日本歯科衛生学会雑誌
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18 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
Review article
  • 西 真紀子, 安達 奈穂子, 品田 佳世子, 仲川 隆之, ドーベン ビルクヘッド
    2023 年18 巻1 号 p. 28-42
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/04/08
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    目的:加工でんぷんスナック製品(PSSP)の過剰摂取や,う蝕を含む過体重関連疾患への影響に懸念が高まっている。本ナラティブレビューは日本のPSSPを取り上げ,PSSPとう蝕に関するエビデンスの評価を目的とする。

    対象および方法:事前設定したシステマティックサーチの包含基準を満たす過去20年以内に出版された論文で個人の蔵書を更新した。合計75の文献を要約した。

    結果:本レビューでは,デンプンの構造などを概説し,PSSPのう蝕原性,評価方法,影響を及ぼす行動因子を考察した。PSSPのう蝕原性を生物学的利用能,停滞性,摂取頻度の3つに分類した。多くのPSSPにも認められるデンプンと糖の組み合わせは,糖単独より高いう蝕原性を示す。う蝕は多因子性疾患だが,食事因子自体も多因子で,それらを2要因に分けた。後者の要因(食べ方)の方が重要である。このため,最近の日本人のPSSPへの嗜好の高まりや不健康な食行動の蔓延は口腔保健に悪影響を及ぼす可能性がある。加えて,PSSPは便利で美味しく,手軽なエネルギー源として宣伝され,健康に良さそうな添加成分が,脱灰と酸蝕を促進することもある。

    結論:PSSPは,高い生物学的利用能,長い歯面停滞時間,高い嗜好性により,う蝕と関連している。日本の歯科衛生士は,う蝕リスクを包括的に管理し,PSSPがう蝕を含む過体重関連疾患に影響することについて患者教育を行う必要がある。

資料
原著
  • 浅枝 麻夢可, 破魔 幸枝, 原 久美子
    2023 年18 巻1 号 p. 46-54
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/04/08
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    【目的】オーラルフレイル予防を目的とした口腔機能向上プログラムに関する報告は,数多く見られる。これらは主に,指導型の健康教育が行われており,参加者が主体のプログラムに関する報告は少ない。本研究では,参加者交流型の口腔機能訓練は,トレーニングの継続および口腔機能向上に有効であるという仮説を基に,一般社団法人グッドネイバーズカンパニーが開発した,スポーツ感覚で楽しめる参加者交流型の「くちビルディング選手権トレーニングプログラム(以下,KTP)」に着目し,その有効性を検証した。

    【対象および方法】対象は,地域に在住する65歳以上の女性高齢者である。対象者は初回に,「くちビルディング選手権」への参加,口腔機能の測定・評価,質問紙調査を行い,その後4週間,「くちビル自主トレーニング」を実施し,初回と4週間後の各項目について比較した。

    【結果および考察】全プログラムに参加できた者31名(平均年齢70.9±4.0歳)を解析対象とした。最大舌圧,開口力,努力性肺活量,最大呼気流量について,4週間後では有意な差が認められ,トレーニングの実施率は95.2%であった。感想の内容から単語頻出度の解析を行った結果,名詞「意識」が1位だった。

    【結論】地域在住女性高齢者に対して実施したKTPは,トレーニングの継続および口腔機能向上に効果があり,オーラルフレイル予防のプログラムとして有効である可能性がうかがえた。

  • ―継続した歯科受診の有無による比較―
    浪花 真子, 平田 幸音, 船原 まどか, 吉野 賢一, 久保田 浩三
    2023 年18 巻1 号 p. 55-62
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/04/08
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    本研究の目的は高齢者に対して唾液検査,咀嚼能力検査,口腔に関するQuality of life(QOL)の調査を行い,継続した歯科受診の有無による比較を行うこと,さらに歯周炎マーカ―と咀嚼能力の関係を明らかにすることである。某大学附属病院口腔保健科にて,歯周治療を受けたのちメインテナンスおよびSupportive Periodontal Therapy(SPT)を2年以上継続受診している高齢者102名を受診群とし,福岡県在住で定期検診のために1年以上歯科を受診していない高齢者30名を非受診群とした。唾液の性状を調べるために,多項目唾液検査システム(AL-55)を使用した。さらに,被験者に主咀嚼側でグミゼリーを20秒間咀嚼させ,咀嚼能力を測定した。その結果,受診群は非受診群と比べて唾液のpHが高く,唾液中のタンパク量が少なく,う蝕と歯周病のリスクが低いことが示された。被験者の口腔関連QOLを調査した結果,受診群は非受診群より口腔関連QOLが高かった。受診群は継続した歯科受診により唾液の性状が良好になり,歯周組織の炎症を抑えられた可能性が示唆された。また,受診群では唾液検査における歯周病リスクの全項目と咀嚼能力に有意な相関は認められなかったが,非受診群では咀嚼能力が高いほど唾液中の潜血,白血球,タンパク質量からみた歯周病リスクの増加が認められた。継続した歯科受診により健康な歯周組織を保ったうえで,現在歯数と咀嚼能力を維持していくことが必要である可能性が示唆された。

  • 吉田 直美, 久保山 裕子, 山口 朱見, 原口 公子, 篠原 弓月, 佐藤 奈美, 村西 加寿美, 松尾 由佳, 秋房 住郎
    2023 年18 巻1 号 p. 63-73
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/04/08
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    【目的】在宅や介護保険施設における口腔健康管理に関するアンケートを行い,当該業務の実態および当該業務に要する時間について検討した。

    【対象および方法】在宅,介護保険施設で口腔健康管理に従事する歯科衛生士を対象に,実施状況に関するアンケートの参加者を募集した。アンケートの内容は,業務区分(訪問歯科衛生指導,居宅療養管理指導,口腔衛生管理),対象者の年齢,要介護度,誤嚥性肺炎の既往の有無,経口栄養の有無,業務に要した時間(およそ20分[20分群],およそ40分[40分群],60分およびそれ以上[60分群]),介入での困り事(自由記載)とした。自由記載はテキストマイニングを行った。

    【結果】回答総数168を分析対象とした。多項ロジスティック回帰分析の結果,20分群を基準とした場合,40分群になる要因は,居宅療養管理指導,訪問歯科衛生指導,誤嚥性肺炎の既往であった。60分群になる要因は対象者の年齢が若いこと,居宅療養管理指導,誤嚥性肺炎の既往であった。介入の困り事として,「舌の乾燥が強く保湿に時間がかかる」,「20分では十分なリハビリテーションができない」,「ケア方法の共有に時間がかかる」が抽出された。

    【結論】歯科衛生士が口腔健康管理を行う上で,居宅療養管理指導,訪問歯科衛生指導および誤嚥性肺炎の既往は40分以上を要することと関連しており,舌の乾燥,リハビリテーションやケア方法の共有に時間がかかることで困っていた。

調査報告
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