日本透析医学会雑誌
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28 巻, 5 号
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  • 浅野 泰, 秋葉 隆, 日台 英雄, 太田 和夫
    1995 年 28 巻 5 号 p. 843-845
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 院内感染防止に関する透析施設調査アンケートより
    秋葉 隆, 日台 英雄, 川口 良人, 田部井 薫, 二瓶 宏, 山崎 親雄, 浅野 泰
    1995 年 28 巻 5 号 p. 847-856
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 第39回日本透析医学会ワークショップより
    今田 聰雄, 小島 健一, 大越 章吾, 森 忠三, 大森 浩之, 長谷川 廣文, 石谷 精司, 佐藤 千史, 林 春幸, 安村 忠樹, 小 ...
    1995 年 28 巻 5 号 p. 857-863
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析症例の約24%に第2世代HCV抗体陽性症例が存在している現状が, 透析人生の予後の面からもその対策と治療の早期確立を迫っている. そこで, HCV抗体陽性透析症例の実態と感染経路, 診断, 治療, およびその治療を必要とする対象の選択, さらに抗体陽性症例への透析従事者の対応と汚染事故などの際の対策を検討した.
    感染経路は輸血によるものが半数以上であったが, 輸血歴がないのに血液透析導入後に陽性化した症例が存在した. 透析施行による水平感染が示唆されたが, 真の感染経路は不明であった. また, 最近5年間では血液透析とCAPDの両透析法とも, HCV感染率は減少していた. 両療法の比較では輸血歴のない症例で血液透析の方が陽性率が高かった. HCV感染の診断は, 透析症例の血清GPT値が低値を示すことから, 18IU/l以下を基準値として, HCV-RNA量を測定する必要があると考えた. 肝組織病変の検討からはHCV感染の罹患歴と組織病変の程度が正相関を示し, 血清GPT値が基準値以下であっても進行した肝病変の認められる症例も少なからず存在することが明らかとなった. また, 腎移植後の免疫抑制剤使用でHCVの増殖がみられた. 従って, IFN療法の適応は, 腎移植の増加が期待される現状を考慮すると, 腎移植希望者を主として, HCV-RNA量が105Eq/ml以下のセロタイプII (ゲノタイプIII, IV) で, 肝組織病変がCAH2Aまでの症例を対象とすると治療効果が高いと考えられた. しかし, IFN療法は副作用が高頻度で出現するため, 透析症例に対する投与方法の確立が急がれる. 透析従事者は感染症例ごと, また操作ごとに使い捨て手袋の着用と感染対策を厳守すべきであるが, 隔離透析の必要はないと考えた. 一方, 汚染事故にはHCV感染の診断を確実に行い診断確定後にIFN療法を施行しても十分であると考えられた.
  • 丹羽 利充, 宮崎 滋, 勝崎 智之, 立道 憲幸, 武井 佳史, 宮崎 高志, 森田 俊, 平沢 由平, 前田 憲志
    1995 年 28 巻 5 号 p. 865-871
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析アミロイドーシス患者のアミロイド組織から抽出されたβ2-microgiobulin (β2M) はMaillard反応によりadvanced glycation end products (AGE) により修飾されていることが報告された. 我々はAGEに特異的なモノクローナル抗体を作製し, 免疫組織化学的にアミロイド組織中のAGE抗原の検出を試みた. 手根管症候群を合併した長期透析患者から手術時に採取した滑膜中のアミロイドのAGE抗原の局在を, モノクローナル抗AGE抗体を用いた酵素抗体法により検討した. その結果, β2M-アミロイドと同じ部位にAGEの局在が証明された. また, アミロイド周囲の浸潤細胞にもAGEが認められた. 結論として, 透析アミロイドーシスの滑膜β2M-アミロイドはAGE化されていることを免疫組織化学的に証明した.
