5~20 mass%のMnを含有したTi-Mn合金の鋳造材を試作し,ISO 10271で規定された腐食液における腐食挙動を調べた.アノード分極曲線から,Ti-Mn合金は,いずれの組成においても幅広い不動態域と低い不動態保持電流密度を持ち,Tiと同等の耐食性を有することが明らかとなった.また,静的浸漬試験において,Ti-Mn合金は,少量のTiイオンと共に微量のMnイオンを溶出した.溶出したTiイオン量は,ほぼ一定の1.5 μg/cm2であったが,Mnイオン量は,Mnの添加量に比例した1次式で近似可能であった.しかしながら,本研究で調べた合金の中で最もMn含有量の多いTi-20 mass%Mn合金においても,その溶出量は0.5 μg/cm2以下ときわめて微量であり,溶出イオンの面からもTiに準じた耐食性を有することが示された.
近年,歯科治療におけるデジタルテクノロジーの進歩はめざましく,CAD/CAMシステムを中心に技術革新が進んでいる.わが国ではハイブリッドレジンによるCAD/CAM冠の保険収載により,日常臨床においてデジタルワークフローが導入され,そのアドバンテージは,術者・患者双方によく知られるところとなっている.本稿は,日々進化し続けるデジタル歯科治療について,これまでの研究開発の歴史を振り返りながら,デジタルソリューションの現状と今後の将来展望について紹介する.