広島県で歯科訪問診療に従事する歯科衛生士の業務内容と課題を把握し,訪問診療の経験年数による違いを明らかにすることを目的とした。2023年1月,広島県歯科衛生士会会員446名および2021年度に歯科訪問診療の実績がある広島県内の歯科医療機関406ヵ所の歯科衛生士を対象に,質問紙調査を実施した。調査項目は年齢,訪問診療の経験年数,業務内容,業務上の課題とし,訪問診療の経験年数に基づき3群に分類して分析を行った。分析対象は歯科訪問診療に従事していた203名(平均年齢45.5±12.9歳)であった。歯科衛生士の業務で実施率が高かったのは「口腔観察」(95.6%),「口腔衛生管理」(89.6%),「口腔清掃指導」(88.5%)であり,経験年数による有意差がみられた業務は「義歯の清掃・取り扱い指導」(p=0.011)および「摂食嚥下訓練・口腔機能向上訓練」(p=0.006)であった。業務上の課題では「多職種連携」(80.3%)が最も多く,経験年数と有意に関連した課題は「スタッフの教育」(p=0.047)であった。広島県の歯科訪問診療における歯科衛生士業務では,口腔衛生管理の実施率が高く,義歯の管理および摂食嚥下・口腔機能向上訓練の実施には経験年数が影響していた。また,スタッフ教育が課題として明らかになったことから,経験年数に応じた研修の充実の必要性が示唆された。
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