日本透析医学会雑誌
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28 巻, 8 号
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  • 第39回日本透析医学会ワークショップより
    椿原 美治, 宇田 有希
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1105-1109
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • rHuEPO投与による変動
    大山 信雄, 益田 真理, 野田 昌代, 本宮 善恢, 岡島 英五郎
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1111-1117
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎性貧血症において, 体内の鉄欠乏量の評価は, rHuEPO療法での臨床的効果および至適投与量を知る上での最重要因子と思われる. 従来, 生体の貯蔵鉄量の指標として血清ferritin (S-Ft) 値が一般に用いられてきたが, 最近, 種々の血液疾患における, より有用かつ直接的な貯蔵鉄量のマーカーとして, 赤血球ferritin (RBC-Ft) の測定が注目されている.
    そこで今回, 健常者16例と, 維持透析患者47例においてRBC-Ftを測定した結果, 患者群での平均値は25.0±16.6ag/cellであり, 健常者での平均値25.6±17.3ag/cellに比べて差は認められなかった. また, 患者群において, 血清鉄 (S-Fe) 値とS-Ft値およびRBC-Ft値との間に有意な相関はみられなかったものの, rHuEPO投与前後でのヘモグロビン増加量とRBC-Ftの変化量との間において, r=0.461, p<0.05と有意な正相関を認めた.
    今回の結果より, RBC-Ftの測定はrHuEPO療法の最大の適応である維持透析患者での機能的貯蔵鉄量を把握する上で有用であることが示唆された.
  • 森 隆司, 熊野 和雄, 高木 裕, 横田 眞二, 酒井 糾
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1119-1126
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    最近APD患者の透析不足が懸念されている. 今回automated peritoneal dialysis (APD) 患者の至適透析性について血液生化学, urea kinetics, 患者の評価よりCAPD患者と比較検討した. APD, CAPD患者は各々10, 21名を対象とした. APDの導入理由は社会復帰; 4名, 透析不足; 1名, 除水不足; 5名で, 透析方法はCCPD; 7名, NPD+CCPD; 3名でPD液使用量は10-14l (平均13.0±2.4l) であった. 血清アルブミン (Alb), クレアチニンクリアランス (Ccr), Kt/V/Week, 蛋白異化率 (PCR), 末梢神経伝導速度 (NCV) および医師および患者よりみた至適透析性に対する評価スコアを調べた. Alb (g/dl) (APD; 3.9±0.3, CAPD; 3.8±0.4), Ccr (l/Week) (53.3±15.9, 42.8±10.1), Kt/V/Week (1.96±0.50, 1.77±0.34), PCR (0.77±0.19, 0.78±0.18) とAPD患者の結果はCAPD患者の結果と比較して遜色なく, また, NCV, 医師よりみた評価スコアにおいても同様であった. 患者スコアはAPDの方が高かった. 腹膜炎発生頻度はAPDで200か月/患者・月, CAPDでは100か月/患者・月とAPDの方が低値を示した. このように透析量を考慮したAPD患者の至適透析性はCAPD患者と差はなく, 明らかな透析不足は認めなかった. APD療法は腹膜透析患者の治療方法の選択肢を増やし, 治療落伍を少なくすると思われる.
  • 永井 司, 兼松 稔, 栗山 学, 河田 幸道
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1127-1133
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD患者のQOLに影響を及ぼす因子につき検討を行った. 対象はCAPD患者35例で, QOLは全般的幸福感, 食欲, 睡眠, 皮膚の色調, 毛髪の状態, 性生活, 労働・家事, 社交性および雇用・家事の9項目を0-2点の3点法で評価した. QOLスコアは3-15点, 平均9.8点であった. 年齢, 性, 導入理由, 原疾患, 透析期間, 腹膜炎の既往, 栄養状態, 貧血の程度および透析効率とQOLスコアとの相関性を検討した結果, 血清アルブミン値とQOLスコアとの間に有意な正の相関 (r=0.5557, p<0.01) を認めた. その他の栄養の指標であるトランスフェリン, 蛋白異化率および上腕囲比においてはQOLスコアとの相関は認められなかった. 低アルブミン血症群 (Alb≧3.6g/dl, n=21) のQOLスコアは3-13点, 平均8.9点で, 正常アルブミン血症群 (Alb≧3.6g/dl, n=14) の7-15点, 平均11.3点に比し有意に低下していた. 項目別では社交性の点で有意差を認めた. CAPD患者のQOLには血清アルブミン濃度が強く関与していると考えられ, 栄養管理の重要性が示唆された.
