日本透析医学会雑誌
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29 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 第41回日本透析医学会カレントコンセプトより
    新里 高弘, 中井 滋, 前田 憲志
    1996 年 29 巻 12 号 p. 1511-1516
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 柴田 昌典, 内山 秀男, 林 達也, 森川 茂広, 谷口 信吉, 宇佐美 一政
    1996 年 29 巻 12 号 p. 1517-1521
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血清インタクトPTH値が500pg/ml以上の二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) を合併する13例の非糖尿病性透析患者に週3回の透析終了時に10gの糖を1か月間投与した. 投与後, 血清インタクトPTHは平均17%低下した (p=0.001) が, 血清Ca, Pi, ALP, オステオカルシンには有意の変化はみられなかった. 糖尿病性腎不全の維持透析患者には2°HPTの発症頻度が低く, その進展も緩徐であることとの関連について述べ, また2°HPTの管理上, 補助的な方法として簡便かつ有用であろうと考え報告した.
  • 朴 勺, 友吉 唯夫
    1996 年 29 巻 12 号 p. 1523-1527
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析を受けている慢性腎不全患者で, 尿細胞診検査を3回施行できた220例を対象として, 透析患者における尿細胞診検査の意義について検討した. 患者の年齢は22-82歳 (平均58.3歳) で, 男性131例, 女性89例であり, 透析歴は12-8,428日 (平均1,238日) であった. 原疾患は慢性糸球体腎症が152例, 糖尿病性腎症が38例, 嚢胞腎が8例, 腎硬化症が6例, ループス腎炎が2例, その他が6例で, 不明が8例であった. 220例の660回の尿細胞診の結果は, class Iが490回, class IIが157回, class IIIが11回, class IVが1回, class Vが1回であった. class Vの症例において膀胱鏡検査にて膀胱腫瘍を認め, 生検にて移行上皮癌のgrade 3であった. class IVの症例では, 膀胱鏡検査や尿管鏡検査にて, 明らかな病変を認めなかった. 尿細胞診検査は透析患者の尿路腫瘍のスクリーニングとして非侵襲的であり, 繰り返して検査ができ, 有用であると考えられた.
  • 阿部 貴弥
    1996 年 29 巻 12 号 p. 1529-1537
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の腸内菌叢の改善目的にて食物繊維製剤を投与し, 免疫能を中心にして, その評価を行った.
    感染徴候のない維持血液透析患者30名 (男15名, 女15名) を対象に, 8週間にわたり水溶性食物繊維であるポリデキストロースを1日7g (とおりあめ4粒) 投与し, 投与前後における, 腸内菌叢由来腐敗産物の血中濃度および各種臨床血液検査を比較検討した.
    その結果, 食物繊維投与により, 腸内菌叢に由来する血中腐敗産物であるフェノール (p<0.05), p-クレゾール (p<0.01), インドキシル硫酸 (p<0.05) は投与前に比し, 有意に低下していた. またそれに伴いPHA (p<0.05), ConA (p<0.01), PWM (p<0.05) に対するリンパ球幼若化反応において, 有意に反応性の改善を認めた.
    食物繊維の投与は, 血液透析患者の易感染状態の改善に有用と考えられ, また排便状態の改善など自覚症状の面においても有用であると考えられた.
  • 小野 満也, 池添 正哉, 山口 博, 佐藤 博司
    1996 年 29 巻 12 号 p. 1539-1542
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は38歳女性. 慢性糸球体腎炎によると考えられる慢性腎不全にて平成1年CAPDに導入した. その後溢水による心不全状態をきたし, 心胸比は60%と心拡大を認めた. 腹膜機能低下はみられなかったが, 心不全が改善しないため平成5年より体外循環による除水 (ECUM) の併用を行った. 同年CAPDカテーテルのトンネル感染が悪化したため, カテーテルを抜去し週3回の血液透析に移行した. その後心不全は軽快し, 心胸比は50%と改善がみられた. 一般にCAPDは心不全患者に対して有用であるが, 心機能が正常で溢水になりやすい患者では血液透析の方が適している場合がある.
