デジタルアーカイブ学会誌
Online ISSN : 2432-9770
Print ISSN : 2432-9762
6 巻, 3 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
特集:ビヨンドブックの可能性
  • 渡邉 英徳
    2022 年6 巻3 号 p. 117-119
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/10/05
    ジャーナル オープンアクセス

    本特集では、デジタル環境の利点を活かして「電子書籍」を越えることを目指した「Beyond Book (BB)」プロジェクトについて解説する。1990年代から開発が開始されたeBookは「電子書籍」として普及しているとはいえ、デジタル化・ネットワーク化の利点を十分に活かすことができていない。そこで本プロジェクトでは、電子書籍の先にある新しい知識形態のプロダクトとして「BB」の開発を目指した。本特集は5部で構成される。第1〜4部においては、BBプロジェクトのコンセプト・要素技術について解説する。第5部では、BBプロジェクトの後継となる「新しい本」プロジェクトの方針と現状について述べる。

  • 柳 与志夫
    2022 年6 巻3 号 p. 120-122
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/10/05
    ジャーナル オープンアクセス

    書籍とインターネット情報源のメリットを最大限生かし、そのデメリットを最小化した、デジタル時代にふさわしい新しい知識構成体「ビヨンドブック(BB)」の開発に取り組んだ。そのために先ず過去の開発事例及びその問題点をレビューした。またそれを実施するための研究チームを、多様な分野からの人材で編成した。図書や資料が図書館やアーカイブの中核をなすように、デジタルアーカイブにとって、将来BBがコンテンツの中核を担うことが期待される。

  • 柳 与志夫, 久永 一郎, 前沢 克俊
    2022 年6 巻3 号 p. 123-126
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/10/05
    ジャーナル オープンアクセス

    ビヨンドブック(BB)の機能として、デジタル文化資源のもつオープン化・ネットワーク化・インタラクティブ性、マイクロコンテンツ化など5つの要件を可能な限り取り入れた。利用形態としては自分の専門外で仕事・趣味・生活上の有用な知識を得る手段となること、利用者としては新しい知的潮流に関心のある若いビジネスパーソンを想定した。BBの利用継続性を担保するための収益モデルの可能性についても検討した。これらの要因を満たすためのコンテンツとして講談社ブルーバックスシリーズの「お酒の科学」4冊をテキストデータ化した。最後にBBプロトタイプ制作のための制作フローを設定した。

  • 美馬 秀樹, 中村 覚, 中澤 敏明
    2022 年6 巻3 号 p. 127-130
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/10/05
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では、ビヨンドブック(以下、BBと略)機能を支える要素技術の設計と開発について述べる。BBのプロトタイプ制作にあたっては、必要な要素技術について検討を行い、実験、評価を目的として可能なものの実装を進めた。具体的には、1)コレクション機能、2)カテゴライズ機能、3)テーマ抽出機能、4)マイクロコンテンツの最適配置機能、5)コンテンツ間のリンク推定機能、6)インターネット情報の取り込み機能、7)翻訳/著者と読者の共同編集機能、及び8)ユーザーアクションからの自動知識獲得機能、が挙げられる。これらの技術はいずれもデジタルアーカイブ全体の機能向上に役立つことを念頭において設計し、開発を進めたものである。

  • 野見山 真人, 谷川 智洋
    2022 年6 巻3 号 p. 131-137
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/10/05
    ジャーナル オープンアクセス

    書籍やWebコンテンツの膨大なデータをもとにユーザの好奇心をサポートする知識体験プラットフォームBBのプロトタイプをUI/UX設計を重視して制作した。BBのUI/UX設計では、「知りたいことから体系的に学べる」「遊び感覚で好奇心を育める」「書籍とWebコンテンツを横断できる」という3つの知識体験を設計して、新しい知識体験の形態を模索した。BBのユーザは知りたいことをモバイルアプリで調べることで、書籍やWebコンテンツに裏付けされた知識を体系的に学びながら徐々に好奇心を育てることができる。このような知識体験のUI/UX設計は、デジタルアーカイブの利用形態全般に応用可能であり、デジタルアーカイブに含まれる知識コンテンツを楽しみながら系統的に学ぶことをサポートする。

  • 渡邉 英徳
    2022 年6 巻3 号 p. 138-142
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/10/05
    ジャーナル オープンアクセス

    ここまでに解説してきた「Beyond Book」は、2017年から2021年に掛けて活動した、東京大学大学院情報学環における「DNP学術電子コンテンツ研究寄付講座」の成果である。この講座は、2022年度より「講談社・メディアドゥ新しい本寄付講座」としてリブートした。新講座では、これまでに得られた成果を活かしつつ、未来社会における“新たな読書体験”を提供する「新しい本」を開発し、社会実装することを目指す。そこで、「SFプロトタイピング」「アート思考」「デザイン思考」「ロジックモデル」「センスメイキング」など、ボトムアップかつバックキャスティング的な手法を取り入れた活動を開始している。本稿では「新しい本」プロジェクトの狙いと取り入れる手法・現在の状況について説明する。

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