地球環境時代の川とその環境の難問題のいくつかを掲げたい。
まず、地球環境時代は生物との共生の時代でもあるが、野生生物と共生することは大変難しい。先進国ですら開発と保全がバランスしていない反省が起こっている。
次に人為的な変化の環境に与える影響が、10年あるいは20年たって初めて現れることである。
第3に世界の川との付き合いの中で、川の環境問題を難しくしている点に気がついた。
水は透明できれいでなければならないという感覚は日本文化の特徴である。また、この水に対する日本民族の感覚が急速に進む都市河川の汚濁にプレーキをかけた。
ガンジス川の流域に住む人々と中国の人々との間には、汚濁に対するブレーキ機能に大きな幅があるように思う。
川に対してそれぞれの民族がもっているブレーキ機能のレベルの違いが、実は環境問題を国と国との間で解決するための合意の亀裂になっているのではないだろうか。
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