日本透析医学会雑誌
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28 巻 , 10 号
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  • 湯川 進, 北 徹
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1329-1336
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    The mortality rates from cardiac death are significantly higher in hemodialysis patients than in normal population. Coronary disease is probably a main cause of such cardiac death. The observation that ischemic heart disease is mostly acquired in pre-end-stage renal failure has been reported. The incidence of cardiac death on hemodialysis is increased compared to the general population by a factor 5-20.
    It is posutulated that hypertention and dyslipidemia are the major risk factors. However, there have been no reports demonstable between blood pressure and indices of endorgan damage from hypertention or between lipid abnormalities and clinical evidence of coronary disease or cardiac death. The relation between blood pressure and cardiac death is non-linear. There is no evidence that the treatment of dyslipidemia actually reduces the coronary risk. Recent observation that vitamin E, a antioxidant, may be effective for the prevention of aortic cacification in dialysis patients appears attractive, although further studies are required.
  • 重井 文博, 大森 浩之, 真鍋 康二, 荒木 俊江, 有元 克彦, 松島 寛, 杉原 克之, 瀧 正史, 尾崎 真啓, 大森 晶彦, 武田 ...
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1337-1341
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血清GOT, GPT, γ-GTPを157例の健常例および117例の血液透析施行の慢性腎不全患者を対象として対比検討した. その結果, HBs抗原およびHCV抗体両者陰性の血液透析例において, 健常対照例に比して, GOTおよびGPT活性の有意の低値を認め, γ-GTP活性には差を認めなかった. 透析患者および対照例の両群における交絡因子を除外するために, 年齢および肥満の指標としてのbody mass index (BMI) をマッチさせて検討した結果も同様であり, 透析例において, GOTおよびGPTの明らかな低値を認めた. これらの結果から透析患者においてトランスアミナーゼを肝障害の指標とする際には, 正常域上限値を低く設定する必要があり, HBs抗原およびHCV抗体両者陰性のHD例における平均値 (GOT 11.6±4.6IU/l, GPT 8.8±4.4IU/l) に2倍の標準偏差を加えたもの (GOT 21IU/l, GPT 18IU/l) を正常域上限値とすることが妥当と考えられた.
  • 田中 一誠, 住元 了, 春田 直樹, 中谷 玉樹, 宮本 和明, 札場 保宏, 藤本 伸司, 大城 望史, 伊藤 孝史, 板本 敏行, 山 ...
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1343-1352
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は, 最近約9年間に扱った458例の慢性透析患者の中で, 31例に対して34件の全身麻酔下開腹手術を行った. これらの中で, 消化器病変は, 79.4% (27/34) と最も多く, 消化器癌は29.4% (10/34) を占め, 胃癌5件, 大腸癌4件, 肝癌1件であった. 次いで, 腎癌4例を含む泌尿器疾患が19.4% (6/34) と多かった. 全体では, 癌病変は41.2% (14/34) と高頻度に認められた. 胃癌症例は, 全例透析導入時の内視鏡検査で, 大腸癌症例の多くは維持透析の時期に便潜血反応陽性を契機として, 比較的早期に発見された. 両者とも根治手術が施行されたが, それらの予後に慢性透析の合併症が深く関与していた.
    34件中, 待機手術は25件, 緊急手術は9件であった. 手術死亡例は, 待機手術例には認めず, 緊急手術例の4例のみであった. 手術死亡率は, 全体では12.9% (4/31), 緊急手術例では44.4% (4/9) で, 待機手術例に比べ有意に (p<0.001) 高かった. 手術死亡3例の原因疾患は大量消化管出血で, 術前からのショック状態, 著明な低蛋白血症, DIC準備状態などの重篤さが, 術後の病態に重大な影響を与えたものと考えられた. 他の1例は, 原因不明の急性腹症で, 術後に敗血症, MOFをきたして死亡した.
    開腹手術の周術期の管理としては, 血液透析 (HD) と中心静脈栄養法 (IVH) が中心である. 術前HDは, 緊急手術の場合でも, 可及的に実施されるべきであろう. 術後のIVHは, 輸液量の制限, インスリン併用によりGlucoselnsulin療法となって高K血症の予防に役立つこと, さらに栄養補給の点より, 術後管理上, 不可欠と考えられた. これらにより, 術後の血液生化学的検査データも良好に保たれた. 開腹手術の対象となる, 腹部悪性腫瘍や緊急手術の原因になる病変を早期に発見するためには, 透析導入時のみならず, 慢性維持透析の時期にも定期的な腹部スクリーニング検査の実施が重要と思われる.
  • 吉田 泉, 武田 茂幸, 宮田 幸雄, 雨宮 守正, 赤井 洋一, 古谷 裕章, 安藤 康宏, 武藤 重明, 田部井 薫, 草野 英二, 浅 ...
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1353-1358
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    一般に, 多発性嚢胞腎 (PCK) 患者では腎機能低下速度や貧血の進行などが緩徐であるとされているが, その詳細は明らかではない. そこで, 我々はPCK患者の背景因子と腎機能低下速度との関連について検討した.
