日本歯科理工学会誌
Online ISSN : 2188-417X
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37 巻, 1 号
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原著
  • 谷本 安浩, 永倉 愛夢, 岩崎 太郎, 西山 典宏, 北川 剛至
    2018 年 37 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,ノンメタルクラスプデンチャー(NMCD)用材料として,グラスファイバー強化熱可塑性プラスチック(GFRTP)を作製し,ボールオンディスク型回転式摩擦摩耗試験機を用いて,その摩擦摩耗特性について評価した.まず,市販NMCD用成形機を用い,ファイバー含有率0,10,20 mass%で,EグラスファイバーとポリプロピレンからなるGFRTP試験体(GF0,GF10,GF20)を射出成形により作製した.対照群として,二種の市販NMCD用材料と,二種の市販アクリル系義歯床用材料を用いた.その結果,GFRTP群およびNMCD群の摩擦係数は,ポリベースⅡ(PB)に比べて有意に低かった.また,GF0およびNMCD群の摩耗幅は,PBに比べて有意に大きかった.さらに,ファイバー含有率20 mass%までのGFRTPの摩擦摩耗特性は,ファイバー添加による影響を受けないことが示唆された.一方,以前の研究で得られたGFRTP表面の機械的特性と今回の摩擦摩耗試験後のGFRTP表面上の摩耗幅には負の相関性が確認できた.

  • 鈴木 巌, 青柳 有祐, 宮坂 平, 大作 武彦, 青木 春美, 石田 祥己, 三浦 大輔
    2018 年 37 巻 1 号 p. 49-57
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    近年,矯正治療に多用されているジルコニア製ブラケットについて,接着歯面を傷つけにくいディボンディングを目的として,新規にデザインされたベースを有するブラケット(IBr)を作製し,この接着性について検討を行った.この新規ブラケットと比較のために従来のジルコニア製ブラケット(ZBr)を取り上げ,セメントの種類や熱衝撃負荷の有無による影響およびディボンディング時の破断応力に対する異方性を調べるため,歯軸に平行方向の荷重と垂直方向の荷重を加えてせん断接着試験を行い,せん断接着強さと破断形態について検討した.この結果,ZBrに比較して,IBrでは,熱衝撃負荷後にはいずれのセメントにおいても接着強さが低下し,特に,歯軸に対して垂直方向の荷重を加えることにより,歯面-セメント界面での脱離を容易に生じることがわかった.したがって,IBrは,ディボンディング時に歯面への傷を最小限に保つことが可能なブラケットであるといえる.

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