  • 榛葉 隆文, 野口 和美, 植木 貞一郎, 上村 博司, 斎藤 和男, 矢尾 正祐, 野口 純男, 窪田 吉信, 穂坂 正彦
    1996 年 29 巻 12 号 p. 1543-1547
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は32歳女性. 主訴は発熱および左側腹部痛. 1995年8月4日39℃台の発熱および左側腹部痛出現. 腹部CTで左腎に巨大水腎を認め, 8月10日経皮的左腎瘻造設術を施行. その際1,000mlの膿尿を認めた. その後血圧低下, 乏尿となり, 肺水腫を合併し, 8月11日全身管理および血液透析による除水目的に当院転院となった.
    当院入院時, 胸部X線上著明なうっ血像を認めた. 腎瘻尿および血液培養から大腸菌が検出され, 膿腎穿刺後の敗血症および急性腎不全と診断した.
    また, 入院時乏尿および腎機能低下を認め, 血液透析療法を当日から施行した. 計10回で透析を離脱し, その後腎機能は安定した. DICも合併したが, 血小板輸血や抗生剤投与等保存的治療を行い軽快した.
  • 菊池 洋, 外牧 洋之
    1996 年 29 巻 12 号 p. 1549-1554
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の女性で1993年維持透析導入となった. 1994年2月16日頻脈性心房細動となり心不全症状が出現したためdisopyramide (DP) を300mg/日で開始した. 翌日洞リズムに回復した. 2月21日, 食欲不振の出現で投薬をすべて中止した. 2月23日低血糖性昏睡となり50%糖液40mlの静注にて意識は速やかに回復したが血中DP濃度は治療域だった. その直後より全身の筋肉痛を激しく訴え続けた. 翌24日の血液検査で横紋筋融解症と診断した.
    横紋筋では低血糖時にはエネルギー源として脂肪酸を利用できるので低血糖の影響を受けにくい. DPによる低血糖に続発した横紋筋融解症の報告は見あたらなかった. 本例では脂肪酸からのエネルギー供給が何らかの原因でなされず横紋筋融解を引き起こしたものと推察する.
    横紋筋融解症は透析患者では尿所見を得られぬ場合があり診断が遅れる恐れがある. 筋肉痛は早期発見の手がかりとして重要である.
  • 竹田 慎一, 道岸 隆敏, 家城 恭彦, 高桜 英輔
    1996 年 29 巻 12 号 p. 1555-1560
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    接続チューブ保護キャップに含まれるポピドンヨードにより, 甲状腺機能低下症に陥った夜間腹膜透析 (NPD) 患者を報告する. 症例は32歳, 女性. 1994年6月, 連続的携行式腹膜透析 (CAPD) からNPDに移行したところ, 甲状腺の腫大が認められるようになった. 1995年7月の検査成績では, 血清中の甲状腺刺激ホルモン (TSH) は121μU/mlにまで上昇しており, 遊離T3(FT3) は2.6pg/ml, 遊離T4(FT4) は0.4ng/dlであった. 甲状腺123I摂取率3時間値は上昇しており, 血中無機ヨード (II) は15.0μg/dlと高値であった. なお, 抗サイログロブリン抗体, 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体, 抗TSHレセプター抗体などの甲状腺自己抗体はすべて陰性であった. また, 組織学的にも, 濾胞上皮間の細胞浸潤あるいは線維化など慢性甲状腺炎を示唆する所見は認められなかった. 以上より, ヨード過剰に起因した可逆性甲状腺機能低下症と診断したが, ヨード制限食による血清IIおよびTSHの低下はみられなかった. NPDでは最初の注液時に排液がないため, 接続チューブ保護キャップからしみ出したポピドンヨードが腹腔内に流入する. そこで, このポピドンヨードの流入を減少させたところ, IIは4.6μg/dl, TSHは28.0μU/mlにまで低下した. 以上より, NPD患者では接続チューブ保護キャップのポピドンヨードに起因した甲状腺機能低下症の合併に注意が必要と思われた.
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