本研究では市販の2種の仮着用カルボキシレートセメントの臨床的粉液比を実験群として,粉末のSEM観察,圧縮強さ試験,被着体に築造用材料および暫間補綴用材料を用いてせん断接着試験および接着試験後の被着体のSEM観察を行った.その結果,異なる粉末粒径の配合率の違いやそれに伴う計量誤差への影響が示唆された.圧縮強さは同一群内のコントロールと臨床的粉液比間では有意差は認められなかったが,ソフトセメント群と比較しハードセメント群の方が有意に高い値を示した.また,せん断接着試験ではほとんどの群で支台築造用コンポジットレジンであるユニフィルコアに対する接着強さが有意に高い値を示した.せん断接着試験後のSEMによる界面観察ではユニフィルコアに対して主にセメント層内での凝集破壊が認められた.