コロナ禍における経済支援を目的に2020年にスタートしたEPAD(Emergency Performing Arts Archive and Digital Theatre)。3年が経過し、アフターコロナを迎え、事業の取り組みと展望を述べる。舞台芸術のインフラ整備事業として、舞台芸術映像をデジタル化し、専門家が配信可能化の権利処理をサポートすることで、上演団体の収益力向上に寄与すること、そして、舞台芸術を文化遺産として可能な限り残し社会全体で享受できること、結果的に次のクリエイションにつなげられるようなエコシステムを目指している。
近年、国内では舞台芸術分野のデジタルアーカイブへの注目が高まっている。本稿では、早稲田大学演劇博物館が1990年代から行ってきたデジタルアーカイブの活動から、Japan Digital Theatre Archives公開までの過程を紹介するとともに、他のデジタルアーカイブとの比較を通じて、舞台芸術分野のデジタルアーカイブの課題や期待について展望する。