日本歯科理工学会誌
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32 巻, 3 号
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原著
  • 岸田 幸恵, 新谷 明一, 横山 大一郎, バレット ペッカ
    2013 年 32 巻 3 号 p. 203-212
    発行日: 2013/05/25
    公開日: 2017/07/04
    ジャーナル フリー
    CAD/CAMジルコニアフレーム(Y-ZTP)の臨床応用における適合精度を明らかにするため,半焼結性ジルコニアブロックの適合精度に及ぼす収縮補正値(50, 100, 150μm)と焼成温度(1450, 1500, 1550℃)の影響について検討を行った.その結果,ジルコニアフレームの加工精度は,収縮補正値と焼成温度におけるすべての条件で,咬合面部で大きく,咬合面部から1.2, 2.0, 3.0, 4.0, 5.0mmの各測定部位での収縮補正値より小さくなったが,支台歯模型より大きかった.以上の結果から,CAD/CAMシステムによる半焼結性ジルコニアから臨床応用に優れたジルコニアフレームを製作できることが判明した.
  • 武本 真治, 服部 雅之, 吉成 正雄, 河田 英司, 小田 豊
    2013 年 32 巻 3 号 p. 213-219
    発行日: 2013/05/25
    公開日: 2017/07/04
    ジャーナル フリー
    アルカリ性過酸化物含有義歯洗浄剤に4種類のチタン合金を浸漬し,その変色程度と光沢度の変化を評価するとともにその表面特性を調べた.義歯洗浄剤に浸漬した純チタンは浸漬時間が長いと色差が大きくなり,光沢度の低下が認められた.Ti-6Al-4V合金およびTi-6Al-7Nb合金では純チタンより色差が大きく,著しく変色していた.Ti-20Cr合金ではほとんど変色しなかった.いずれの合金からも義歯洗浄剤に浸漬することで金属元素の溶出が認められた.表面分析の結果,変色程度の大きかったTi-6Al-4V合金およびTi-6Al-7Nb合金表面は主にチタン酸化物で構成され,その酸化物層の厚みは純チタンの4倍以上であったが,変色の小さかったTi-20Cr合金の酸化物層の厚みは純チタンの約1/3であった.このことから,アルカリ性過酸化物系義歯洗浄剤に浸漬したチタン合金は過酸化物の酸化反応によって表面が酸化されるが,Ti-20Cr合金では酸化による影響が少ないことが明らかになった.
  • 新原 拓也, 洪 光, 前田 武志, 佐野 有哉, 佐々木 啓一, 岡崎 定司
    2013 年 32 巻 3 号 p. 220-225
    発行日: 2013/05/25
    公開日: 2017/07/04
    ジャーナル フリー
    本研究では過酸化物系,酵素系および銀系無機抗菌剤系の義歯洗浄剤浸漬90日間におけるコバルトクロム合金(Co-Cr),ニッケルクロム合金(Ni-Cr),純チタン(CpTi)およびチタン合金(Ti-alloy)の計4種類の歯科用金属鋳造体の色調安定性に及ぼす影響について,目視および色彩色差計により検討を行った.さらに,走査型電子顕微鏡(SEM)を用い変色試料の表面観察を行った.その結果,Co-CrおよびNi-Crに関しては,すべての義歯洗浄剤において,視覚上の大きな変色は認められなかった.銀系無機抗菌剤系に浸漬したCpTiおよびTi-alloy,過酸化物系に浸漬したTi-alloyは浸漬90日後,明らかな変色が認められ,SEM像においても腐食による表面粗糙化が生じた.以上の結果より,歯科用金属の色調安定性は金属材料の種類および義歯洗浄剤の種類に大きく影響されることが示唆された.
総説
  • 若林 則幸
    2013 年 32 巻 3 号 p. 226-239
    発行日: 2013/05/25
    公開日: 2017/07/04
    ジャーナル フリー
    有限要素解析はコンピュータ上に構築したモデルに力学条件を設定し,内部の応力と歪みを計算する解析手法の一つである.本総説では歯学領域における有限要素解析の応用の現状をまとめ,近年の技術的な進展について非線形解析の技術を中心に述べる.さらに,分析対象ごとの事例を,1)歯の非線形挙動,2)歯と歯の接触問題,3)インプラントとアバットメントの接触,4)接着界面の問題,5)軟組織の粘弾性,6)歯科材料の疲労,7)骨とインプラントの各領域に分類し,それぞれの解析技術と課題について非線形解析を中心とした文献レビューをもとに議論した.有限要素解析を広域な歯学・口腔保健学の研究に役立てるためには,特に軟組織と硬組織を含む口腔組織を対象とした非線形解析のさらなる進展が必要である.
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