  • 春口 洋昭, 新開 真人, 赤松 真, 尾崎 倫孝, 小池 太郎, 阿部 正浩, 星野 智昭, 石田 英樹, 佐藤 純彦, 中村 道郎, 小 ...
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1135-1141
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    今回, 透析患者に対して腹水ポンプを埋め込み, その有効性, 安全性について検討したので報告する. 対象は, 内科的な治療で腹水が軽減しなかった透析患者5例で, 男性4例, 女性1例, 年齢は44歳から67歳. 腹水の原因は肝硬変3例, 透析腹水1例, 原因不明1例であった. これらの症例に対して1991年から1994年の間に腹水ポンプを埋め込んだ. 腹水ポンプは, 腹水を集めるascites collector, ポンプ機能を持つflush bulb, および腹水を還すinfusion catheterから構成されている. 手術は局所麻酔下で行い, ascites collectorを腹腔内に, infusion catheterを外頸または内頸静脈に挿入し, ポンプ全体を皮下に埋め込んだ.
    術後体重および腹囲は有意に減少し (p<0.05), quality of lifeは4例で明らかに改善した. また血清総タンパク, アルブミン値は有意に増加し, 全例で栄養状態の改善を認めた. 5例中4例が基礎疾患のために死亡したが, 1例は術後2年7か月経過した現在, 全く腹水を認めていない.
    術後, 静脈側カテーテルのスリップアウトおよび創感染を1例ずつに生じたが, カテーテルの閉塞は1例も認めなかった. 術後はDICを予防するためgabexate mesilateを投与し, また肺水腫を防ぐために頻回の透析を行った. そのためDIC, 肺水腫などの重篤な合併症は認められなかった.
    透析患者における難治性腹水に対して, 腹水ポンプ埋め込みは有効かつ安全な治療であると考えられた.
  • 15例の経験
    林 春幸, 入江 康文, 横関 一雄, 近藤 智子, 鹿島 孝, 奥田 邦雄
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1143-1149
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持血液透析患者中に慢性C型肝炎が多発していることは, 多くの報告からも明らかである. その予後は現在明確にされていないが, 非透析患者の慢性肝炎に比し, 軽症で進行しないという証拠のない現時点ではインターフェロン療法の対象となると考え, 15症例にインターフェロンα-2aを投与し, その効果を調べた. 6MU 14日間毎日, その後週3回6か月を予定投与量としたが副作用が強く, 予定投与量の全量に耐えたのは3例に過ぎなかった. 治療終了後5か月以上経過した13例につき効果を血清ALT値, ウィルスRNAから判定すると, 有効8例無効5例で, ウィルスのgenotypeやRNAの定量は調べていないが, 非透析慢性C型肝炎についての従来の成績にくらべ, むしろ有効率は高いという印象がもたれた. しかし副作用などを勘案すると治療対象の選択に十分留意し, また投与量を減らす必要があると考えられた.
  • 青山 琢磨, 田中 孜, 国島 明久, 金 俊哉, 服部 有博, 瀬川 知則, 上野 勝己, 栗山 逸子, 野口 享秀, 森 矩尉
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1151-1155
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    冠動脈石灰化と虚血性心疾患の関係は以前より報告がなされている. 今回, 我々は虚血性心疾患が疑われ冠動脈造影を施行した40名の維持透析患者と100名の非透析患者につき冠動脈石灰化と有意狭窄病変の関係につき検討した.
