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本報告では、日本で実践事例が見られない電子メールの長期保存対策について、ePADDを利用する方法を解説し、その有用性を明らかにする。ePADDはスタンフォード大学によって開発されたOpen Source Software(OSS)である。独自の自然言語処理(NLP)機能が備っており、電子メールの評価選別、整理、検索、提供という4つのモジュールから構成されている。電子メールは、ISO 15489に準拠したElectronic Document and Records Management System(電子文書・記録管理システム、EDRMS)から独立したシステムで作成され、そのまま保管される場合がほとんどである。その結果、記録管理のライフ・サイクルから外れ、秘匿すべき情報、メタデータおよびフォーマットの管理が行き届かず、将来の保存と利用が危ぶまれることになる。この対策として、ePADDの4つのモジュールが有効であることを示すとともに、日本語の環境での使用が難しい現状を課題として挙げ、その解決の道筋を論じる。

  • 阿部 卓也
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s59-s62
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    アーカイブ構築に関する構想力は、常にその時代ごとの技術水準に規定されている。本報告の目的は、アーカイブの歴史を、テクノロジーからの影響や相互作用という視点で読み直すことである。特にアナログ的な「複製技術」の進展が、近代以降の日本で、文書資料を中心とするアーカイブ構築活動をいかに支えてきたかを考察する。漢字仮名まじりで必要文字数が多い日本語文書の複製においては、明治以降、ゼリーグラフや謄写版など「イメージを複製するテクノロジー」が主流になるという、世界的に特異な展開があった。そこから青写真、青焼き、PPC、マイクロフィルムなどへと至る20世紀末までの技術の変遷が、文書館や図書館でのアーカイブ構築活動とどう響き合ってきたかという問題を整理する。その上でデジタルアーカイブの現状を、そうした過去の文脈から断絶・飛躍したものではなく、連続したものとして捉えることを目指す。

  • 小山 真紀, 荒川 宏, 伊藤 三枝子, 平岡 祐子, 柴山 明寛, 井上 透
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s63-s66
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    災害アーカイブぎふは、地域で起きた災害の写真や記録などの資料をデジタル化して格納することで、資料の逸散を防ぐこと、そして、格納した資料を活用したワークショップを提案することで、地域の記録と記憶の継承を促す取り組みを進めてきている。これまでは、対面型ワークショップが主体であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、オンラインワークショップの提案と試行を行った。提案したオンラインワークショップは、災害アーカイブぎふのホームページ上で運用している簡易的なGISを用いて、当該地域の地図とハザードマップ、災害時と現在の写真を確認し、当時の状況を振り返り、参加者全員で共有し、現在同様の水害が起きたらどの時点で何をすべきか。について検討する事で、マイタイムラインを作成することをゴールとした。試行は2回行っており、1976年9.12豪雨災害について実施したものと、2000年東海豪雨について実施したものである。

  • 大井 将生, 渡邉 英徳
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s67-s70
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は、探究学習における児童生徒の「問い」とデジタルアーカイブ資料を接続・構造化することである。そのための手法として本研究では、児童生徒の「問い」に則して主体的に資料を収集するキュレーション授業と、クラスメイトとの協働的なキュレーションを支援する機能を設計した。次いで小学校及び中学校において長期的な授業実践を行い、学習指導要領に則した評価基準に基づいて手法の妥当性を検証した。本稿ではとりわけ、本研究が提案する協働キュレーション授業を支援するジャパンサーチの「ワークスペース機能」の活用法について述べる。

  • 林 和弘
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s71-s74
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本発表では、ラウンドテーブル「デジタル公共文書を考える-公文書・団体文書を真に公共財にするために-」の開催(2021/1/12 オンライン開催)の登壇内容とその後の議論をもとに、公共文書を含む公共データの利活用に関して、知識生産を中心とした観点から議論する。具体的には、社会科学のデジタルトランスフォーメーション、シビックテック、シチズンサイエンスの取り組みを用いて議論し、デジタルアーカイブ活動が今後目指すべき方向性について考察する。特に、オープンサイエンス政策における議論と、その一つのテーマであるシチズンサイエンスの変容で起きている現象を引き合いに社会的に影響のある公共データの利活用においては情報の非対称性から生じていたアウトリーチと監視の関係から一定の緊張関係を維持した双方向性の協働への変容が予察されることを述べる。

  • 東 修作
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s75-s77
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    博物館や図書館等の機関が所蔵作品のデジタルコピーを公開するオープンアクセスの動きを後押しする上で、二次利用の状況や効果を把握することが重要である。本稿では、公開されたコンテンツをウィキメディア・コモンズにインポートして二次利用をしやすくし、実際にこれを利用した例やアクセス数の調査結果を報告する。

