日本歯科理工学会誌
Online ISSN : 2188-417X
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36 巻, 6 号
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原著
  • 亀山 祐佳, 大橋 桂, 山口 紘章, 三宅 香, 和田 悠希, 綠野 智康, 谷本 安浩, 寺中 文子, 岩井 啓寿, 平山 聡司, 二瓶 ...
    2017 年 36 巻 6 号 p. 453-459
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    本研究では,CAD/CAM冠用ハイブリッドレジンブロックの物性について比較,検討するために,市販されているレジンブロック8種類を用いて,2軸曲げ試験,2体摩耗試験およびダイナミック表面硬さ試験を行い,さらに無機フィラー含有量を測定した.2軸曲げ試験は,5℃と55℃の水槽に浸漬したサーマルストレスを8,000回負荷後の試験も行った.得られた値は,一元配置分散分析および多重比較検定(Tukey法)を行い,無機フィラー含有量との相関関係をPearsonの積率相関係数を用いて調べた.その結果,レジンブロックにより物性が異なり,すべてのレジンブロック間で無機フィラー含有量に有意な差が認められた.無機フィラー含有量に対する曲げ強さ,摩耗量および表面硬さとの相関関係を分析した結果,摩耗量は有意な負の相関,表面硬さでは有意な正の相関性を認めたが,曲げ強さとは相関が認められなかった.

  • 綠野 智康, 三宅 香, 大橋 桂, 二瓶 智太郎
    2017 年 36 巻 6 号 p. 460-469
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    本研究では,セメントの摩耗量を低下させるために開発された平均粒径300 nmのシリカフィラーを含有したデュアルキュアータイプの新規レジンセメントMAM-007の特性を評価するために,4種類の市販レジンセメントとともに基本性質および,摩耗量(3体摩耗試験,衝突摩耗試験)の測定を行った.得られた値は一元配置分散分析およびTukey法による多重比較検定により統計学的分析を行った.MAM-007のフィラー含有量は,市販レジンセメント4種と比べて有意に低い値であったため(p<0.05),吸水量は高く,被膜厚さも薄く,表面硬さも低い傾向であった.しかし,三点曲げ試験では他のセメントと同等の強度があり,接着強さも市販セメントと同等かそれ以上の値が得られ,各摩耗試験後の摩耗量は市販セメントより有意に低かった(p<0.05).以上の結果から,新規レジンセメントは市販レジンセメントと同等の基本性質を有し,耐摩耗性に優れていることが示唆された.

  • 前川 南, 小山 晃裕, 尾崎 周作, 島 芳夫, 簡野 瑞誠, 土居 壽, 塙 隆夫, 和田 敬広, 宇尾 基弘, 小野 卓史
    2017 年 36 巻 6 号 p. 470-477
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    低応力ヒステリシスを特徴とする超弾性型ニッケルチタン合金ワイヤーであるL&H® チタンアーチワイヤー(以下,LH)で新たに開発された0.020×0.025インチの矩形断面のワイヤー(以下,LH20×25)とLH従来品を含む試料7種類の3点曲げ特性を比較した.LH20×25は曲げにおいて断面サイズの小さな従前の2製品と同等の超弾性特性や応力ヒステリシスを有しており,術者が従前のLHと同様の操作で大型断面の同ワイヤーを使用でき,より大きな矯正力を付与可能と考えられた.加えて0.022×0.028インチのスロットを持つブラケットの場合でも,LH20×25の遊びはLH従来品の半分以下と小さいため,精度や剛性の求められる最終調整局面で使用可能と考えられた.以上より,LH20×25はLHワイヤーの応用範囲を矯正歯科治療後期まで広げる可能性を持つものであることが示唆された.

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