    維持透析患者群の72.5%が冠動脈石灰化を認め非透析患者群の37.5%に比して有意に頻度が高く (p<0.01), 冠動脈有意狭窄は維持透析患者群52.5%, 非透析患者37%と維持透析患者群で有意に検出率は高かった (p<0.05). 冠動脈石灰化箇所に75%以上の有意狭窄を認める頻度は維持透析患者で15.9%, 非透析患者は25.3%であり, 有意に維持透析患者では低く (p<0.05), 多くの冠動脈石灰化箇所は透析患者において有意狭窄病変と一致しないと考えられた. さらに, 透析患者の中で, 糖尿病患者 (15名) と非糖尿病患者 (25名) について有意狭窄病変検出率を比較したところ, 糖尿病患者は67%と, 非糖尿病患者 (44%) に比して有意に高かった (p<0.05) が, 石灰化箇所に有意狭窄を認める頻度はそれぞれ14%, 17%と有意差はなかった. 結論として維持透析患者において冠動脈石灰化と有意狭窄病変は有意に頻度が高かったが, 冠動脈石灰化像は必ずしも有意狭窄を意味しないと考えられた.
  • 単剤投与にて部分寛解を得た進行性卵巣癌の1例
    武田 肇, 横山 雅好, 西尾 俊治
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1157-1161
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    文献的にほとんど報告のない, 透析患者へのCarboplatin (CBDCA) 投与法について, 同一症例での6コースの経験をもとに検討した.
    対象症例は67歳女性. 糖尿病性腎症にて透析導入3か月後に, T4N1MO stage IIIの卵巣原発の類内膜癌を発見された. 体表面積は1.4m2でPSは全盲のため3であった. 化学療法はCBDCA単剤投与とし計6コースを行った. CBDCA投与量は200-300mgで, 投与開始後0-18時間後にそれぞれHD+DHPを行った. 腫瘍は2コースで部分寛解が得られ, 以後10か月間部分寛解が維持できた. 化学療法の副作用は主に骨髄抑制で, CBDCA 300mg投与18時間後にHD+DHPを行った第1コースでは, 計130単位の血小板輸血を要した. 他のコースでは, 骨髄抑制は重篤ではなかった. 第3コースに行ったプラチナの血中濃度測定ではAUC 6.76mg/ml・minであり, このコースの250mg投与後4時間目よりHD+DHPを行った投与法は至適であった.
  • 小野 満也, 山口 博, 佐藤 博司
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1163-1166
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPDカテーテルの先端位置移動は頻度が比較的高く, 排液不良が著しい場合にはカテーテルの入れ替えを必要とする重要な合併症である. 今回我々はカテーテル先端位置移動をおこした4例のCAPD患者に対して, ガイドワイヤー挿入による先端位置の修復 (α修復法) を試みた. 1例は非透視下で, 他の3例は透視下で計8回施行し, 3例 (7回) は位置修復され, うち1例 (3回) で排液量の著明な改善を認めた. 1例 (1回) は全くカテーテルが移動しなかった. 合併症はみられなかった. 本法はCAPDカテーテルの先端位置移動に対して有効であり, 簡便で患者への負担も少ない. しかし, 腹膜炎, 腹膜損傷, ガイドワイヤーの自然結紮などの合併症が考えられるため, 十分に注意して行うべきである.