    対象は, 当院で昭和50年1月から平成2年12月までに透析導入となったPCK患者26名 (男10名, 女16名). 血清クレアチニンの逆数 (1/Scr) の回帰係数を腎機能低下速度の指標とした腎機能の推移と臨床症状, 画像診断による腎の大きさ, 嚢胞の数, 嚢胞の腎組織全体での占有率との関連について検討した.
    その結果, 臨床所見としては高血圧 (92.3%), 腹部腫瘤 (88.5%), 血尿 (65.4%), 肝嚢胞 (73.0%) などが高頻度に認められた. 腎機能悪化に伴うヘマトクリット (Ht) 値の低下はPCK以外の慢性腎不全とほぼ同様の推移を示した. 腎の大きさ, 嚢胞の占有率, 嚢胞の数と透析導入時年齢, 透析導入時Scr値, 透析導入時Ht値, 1/Scrの回帰係数との間には有意な相関関係は認められなかった. 1/Scrの回帰係数は年齢と負の相関を示した. すなわち透析導入となったPCK患者において腎機能低下速度は, 年齢が決定因子の一つであることが示唆された.
  • 出川 寿一, 多川 斉, 冨川 伸二, 内田 久則
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1359-1365
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1976年7月から1994年5月の間に三井記念病院および東京大学医科学研究所で施行されたブラッドアクセス (以下アクセス) を目的としたexpanded polytetrafluoroethylene (E-PTFE) グラフト (以下グラフト) 植込み術107例156件についてretrospectiveに検討した.
    グラフト開存率は, 1年61.2%, 3年44.4%, 5年39.5%であった. 血流が十分に得られないなどの理由でアクセスとして使用しえなかったグラフト21件を除いたグラフト開存率は, 1年70.8%, 3年51.4%, 5年45,7%であり, 50%開存期間は44か月であった. 原疾患が膠原病の症例において開存率が低かった. 透析導入からグラフト植込みまでの期間や吻合方法 (動脈-動脈と動脈-静脈) による開存率の有意差はなかったが, 下肢のグラフトは上肢のグラフトより開存期間が長かった. グラフト合併症204件中閉塞または血流低下が163件で最も多かった. 感染, 仮性動脈瘤27件中12件で吻合を生かす形での修理が可能であった. 血清腫では全例手術的処置が必要であり, 8件中5件でアクセスを変更した. グラフト延命処置が有効であったのは119件 (58%) であった. アクセス変更を要した場合, 多くは他の部位のグラフトとしたが, 動脈表在化, CAPDに移行した場合もあった. また, 内シャントの造設も7例で可能であった.
    以上から, 人工血管は透析用アクセスとして有用であることが確認された. また, 閉塞, 感染などの合併症に対しては積極的なグラフト延命処置が可能であった.
  • 兼松 江巳子, 小口 健一, 北島 和一, 清 正夫, 山本 修美, 是松 元子, 浅野 学, 河田 幸道, 宮村 隆三, 小林 克寿, 下 ...
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1367-1373
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析患者に合併した二次性上皮小体機能亢進症 (2°HPT) に対する上皮小体全摘出術および前腕自家移植術 (PTx-AT) の長期成績について検討した. PTx-ATを施行した37症例のうち, 術後11-63か月 (平均36か月) の20症例についてPTx後の骨病変の変化を, 27例について移植腺機能の評価を行った. 骨病変の評価には, digital imaging processing method (DIP法) にて第二中手骨の骨塩量 (ΣGS/D) および骨皮質幅指数 (MCI) を算出し用いた. 移植腺機能の評価には, C-PTH, PTH gradient, 超音波断層, 201TIシンチグラフィーを用いた. 評価時点において, 70%の症例でΣGS/Dの増加を認めた. 逆にΣGS/Dの減少を認めた6例中5例は術後34か月以上経過した症例であり, 術後の骨塩量の減少を引き起こす病態の存在も考えられ, 術後の経時的変化の評価の重要性が示唆された. また, 年齢, 性, 術前透析期間, 術前C-PTH, ALP, osteocalcinといった因子とΣGS/Dの増加率の間には, ALPとの関連を除いて相関は認められなかった. 一方, MCIに関しては30%の症例に増加を認めたにすぎなかった. 移植腺機能については, 術後は徐々にC-PTHが上昇する傾向が認められた. 評価時点において30%の症例でC-PTHが0.5ng/ml以下, intact-PTHが測定感度以下であったが, Vit D3補充療法にて管理可能であった. 逆に機能亢進症により再手術を要した症例も経験していない. また, 移植重量と移植腺機能の間には相関を認めなかった.
  • 中村 信也, 朝長 香, 北條 みどり, 飯高 喜久雄, 西田 陽
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1375-1378
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    現在クレアチニン (Cr) の測定は, ヤッフェ直接法と酵素法で行われている. 腹膜透析液には高濃度のグルコースが含まれており, ヤッフェ直接法によるCrの測定はグルコース濃度の影響を受けるため, グルコース濃度に対する補正が必要である. 一方, 酵素法によるCrの測定においてはグルコース濃度の影響は受けない. 今回は小児CAPD患者の腹膜機能検査 (PET) においてヤッフェ直接法と酵素法により透析液中のCrを測定し, 両者間の差を検討した. ヤッフェ直接法 (グルコース補正後) におけるD2/P (Cr) とD4/P (Cr) の平均は各々0.494と0.788で, 酵素法における平均は各々0.478と0.722になり, 腹膜機能の値に差がみられた (p<0.01).
