日本歯科理工学会誌
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30 巻, 3 号
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原著
  • 岡野 大輔
    2011 年 30 巻 3 号 p. 181-191
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル フリー
    歯冠補綴用ハイブリッド型コンポジットレジンと金属が対合したときの摩耗特性を明らかにするために実験的検討を行った.実験材料として歯冠補綴用ハイブリッド型コンポジットレジン3種類,金属材料5種類,計8種類を選択し,上下の人工歯を製作した.ビッカース硬さ測定および咀嚼運動をシミュレーションした二体摩耗試験機を用いて評価を行った.また試験後に摩耗面のSEM観察も行った.同種材料を対合させたときの摩耗量とビッカース硬さとの間に相関が認められた.エステニアC&Bと対合したとき摩耗量が最大なのは金銀パラジウム合金で最小なのはコバルトクロム合金であった.エステニアC&Bの摩耗量は対合する金属の硬さに依存した.歯冠補綴用ハイブリッド型コンポジットレジンと金属の摩耗は金属の硬さに依存し,フィラーの形状や大きさが対合する金属の摩耗量に大きな影響を与えることが示唆された.
  • 草野 綾, 藤島 昭宏, 竹内 健一郎, 宮﨑 隆
    2011 年 30 巻 3 号 p. 192-201
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,合着材料としてのレジンセメントのチタンに対する接着性を評価するのに適した接着試験法を検討することである.チタン研磨面およびサンドブラスト処理面に対し5種類の接着性レジンセメントを用いて引張接着試験とせん断接着試験を行い,それぞれの接着強さならびに残留セメント率(RRC)の関係について検討した.接着強さは,せん断接着強さ(SBS)が引張接着強さ(TBS)より顕著に大きい値を示し,統計学的有意差(p<0.05)が認められた.SBSとTBSの関係は,チタン研磨面では相関関係(R2=0.82)が認められたが,サンドブラスト処理面では明瞭ではなかった(R2=0.17).RRCの測定は,チタン研磨面だけで測定可能であり,特にTBSでは高い相関(R2=0.99)が認められた.チタン研磨面を用いた引張接着試験は,接着強さだけでなく破断様式をRRCにより簡便に評価できるため,レジンセメントの接着性を評価するのに好ましい接着試験法であることが示唆された.
  • 木原 琢也, 下江 宰司, 村山 長, 田地 豪, 河原 和子, 笹原 妃佐子, 佐々木 正和, 二川 浩樹
    2011 年 30 巻 3 号 p. 202-206
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル フリー
    歯型彫刻実習においては学生の製作物に対して客観的な評価を下すことが必要となるが,現在は評価者による評価の安定しない主観的評価で行われていることがほとんどである.本研究では,三次元形状データを用いた歯型彫刻の客観的評価法を改良し,主観的評価との比較を行ったので報告する.三次元形状計測装置を用いて学生の歯型彫刻製作物を計測し,評価基準に対する体積と特徴点のずれを定量化することで客観的評価を行った.本システムによる客観的評価と主観的評価との相関についてSpearmanの順位相関係数を求めた結果,統計学上有意な正の相関関係(r=+0.682,p<0.001)が認められ,本システムは主観的評価と大きく異ならない評価方法であると考えられた.主観的評価は安定しないことに対し,本システムは繰り返し行った場合も評価がほとんど変化しないため信頼性の高い歯型彫刻評価が可能であると考えられる.
提言
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