  • 上田 峻弘, 古屋 雅三知, 中村 桜子, 深沢 佐和子, 城下 弘一, 桜井 哲男
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1167-1172
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高齢者糖尿病透析患者に発症した粟粒結核の2症例を報告した. 症例1は73歳, 女性. 透析歴18か月, 発熱で発症. ツ反 (-), 喀痰の抗酸菌染色 (-), 血清ADA (adenosine deaminase) 40.1IU/l, TBLB (transbronchial lung biopsy) で結核結節を証明した. 抗結核剤によく反応し, 粟粒陰影は消失した. 症例2は74歳, 男性. 透析歴17か月, 食思不振で発症. ツ反 (+), 喀痰の抗酸菌染色 (-), 血清ADA 41.6IU/l, リンパ球幼若化反応とリンパ球亜分画で細胞性免疫能の低下を認めた. TBLBで結核結節は証明されず, 抗結核剤への反応も悪く, 9週で抗結核剤を中止した. 剖検で全身諸臓器に粟粒結核を認めた.
    最近3年間に市立札幌病院で結核との鑑別を要した18例と結核3例の血液透析患者の血清ADA値を検討した. 結果は肺炎および胸膜炎の11例, 不明熱の7例, 結核の3例で, それぞれ18.6±7.2IU/l (mean±SD), 18.5±9.7IU/l, 42.5±2.4IU/lであった. 結核の3症例は40.0IU/l以上と高値であったことは興味が持たれ, 今後, 結核の活動期との関連において検討を要するものと思われた.
  • 今井 哲也, 久米川 寿, 高 栄男, 松井 豊, 内坂 建, 鈴木 敏夫, 妻野 光則, 友國 隆, 谷岡 恒雄, 井上 喬之, 田中 善 ...
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1173-1177
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は透析歴6年の61歳男性. 突然, 新鮮血による著しい下血が生じた. 胃十二指腸内視鏡検査では, 出血はみられず, 大腸内視鏡検査では下部に凝血塊が少量あるものの, S状結腸に点状出血が散在するのみであった. 血管造影を施行したところ, 左結腸動脈とS状結腸動脈とのアーケードから下行結腸とS状結腸の移行部に分布する直動脈の拡張およびその先の腸管壁の部位に異常血管の集簇を思わす所見がみられ, 動静脈奇形 (angiodysplasia) の可能性が強く考えられた. 同部にスポンゼル細片による超選択的塞栓術を施行し, 下血は消失した. 透析患者においてもしばしば消化管出血が生じるが, その原因として消化管動静脈奇形も念頭に置く必要があると思われた.
  • 藤井 謙裕, 堀井 康弘, 岸本 和美, 岩野 正之, 土肥 和紘
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1179-1184
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD (continuous ambulatory peritoneal dialysis) 排液の白濁は, 腹膜炎の重要な兆候であるが, 乳糜の混入による白濁排液と鑑別を要する場合が少なくない. 今回著者らは, 排液の白濁が脂肪成分の分析から乳糜の混入によるものと診断されたCAPDの3例を経験した. 乳糜排液の原因は, 症例1ではIPD (intermittent peritoneal dialysis) カテーテルによる腹腔内リンパ管の損傷, 症例2ではmanidipine hydrochlorideの内服, 症例3では高脂肪食摂取であった. つまり, 乳糜排液は, リンパ管の機械的損傷, 薬物によるリンパ管の透過性亢進, 高脂肪食後でのリンパ管流量とリンパ管圧の増加によるリンパ管からのリンパ液漏出が原因と考えられる. さらに, 乳糜排液は, 腹膜炎による白濁排液との鑑別が重要であり, 細菌培養や炎症反応の成績のない場合でも, 1) 発熱, 腹痛などの腹膜刺激症状がない, 2) 白濁排液中の細胞数が100/μl未満である, 3) 3,000rpm, 5分間の遠沈後も白濁が消失しないことが鑑別点になる. つまり, CAPD排液が白濁した場合は, 乳糜排液の可能性を考慮して腹膜炎と鑑別し, その原因を追求することが重要である.
  • 社団法人日本透析医学会
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1185-1186
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 社団法人日本透析医学会学術委員会
    1995 年 28 巻 8 号 p. 1187-1190
    発行日: 1995/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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