日本歯科理工学会誌
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37 巻, 4 号
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原著
  • 渡辺 崇文, 井上 勝一郎, 鱒見 進一
    2018 年 37 巻 4 号 p. 247-254
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は義歯床用軟質リライン材のクリープ挙動の温度依存性を調べることである.使用した材料はアクリル系材料3種類(コンフォートナー,コーソフト,フィジオソフトリベース),シリコーン系材料4種類(ジーシーリラインⅡ,モロジルプラス,ジーシーシルフィ,ソフリライナータフ)である.実験装置はJISに示される印象用弾性ひずみ試験器を改良して使用した.クリープ試験において,測定温度は水中23, 28, 37, 42℃および空気中23℃の5種類とし,荷重200 g,荷重時間300秒とした.さらに,水の影響を調べるため,水中における重量変化を測定した.測定温度は23,37℃で,浸漬時間は0.17, 0.25, 0.5, 1, 3, 6, 12, 24, 72, 168, 336時間とした.その結果,アクリル系材料は弾性,粘性において幅広い値を持つが,水や温度の影響を受けやすい性質であった.シリコーン系材料は,水の存在や温度に対する粘弾性的性質の変化は小さく,安定した挙動を示すことがわかった.

  • 尾池 和樹, 藤井 和夫, 日下部 修介, 堀田 正人
    2018 年 37 巻 4 号 p. 255-264
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル フリー

    コンポジットレジンのマトリックスレジンにフッ素含有芳香族と脂肪族モノマーとシリカナノフィラーを添加したコンポジットレジン床用人工歯材料を試作し,アクリルレジン,コンポジットレジンのマトリックスレジンにフッ素含有脂肪族モノマーとシリカマクロフィラーを添加したコンポジットレジン床用人工歯材料と比較検討した.さらにその人工歯材料をアルカリ劣化させ,機械的強度,表面性状,着色性,微生物付着性について検討した.微生物付着性の供試菌はStreptococcus oralis ATCC35037とCandida albicans ATCC18804を用いた.その結果,コンポジットレジンの組成としてフッ素含有芳香族と脂肪族モノマー,ナノフィラーを添加し,表面性状を変化させた試作床用人工歯材料はアルカリ劣化により機械的強度や光沢度は低下するが表面粗さの影響はなく,疎水性が向上した.また色素着色性,菌付着性の検討から,着色,S. oralisの付着がアクリルレジンと同等まで低くなった.

  • 島 義人, 井上 勝一郎, 鱒見 進一
    2018 年 37 巻 4 号 p. 265-271
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル フリー

    歯科医師の多くは,不適合義歯装着患者に義歯安定剤を使用することを推奨しなかったが,近年その有用性が報告されるようになってきた.
    本研究では,まず4種類の市販義歯安定剤の水中における粘着強さを計測した.これらの結果を参考にし,CMC-NaとP(VM/MA)を用いて6種類の義歯安定剤を試作した.そしてこれらの試作品のPMMA板に対する空気中および水中における粘着力を調べた.さらに水中における弾力性,応力緩和試験による相対応力(f(t)/f(0))の経時的変化および粘性係数等を調べた.
    市販の義歯安定剤においては,水中における繰り返し荷重に対する粘着強さの低下が著しかった.試作品を用いた実験ではCMC-Naの割合が増加するにつれて,初期の粘着力は若干低下するが,高い粘着力と弾力性を長時間持続でき,粘性係数は増加することがわかった.

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