  • HTLV-I感染の影響
    東 和弘
    1995 年 28 巻 5 号 p. 873-878
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    モノクローナル抗体を用いて血液透析 (HD) 患者の末梢血リンパ球サブポピュレーションに対するhuman T-cell leukemia virus type I (HTLV-I) 感染の影響について, 6年の間隔 (1986年と1992年) をおいて2回調査し, その推移を検討して以下の結果を得た. 1) 抗ATLA (adult T-cell leukemia associated antigen) 抗体陽性群ではOKT3陽性細胞比率とOKT8陽性細胞比率が6年後に有意に増加していた. 2) 各リンパ球サブポピュレーションは初回の調査時では抗ATLA抗体陽性群と抗ATLA抗体陰性群間に差がなかった. しかし6年後の再調査時には, 抗ATLA抗体陰性群に比して抗ATLA抗体陽性群でOKT8陽性細胞比率は有意に増加, OKT4/OKT8比は有意に低下していた.
    以上の成績は, HTLV-I感染がHD患者のリンパ球サブポピュレーションの6年後の変化に影響を及ぼしていることを示唆している.
  • 桑原 道雄, 秋葉 隆, 栗原 怜, 竹内 正至, 桜井 祐成, 須賀 優, 米島 秀夫, 丸茂 文昭
    1995 年 28 巻 5 号 p. 879-884
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    女性血液透析患者の骨に対する閉経の影響を検討するため, 女性血液透析患者48名を未閉経群16名, 閉経後群32名の2群に分けた. 閉経後群の平均閉経年齢は45.1歳で, 健常日本人女性の平均閉経年齢 (49-50歳) と比較して4-5歳低年齢であった. Dual-energy X-ray absorptiometryで測定した腰椎 (L2-L4) 骨密度と加齢との間には, 未閉経群では有意な相関がなかったが, 閉経後群では有意な負の相関が認められた (r=-0.68). この相関直線の傾きから求めた閉経後群の腰椎骨密度減少量は年間0.0106g/cm2であった. 50歳以下で, 2-4年に3-7回腰椎骨密度を測定し得た未閉経群10名と閉経後群7名における年間平均の腰椎骨密度減少量は, 未閉経群で0.0057g/cm2, 閉経後群で0.0339g/cm2であった.
    以上より, 女性透析患者では, 閉経後骨粗鬆症もまた骨減少の一因となっていることが示唆された.
  • 鈴木 好夫, 日ノ下 文彦, 横山 啓太郎, 山田 明, 小椋 陽介, 三村 信英
    1995 年 28 巻 5 号 p. 885-890
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    厚生科学研究・腎不全医療研究班透析導入基準案の妥当性を実際の血液透析導入に用いて検討した.
    当院で1992年1月から6月までに血液透析に導入した23例の 「導入スコア」 を算定すると78±9点 (平均±標準偏差) で導入基準案の 「60点以上を透析導入とする」 を満たしていた. 透析導入はすべての患者を入院させて行ったが, 退院し通院維持透析移行までに要した日数は28±9日, その間1回平均3.8時間の血液透析を13±4回行った. 導入前異常低値であったヘマトクリットは退院時に27.9±3.5%に上昇し, 血清カルシウムも4.4±0.3mEq/lと正常値に回復した. 退院時に仮に「導入スコア」を算定すると36±9点で尿毒症症候の消失を示すものであった.
    厚生科学研究・腎不全医療研究班導入基準案はこれに適合した症例に, 1回平均3.8時間の透析を平均28日間に平均13回行うことで導入時の尿毒症症候を消失させ, ヘマトクリット, 血清カルシウムを正常値に回復させ, スムースに通院維持透析に移行できたことから妥当な導入基準案と考えられた.
    合わせて導入時に我々が通常行っている血液透析方法をurea kineticsから検討すると, TACBUNは43.0±11.8mg/dl, PCRは0.91±0.27g/kg/日, Kt/Vは0.82±0.22であった. TACBUN, PCRはNCDSのいう蛋白摂取量は十分で合併症の最も少ないグループのそれに相当する値であった.
