ダム工学
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9 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 松尾 豊史, 西内 達雄, 金津 努, 上田 稔
    1999 年 9 巻 1 号 p. 4-12
    発行日: 1999/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    中部電力 (株) 所有のJダムで実施した現場実験結果に基づき, 既設アーチダムの常時挙動に対する検討を行った。堤体の鉛直ジョイント部は, 貯水位の低下に伴ってダム軸方向に開く方向に変位を生じ, 上下流ずれ方向と鉛直ずれ方向にはほとんど変位しないことがわかった。また, 堤体下流面に観察された微細なひびわれは, 水位低下による開口はほとんどないことも確認した。さらに, 計測結果と解析結果の比較から, 水位低下に伴い堤体は全体的に上流側に変形し, 天端部よりは標高中段部の方が大きく上流側へ変形する傾向があることなどを明らかにした。
  • 成田 国朝, 山口 雅弘
    1999 年 9 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1999/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    締固めた粘性土は, 先行圧縮効果により過圧密粘土に類似した力学特性を示すことが知られている。本論文では, 締固め試験, 一軸圧縮試験, 定体積一面せん断試験, 三軸圧縮試験を行い, 締固めた粘性土の先行圧縮応力とせん断強度, 変形パラメータとの関連を把握した。さらに, 盛土斜面の非線形FEM解析を行い, 締固めた粘性土の先行圧縮応力とすべりの形状, 安全率との関連について検討した。
  • 荻原 国宏, 川上 高嶺, 奥村 克司, 遊道 義憲
    1999 年 9 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1999/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    長径間のシェル構造ローラゲートでは, 微小開度において自励振動を起こすことが報告されている。自励振動の発生範囲は, 水圧による梁の変位を考慮した上での, ゲート下端からの流量が最大になる水位以上の領域であるとされている。本実験では, 姫川第六発電所洪水吐きの下流傾斜形シェル構造ローラゲートの実機を用いて微小開度における振動実験を行い, 設計段階での理論上の自励振動発生範囲と実際の振動発生範囲を比較することができた。その結果, 振動発生範囲については, ゲートのたわみを起因として振動が発生するという理論とよい相関を示すことが確認された。
  • 武藤 光, 菊地 宏吉, 平野 勇, 水戸 義忠
    1999 年 9 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1999/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    岩盤中に存在する節理等の不連続面から成る空隙にグラウトミルクを注入し充填する, いわゆるグラウチングにおけるグラウト充填メカニズムに関しては, 未だに解明されていない点が多いのが現状である。本論文では, 実際の施工現場におけるグラウチング用設備を用いて, ボーリング孔を模擬した透明アクリルパイプに不連続面を模擬した透明フッ素樹脂チューブを接続し製作した透明管供試体にグラウトを注入し, グラウト充填メカニズムに関する検討を試みた。その結果, グラウチングにおいて機械的に制御可能なグラウト注入圧力・注入速度・グラウト配合に関し, これまでおもに経験的にしか捉えられていなかった数値について, 適正値や限界的数値の存在を見出した。さらにグラウト充填メカニズムに関するモデルを提案し, 定式化を試みた。
  • 徳楠 充宏, 大友 譲
    1999 年 9 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1999/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    わが国においては, 層状岩盤にダムが建設されることが多いが, 層状岩盤はダム基礎や斜面に地質工学的な問題を生じることがある。ダム基礎の問題としては, 層理面や片理面が緩く下流側または上流側に傾斜する場合, これらの不連続面はダム荷重に対して弱面となることがある。また, 斜面の問題点としては, 掘削や貯水に際してすべり面となることがある。筆者は, 層状岩盤に建設中のダムにおいて, これらの地質工学的な問題に直面し, 対応方法をさまざまに検討した。その検討方法の一部を本文にて報告する。
  • 佐藤 勝, 西田 博, 上阪 恒雄, 荒井 外茂治
    1999 年 9 巻 1 号 p. 47-59
    発行日: 1999/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    宮ヶ瀬ダムで原石採取に用いた堅坑方式は, ダム工事で3例目だが, 大容量 (堤体積約200万m3) でかつ表土と廃棄岩の搬出も行ったのは本事例が初めてである。竪坑は鉛直1本 (径6m×110m) と斜坑2本 (60度, 径6m×113m, 132m) である。竪坑掘削は導坑+下向拡幅で行ったが, 安全で施工性に優れていた。原石採取では, 軽微な閉塞が2回あったが, 対策を十分に実施したことによりほぼ計画どおり行えた。竪坑方式は, 大容量, 急傾斜地の場合に効率的で安全性に優れ, 周辺環境の保全にも有効な方法である。
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