ダム工学
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17 巻, 1 号
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論文
  • 谷 茂, 福島 伸二
    2007 年 17 巻 1 号 p. 5-26
    発行日: 2007/03/15
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    老朽化したフィルダム堤体の補強, 漏水防止あるいは嵩上げなどの改修時の断面構造は, 既設堤体が有する安定性や遮水性, 使用する築堤土の強度・遮水特性, 基礎地盤の水理的安定性と止水特性, さらに既設堤体が置かれた地形や流域などの条件を多面的に考慮して決められてきた。そこで, 本論文はこれまでの実施されてきた改修事例で採用された堤体構造とそこで考慮された各種条件を調査し, 改修断面を堤体軸の上・下流側への移動量により分類し, 堤体改修を行う場合の基本的な考え方や設計・施工上の留意点について検討したものである。
  • 今村 瑞穂, 日野 徹, 芳地 康征
    2007 年 17 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 2007/03/15
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    ダム貯水池の操作において, 「貯水位を一定に保つ“定水位操作”は簡単である」との一般的な認識がある。しかしながら, 現場実務的には解決されるべきいくつかの問題点が確認されている。本稿では, 定水位操作を水理学的観点から分析して, これらの明らかにされた問題点に対して改善方法を提案するものである。具体的には「定水位操作は微分方程式系においては減衰振動方程式と同じ形態である」ことを説明するとともに, これら減衰振動方程式の体系の中から, 信頼性のある定水位操作システムを提案し, いくつかの切り口から評価を加えたものである。
  • 田代 幸英, 大内 周, 森 二郎
    2007 年 17 巻 1 号 p. 39-53
    発行日: 2007/03/15
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    アスファルト表面遮水壁タイプのダムや調整池においては, カットオフや取水口, 洪水吐きなどのコンクリート構造物と遮水壁を適確に接合させ, 水密性を確保することが要求される。アスファルトとコンクリートの境界面に外力による滑動や剥離が発生した場合, 境界面付近の遮水壁のひずみが増大し遮水壁に亀裂を生じる事例が報告されている。本論文は, アスファルト表面遮水壁とコンクリートとの接合部の構造を, 小丸川発電所上部調整池工事において, 材料試験や現場舗設試験で検証した結果を実施工で実証することにより, 接合部の最適な設計, 施工方法を提案するものである。
報告
  • 深谷 壽久, 岡本 幸久, 城 敬治, 竹尾 敬三
    2007 年 17 巻 1 号 p. 54-64
    発行日: 2007/03/15
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    矢作ダムでは, 放流水における濁水の長期化およびアユ遡上期における冷水放流が問題となっていた。この対策として, 濁水防止フェンスの設置と選択取水設備の運用の見直しを計画した。ただし, 一般的な分画フェンスの設置では改善効果が小さいため, フェンスの一部に浮沈式を採用し, 出水後清水化した流入水をダムサイト表層に導き効果を高めることとした。本報告は, 浮沈式フェンス設置にいたった経過と設備について報告するものである。
  • 山本 光利, 玉井 信行
    2007 年 17 巻 1 号 p. 65-75
    発行日: 2007/03/15
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    本報告においては, 辰巳ダム計画における葛藤の推移を分析し, 葛藤管理の重要因子を抽出した。葛藤が上昇し膠着している時期は, 当事者の間に対話の場がなかった。さらに, 技術的な争点が明瞭でなかったことを指摘できる。葛藤管理に関する社会的・技術的要因の分析から, 「地域の歴史と伝統」という統一概念の導入と既存の2貯水池を含む革新的な流域管理体系の樹立が, 葛藤の安定化をもたらしたと結論づけられる。これに基づき, 辰巳ダム計画における教訓から, 葛藤管理において普遍的に重要である因子を明らかにした。
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