  • 齊藤 有里加, 堀井 洋, 堀井 美里, 小川 歩美
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s78-s81
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    東京農工大学学芸員課程では、所蔵学術資料を用いたキュレーション教育の実践開発を行っている。今回実習生を対象とし、COVID-19流行下での新たな視点での実習として、ジャパンサーチ内の新機能「「ワークスペース機能」を活用した演習を行なった。授業は(1)学生への操作手法のレクチャー、(2)各自のテーマに基づく仮想ギャラリー構築、(3)ギャラリー発表とディスカッションを行った。その結果、画像の検索と共有作業おいてデジタル化資料活用における手順についての理解が深まり、従来の博物館実習中では十分に取扱えなかった点の補完的効果を示した。以上からオープンリソースを活用する上での資料の引用、公開手法に関する理解を深め、デジタルと実物への活用展開の議論を深める事を可能にしたと言える。本実践は新たなキュレーション教育モデル事例として有効であり、今後の遠隔授業における参考事例となるものである。

  • 加藤 諭, 福島 幸宏, 宮本 隆史
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s82-s85
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本報告は、デジタル時代において研究者の蔵書や資料が「アーカイブ化」されるという事態の意味を、それらの資料の蓄積自体の系譜に着目し、歴史的文脈に位置付けることを目的とするものである。近代以降、日本では様々な経緯から、研究者資料の収集保存が進められ、アーカイブされてきた。一方で、近代以降、現在までの間に、在野、アカデミアそれぞれの分野において研究者の資料群が如何なる要因で保存され、それがデジタル化されることになったのか、そのインセンティブや背景を比較することはこれまで十分検討されてこなかった。そこで、本報告では、図書館、博物館、アーカイブズ等、様々な機関で取り扱われてきた研究者の資料群の保存の経緯、および21世紀以降デジタルアーカイブとして公開されるに至る過程を複数の事例から分析し、デジタル時代において「アーカイブ化」されることの意味を、その歴史的系譜を踏まえて考察する。

  • 永崎 研宣
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s86-s89
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    デジタルアーカイブの議論の場においては、前提となるデジタルアーカイブのあり方が相互に共有されていないために発展的な議論や合意形成に達することが難しいという状況が散見される。現在のところ、解決策は議論に参画する人々同士の相互理解に委ねられており、議論への新規参入が難しいという状況にもつながっているように思われる。

    このような状況は、議論に参加する人々の負担に配慮しつつ改善する必要がであり、そのためには議論の基盤を何らかの形で形成していく必要がある。本発表では、デジタル・ヒューマニティーズでの関連する議論を参照しつつ、議論の基盤形成のための方策について提案する。

  • 城所 岩生
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s90-s93
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    EUは2019年に「デジタル単一市場における著作権指令」を施行。デジタルコンテンツが域内で自由に流通するデジタル単一市場をめざした指令は、拡大集中許諾制度を採用。集中管理団体が著作権者に代わって著作権を管理する集中許諾制度はメンバーのみが対象だが、これをノンメンバーにも拡大するのが拡大集中許諾制度。利用者は権利者を探し出す手間が省けるため権利者不明の孤児著作物問題の有効な解決策になる。米国でも導入の動きはあったが、グーグルの書籍検索サービスに対する訴訟でフェアユースが認められたため、フェアユースで対応可能とする意見が多く見送られた。欧米とも日本の裁定制度が採用する強制許諾制度については、要件が厳しいためデジタルアーカイブのような大規模デジタル化計画には向かないとして採用せず。韓国ではECLの導入を含む著作権法大改正の動きが具体化している。こうした状況から日本もECLの導入を早急に検討すべきである。

  • 井関 貴博
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s94-s97
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    教育コンテンツはデジタルアーカイブにとって重要な領域であり、COVID-19禍による遠隔授業の拡大で、その重要性はさらに増したと言える。一方、大学の授業では、教員は教科書を利用せず、学術・専門書など商業出版物のコピーや、図表類再利用による自作スライドを教材とする傾向が強まっている。これは、教員・研究者にとって良きパートナーと言える商業出版界の収益基盤悪化を招きかねず、大学として憂慮すべき状況と考える。本稿はこの課題解決の一助としての可能性を探るべく、教科書・参考書(電子版)をサブスクリプション方式で利用を試みた実験授業の報告である。

  • 筒井 弥生
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s98-s101
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    アメリカ・アーキビスト協会ミュージアム・アーカイブズ・セクションは、2003年に承認されたミュージアム・アーカイブズ・ガイドラインについて、ここ2,3年改訂を検討してきた。2021年1月、最終案を公表、協会全体から意見を募集している。最終案の内容を紹介し、現ガイドラインとの比較によってアーカイブズ界の変化を捉えたい。