    PETにおける透析液中のCr値の測定は, グルコース濃度による影響が少なく, グルコース濃度の補正をせずに, Cr値の測定が可能な酵素法がより有用であると思われた.
  • 吉田 京介, 大友 晋
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1379-1382
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    遅発性に意識障害および呼吸停止をきたしたが, 血液浄化法および4日間の人工呼吸法にて救命しえたglufosinate中毒の1例を経験したので報告する. 患者は47歳の女性. 1994年11月27日, 自宅でバスタ®液剤推定約100ml服用. 近医で胃洗浄後, 11月28日, 服用約21時間後に当院転送された. 来院時すでに意識障害と軽度呼吸困難認められたが, 来院後すぐに呼吸停止をきたしたため, 挿管後人工呼吸器にて酸素投与を行った. そしてglufosinate除去目的でHDとDHPの併用を計4回16時間行った. 第4病日には意識清明となり, 第10病日に退院となった. 患者には-過性の麻痺性イレウスが認められた. glufosinate中毒では遅発性に呼吸停止あるいは意識障害といった中枢神経障害が起こりうるので, 服用後1-2日間は少なくとも十分注意する必要があると考えられた.
  • 桑原 隆, 吉永 尚子, 橋本 英隆, 田中 敬雄, 八幡 兼成, 菅原 照, 上田 恵, 松尾 孝彦
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1383-1387
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ-続発性アミロイドーシスによる慢性腎不全で, 腹膜透析に導入後, 種々の原因により血性排液を繰り返した1例 (48歳, 女) を報告する. 血性排液の原因は, 腹膜透析カテーテル挿入時にダグラス窩に卵胞出血による血性腹水の貯留, 術後抗生剤によるビタミンK欠乏, のちに第V因子欠乏による出血傾向による一時的なものに加えて, 月経排卵に伴った頻回なもの, および腹膜炎と多岐にわたった. また, 常にアミロイドによる組織損傷からの出血の可能性を有した. 慢性腎不全では抗生剤によるビタミンK欠乏, 第V因子欠乏が起こり易いので注意が必要であり, CAPD患者での血性排液はさまざまな原因を念頭におき治療を進めなければならない.
  • 井上 均, 朴 勺, 友吉 唯夫, 南 義彦, 広瀬 哲朗, 青山 英久, 長尾 昌寿
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1389-1392
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は, 66歳, 男性. 8年前某院にて, 膀胱高位切開による膀胱結石摘出術を受けた. 1993年1月8日より慢性腎不全にて血液透析を導入した. 同年8月20日微量の自尿が肉眼的血尿を呈し, 膀胱鏡にて膀胱右側壁に, 表面は乳頭状であるが広基性の腫瘤を認め, 生検にて膀胱原発の移行上皮癌と診断された. また, CTにて膀胱左側に4.2×3.7cmの腫瘤を認めた. 9月21日膀胱全摘除術を施行し, 両側尿管は結紮した. 膀胱左側の腫瘤は膀胱との癒着を認めず, 容易に摘除できた. 腫瘤は遺残ガーゼによる無菌性膿瘍であった. 術後経過は良好で, 1年6か月を経過したが転移や再発は認めていない.
    血液透析患者においては, 尿量の減少により, 尿路癌の臨床徴候に乏しく, 早期発見が困難であるため, 定期的な画像検査および尿細胞診検査が必要と思われた.
  • 小林 英之, 菊池 隆秀, 小村 香與子, 疋田 美穂, 杢保 敦子, 國廣 崇, 吉田 裕明, 友成 治夫, 森永 正二郎, 栗山 哲, ...
    1995 年 28 巻 10 号 p. 1393-1397
    発行日: 1995/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期CAPDを可能にするためには腹膜機能の長期保持は重要な問題と考えられる. 今回, 我々はCAPD歴3年で適正透析処方していたにもかかわらず, 徐々に全身倦怠感, 貧血の進行, 皮膚〓痒感増強, 血清尿素窒素濃度 (SUN) 上昇などのいわゆる透析不足状態 (underdialysis) と思われる症状が進行した症例を経験した. 本症例は腹膜平衡試験 (PET) で限外濾過能がよく保たれ, 溶質除去能のみの低下が証明された. テンコフカテーテル抜去時に腹膜組織の採取を行い, 線維性肥厚とフィブリンの析出および軽度のリンパ球浸潤を観察し得た. 本症例においては腹膜面積の減少や交換透析液量不足などの原因は認められず, 溶質除去能の低下は腹膜機能自体に起因するものと考えられた. このためCAPDを断念し血液透析 (HD) へ移行した.
    現在までに腹膜機能低下によるCAPD中止症例の多くは除水能 (限外濾過能) 低下を示す症例であり, 溶質除去能低下のみでCAPD中止に至った症例は稀であるため若干の知見を加えて報告する.
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