    すなわち我々の今回の研究によれば, これらのurea kineticsの得られる血液透析を行えたとき, 上述のごとく厚生科学研究・腎不全医療研究班導入基準案は妥当な導入基準案であると考察された.
  • 大橋 宏重, 小田 寛, 松野 由紀彦, 渡辺 佐知郎, 琴尾 泰典, 松原 徹夫, 松尾 仁司, 西田 佳男, 加納 素夫, 谷畠 進太郎 ...
    1995 年 28 巻 5 号 p. 891-896
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症による透析導入患者は年々増加の一途を辿っているが, その生存率は低く, 心血管系合併症による死亡例が多い. 糖尿病血液透析患者 (DN) の心合併症は慢性腎炎血液透析患者 (CGN) に比較して, 無痛性心筋虚血や左室拡張機能障害を呈する症例が多く, また冠動脈病変はびまん性で多枝にわたるという特徴を有している. またDNでの予後に心臓自律神経障害の関与している可能性も示唆されているが, 定量的な試みは未だ行われていない. 今回, 我々は心臓交感神経障害の評価に有効であると報告されている123I-metaiodobenzylguanidine (MIBG) を用い, DNでの心臓交感神経障害について検討した.
    CGN (平均年齢52.6歳) 21名とDN (平均年齢53.9歳) 18名を対象に123I-MIBG心筋シンチグラフィーを施行し, 心臓交感神経障害について検討した. いずれの症例も心筋梗塞の既往がなく, また現在, 明らかな狭心症を呈さず, しかも安静時の201Thallium (TI) 心筋シンチグラムでdefectが証明されない症例である. なお両群の年齢, 透析期間に有意差を認めていない.
    CGNに比較してDNではSPECT (single-photon emission computed tomography) でdefectを呈する症例が多く認められ, 心臓/上縦隔 (H/M) は低値を示した.
    以上より, CGNに比較してDNでは心臓交感神経障害が高度かつ高頻度に認められた.
  • 塩田 潤, 窪田 実, 阿部 雅明, 大室 博之, 横山 健一, 浜田 千江子, 石黒 望, 大塚 和子, 富野 康日己, 小出 輝
    1995 年 28 巻 5 号 p. 897-902
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD腹膜炎患者の排液中にはエラスターゼが検出されるとの報告があり, 腹膜組織障害への関与が危惧される. 一方, 好中球が活性化されると表面分子CD43はプロテアーゼを介してdown-regulationをうけるとのin vitroの報告がある. この論文の目的は, CAPD腹膜炎の際腹腔内に浸潤した好中球のプロテアーゼ放出動態を検討することである. 5名のCAPD腹膜炎患者について新規貯留後1時間目および4時間目の透析液から得た好中球のCD43, Mac-1およびLAM-1発現をFACS解析で検討した. 透析液貯留1時間目ですでにCD43, LAM-1のdown-regulationおよびMac-1のup-regulationを認め, 4時間目でもMac-1のup-regulationは持続していた. また, 透析液中の好中球表面の膜蛋白のイムノブロット解析ではasialo formのCD43分子および細胞外領域で切断されたCD43分子の存在が認められた. 以上より, CAPD腹膜炎の際腹腔内に浸潤する好中球は活性化され続けており, 透析液交換直後の低pH, 高乳酸濃度の条件下でも細胞表面にプロテアーゼを放出していることが強く示唆された.
  • 西谷 博, 小坂 英俊, 奥野 仙二, 奥村 道昭, 金 昌雄, 西沢 良記, 森井 浩世
    1995 年 28 巻 5 号 p. 903-908
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    MD法を改良したCXD法を男性血液透析患者125名の骨塩量評価に適用し, 同一患者のDXA法骨塩密度成績, 骨代謝関連臨床成績との関連について検討し, 同法の腎性骨異栄養症における臨床的有用性を検討した. 1年間の経過が観察された63名, 2年間の経過が観察された32名では経年変化も比較した.