  • 長坂 俊成
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s102-s105
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    東日本大震災から10年目を迎え、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科は「復興過程を振り返り未来を構想する」ことをテーマとして、Webラジオアプリ(スマートフォンの音声アプリ)を用いて、被災当事者はじめ被災地支援にかかわった方々のナラティブを番組として記録・配信しアーカイブする取り組みに着手した。コミュニティベースのWebラジオに声を投稿するというオープンな音声アーカイブのプラットフォームの可能性を模索するものである。オーラルヒストリー(oral history)は聞き手と語り手の関係の中で語られる内容や語られた事実の評価も異なることがあるが、Webラジオベースのオーラルヒストリーは、実証科学の厳密な方法論としてではなく、個人の生の一回性としてナラティブを共有することや、歴史的事実に新たな解釈や深い洞察を可能とするメタな視座を与える営みでもあり、ボーンデジタルの時代における音声による人類史のアーカイブとして位置付けられる。

  • 木村 涼
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s106-s109
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    旅をしていた五代目市川海老蔵(=七代目市川團十郎)は目を患い、その治療のため、駿河国富士郡神谷村(現静岡県富士市)の眼科医伊達本益の元を訪れた。これを契機に海老蔵と伊達家の交流は、やがて家族ぐるみへと発展していった。伊達家には、市川團十郎家から送られた資料や海老蔵、八代目が伊達家を訪れた時に使用していた資料が残されていることが、これまでの調査で判明している。これらの資料の内、市川家から伊達家に送られた70通余りの書状のデジタルアーカイブの現状についてはすでに紹介している。そこで本報告では、市川團十郎家から贈られた錦絵資料について注目し、それらがどのくらい残されていて、どのような状態で所蔵されているのかを述べ、調査状況及びデジタルアーカイブの進捗状況について報告する。

  • 二重作 昌満
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s110-s113
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では、2020年初頭より我が国で「COVID-19」の感染が拡大したことに伴い中止された現地開催型イベントに代わって、国内にて台頭するようになったアニメ・特撮の「オンラインイベント」に焦点を当てた研究を行なった。具体的には、各映像制作会社によるオンラインイベントに参加する閲覧者の行動特性の類型化を実践した。その結果、特撮・アニメを誘致資源としたオンラインイベント閲覧者の行動特性は、現状では「①ショー観賞型」、「②展示型」、「③購入型」、「④その他」の4種類あることが確認できた。また、これらオンラインイベントは国内での「COVID-19」の感染収束後も、現地開催型イベントへの参加が叶わなかった希望者に向けた発信を継続することによって、イベント運営側も現地開催とオンラインの2つの媒体を通じたより多くの収益の回収が見込まれることから、今後も現地とオンライン開催を両立する形でのイベントの継続が見込まれることが考察できた。

  • 中西 智範
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s114-s117
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    早稲田大学演劇博物館は、舞台芸術分野の情報検索サイト「Japan Digital Theatre Archives」[1](以下JDTA)を2021 年2 月23 日に公開した。演劇・舞踊・伝統芸能分野を対象とし、公演記録映像と公演関連情報を収集・アーカイブ化し、その情報を検索できるWeb サイトとして機能するものである。本発表では、JDTA の設計から制作、公開までの実践内容を報告するとともに、舞台芸術分野における情報検索の仕組みを提供することの意義や、実践により明らかになった課題や将来の展望等について考察する。

  • 関口 敦仁, 河村 陽介
    2021 年 5 巻 s1 号 p. s118-s121
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル オープンアクセス

    1998年から2003年まで、建て替えのために資生堂ギャラリーが閉じられている間にネットワーク上でのサイバーギャラリーとして「資生堂CyGnet」が開催され、7グループの作品が公開された。参加アーティストはEastEdge、朝岡あかね、エキソニモ、ミリッツァ・トミッチ、JODI、doubleNegatives、近森基+下村知央など。当時の展示プログラムやデータは企業には現存しておらず、作家の持つデータやプレスリリースなどの公の資料のみとなってしまっている。1990年代に始まったネットワークによる様々な表示情報のアーカイブは、今後の社会研究においても重要度は増してくるだろう。本論では、「資生堂CyGnet」の展示アーカイブ事業を通して行ったデータ収集や復元作業から、発生したネットワーク作品におけるアーカイブの課題や対応について、実例を交えながら検証を行い。2000年前後のネットワーク作品アーカイブについての課題や今後のネットワーク作品やコンテンツに対する課題に対する提案を行う。

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