    その結果, 1) CXD法ΣGS/D, MCI値はDXA法骨塩密度値と相関した. 相関係数は, 身体部位別には上肢との間で最も高かった. 2) CXD法ΣGS/D値と透析期間, Al値, ALP値, ALP3値, TRACP値との間に負の相関が認められた. 3) CXD法ΣGS/D値の1年間および2年間変化率はいずれもDXA法上肢骨塩密度値の同変化率に極めて類似していた. 4) 1年観察群のCXD法ΣGS/D値年間変化率はDXA法全身骨塩密度年間変化率と相関した. 5) 2年観察群の患者を二次性副甲状腺機能亢進症の重症度別にPTH-c値5ng/ml未満の18名 (A群) と同値以上の14名 (B群) に分けCXD法ΣGS/D値の推移を比較すると, B群のΣGS/D値は観察開始時よりA群より有意に低値であり, B群では経年的に低下し2年目で有意差に達した. 一方, A群では, このような低下はみられなかった.
    以上の成績から, CXD法のΣGS/D値はDXA法の上肢骨塩密度に類似した特性を持っており腎性骨異栄養症の骨塩量評価に有用で, 経過観察にも適した方法であると考えられた.
  • 河 哲吉, 高橋 良一, 山崎 正貴, 佐藤 俊之, 門阪 庄三, 儀間 充, 佐藤 克明, 山田 智裕, 中島 良行, 牧 和夫, 村上 ...
    1995 年 28 巻 5 号 p. 909-913
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は39歳のLaurence-Moon-Bardet-Biedl症候群の男性で, 21歳の時に糖尿病と診断されて治療を受けていたが, 腎機能が悪化し, 1989年7月に血液透析を開始した. 1990年10月, 頻回の輸血を必要とする貧血により, 胃内視鏡を施行したところ, ボールマン3型の胃癌を認め, 外科にて手術を行ったが, 1991年9月, 癌性腹膜炎・閉塞性黄疸・DIC症候群を併発し死亡した. 最近, Laurence-Moon-Bardet-Biedl症候群の合併症として腎症が注目されているが, 本症例では, 長期の糖尿病歴にも拘わらず, 剖検組織所見では典型的な糖尿病性変化がなく, メサンジウムの増殖等の原疾患由来と思われる変化を認めたので, 若干の考察を加えて報告した.
  • 塚本 達雄, 加藤 紀子, 徳永 金清, 垣内 健次, 深瀬 正晃, 千原 和夫, 関田 憲一
    1995 年 28 巻 5 号 p. 915-919
    発行日: 1995/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は62歳男性で, 1990年9月血液透析導入. 導入時より全身皮膚に黒褐色の色素沈着を認めた. 家族歴には特記すべきものなし. 1992年8月より色素沈着高度となり, 皮膚〓痒感増加, 頭頂部および手背に日光過敏による水疱形成, 皮膚潰瘍を生じるようになった. 赤血球中コプロポルフィリン81.0μg/dl (0.7μg/dl以下), 赤血球中プロトポルフィリン1,573μg/dl (130μg/dl以下) と高値であり, 晩発性皮膚ポルフィリン症 (porphyria cutanea tarda; PCT) と診断した. 1992年12月より, 血液濾過透析 (HDF) (後希釈10l) 併用開始, 色素脱色, 皮膚潰瘍治癒, 皮膚〓痒感の消失とともに, 赤血球中ポルフィリン値は低下した. PCTは, 遺伝的素因と環境因子の相互作用により発症するとされているが, 私どもの症例ではHD導入前よりPCTを発症しており, 維持血液透析中に悪化したものと思われた. 近年, C型肝炎ウイルスとPCTの因果関係も報告されており, 本症例のもつC型肝炎 (HCV-II陽性, HCV-RNA (PCR) 陽性) が, PCT増悪に関与している可能性も示唆され, 興味ある症例と思われたので報告する.
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