日本透析医学会雑誌
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29 巻 , 7 号
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  • 伊野 恵子, 水附 裕子
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1117-1121
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 安藤 亮一, 土肥 まゆみ, 竹田 篤, 千田 佳子, 井田 隆, 秋葉 隆, 丸茂 文昭
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1123-1129
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者における血清1,25-水酸化ビタミンD (1,25D) 濃度の臨床的意義を明らかにするために, 血清Caおよび橈骨骨塩量との関連を, 活性型ビタミンD3治療をしていない血液透析患者21例と1α水酸化ビタミンD3 (1αD) を投与されている透析患者50例, 計71例で検討した. 血清1,25D濃度と血清Caは正の相関関係を示し, 特に, intact-PTH 100pg/ml未満の群で関連が深い傾向を認めた. 1αDの投与量に変更のあった10例では, 血清1,25D濃度の変化量と血清Caの変化量の間に良好な正相関を認めた. 一方, 血清1,25D濃度とDXA法にて計測した橈骨遠位1/3端の骨塩量との間には関連が認められなかった. intact-PTH 100pg/ml, 血清1,25D 15pg/mlを境とし, その組み合わせで4群に分けて橈骨骨塩量を比較検討すると, PTH, 血清1,25D濃度いずれも低い組み合わせの群で橈骨骨塩量が最も良好に保たれる傾向を認めた. 以上より, 血清1,25D濃度を正常に保つことは, 高Ca血症が必発であり, 実現は非常に困難である. 一方, 血清1,25D濃度と橈骨骨塩量との関連は明らかでなく, 血清1,25D濃度を持続的に高く保つことが, 必ずしも良好な橈骨骨塩量にはつながらないことが示唆された.
  • 岡田 知也, 金林 祐加, 高橋 宏実, 高橋 創, 小倉 誠, 中尾 俊之, 鈴木 利昭, 北條 敏夫
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1131-1137
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年増加している透析患者における副甲状腺機能低下症例の臨床像について検討した. 血液透析 (HD) 患者183名 (平均透析歴8.6±6.5年), 腹膜透析 (CAPD) 患者38名 (平均透析歴19.6±19.4か月) を対象とし, 各患者の最長透析歴時の検査でintact-PTH 65pg/ml以下の症例をlow-PTH群, それ以外の症例をnon-low群に分けて, 年齢, 透析期間, 原疾患, 治療内容, 自覚症状, PTHの推移等を比較検討した. HD患者では64名 (35.0%), CAPD患者では24名 (63.2%) がlow-PTH群に相当した. HD患者では透析期間の短い症例にlow-PTH群の割合を多く認めた. HD, CAPD患者ともに年齢分布, 原疾患, 骨関節症状の頻度による両群間の差異は認めなかった. HD患者において高Ca血症の頻度はlow-PTH群に有意に多かった (p<0.001). CAPD患者において3.5mEq/l Ca濃度透析液使用者に比し, 4mEq/l Ca濃度透析液使用者にlow-PTH群の症例を多く認めた (p<0.001). HD患者の透析導入時C-PTHはlow-PTH群2.7±1.5ng/ml, non-low群5.2±3.4ng/mlであり, low-PTH群で有意に低値であった (p<0.01). CAPD患者の透析導入時のintact-PTHは, 両群ともに200pg/ml台であるが, 導入4か月以降low-PTH群では約50pg/ml前後を推移した. HD, CAPD患者ともにlow-PTH群は透析導入時以降PTHは継続して低値の傾向にあり, 副甲状腺機能低下の成因を考える上で保存期腎不全からの副甲状腺機能の推移も考慮する必要があると考えられた. 現時点でこれら副甲状腺機能低下症例は高Ca血症以外に特に臨床上問題を起こしていないがその予後について検討を要すると考えられた.
  • 杉本 徳一郎, 大本 由樹, 多川 斉, 齋藤 肇, 長田 太助, 原 和弘, 田村 勤
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1139-1142
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1995年3月までに, 冠動脈造影を施行した透析患者143例のうち, 冠動脈に有意狭窄を有した患者は108例, 有意狭窄病変のない0枝病変の患者は35例であった. 有意狭窄病変を有する患者の基礎疾患は, 慢性腎炎33%, 糖尿病性腎症42%, 腎硬化症17%, その他7%であり, 透析患者一般に比べて糖尿病性腎症と腎硬化症の頻度が高かった. 腎硬化症の患者は, 慢性腎炎, 糖尿病性腎症の患者より高齢であった. 透析期間は, 慢性腎炎の6.1年に比べて, 糖尿病性腎症では2.3年, 腎硬化症では1.3年と有意に短かった. すなわち糖尿病性腎症および腎硬化症による透析患者は虚血性心疾患を合併する頻度が高く, 透析導入期にすでに有意狭窄を合併する症例が多いことが示された. また糖尿病性腎症と腎硬化症では, 3枝病変や左冠動脈主幹部病変などの高度病変が多い傾向がみられた. 有意狭窄病変を有する患者に対して, 原則として1-2枝病変にはPTCAを, 3枝または左冠動脈病変にはCABGを選択した. しかし, 冠動脈石灰化や動脈硬化性合併症などのため, やむを得ず薬物療法を選択する症例もあった.
  • 栗山 哲, 友成 治夫, 疋田 美穂, 吉田 裕明, 国枝 武彦, 四家 敏秀, 川口 良人, 酒井 紀
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1143-1151
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全透析患者のドライウェイト (DW) 設定等の体液量管理に心房性Na利尿ペプチド (ANP), 脳性Na利尿ペプチド (BNP), およびこれらの細胞内のセカンドメッセンジャーであるcyclic-GMP (c-GMP) の相互関係や有用性を血圧, 除水量等との関連性から検討した.
    血液透析 (HD) 患者で, 1) ANP, BNP, c-GMP各々のHD前値は正常値に比較し著しく増加していた. HD前の上昇したANP, BNP, c-GMP値はHD後に著減した. 特にc-GMP, ANPは正常値上限近傍まで減少した. また, 三者間にはHD前値, HD後値, 透析による変化値 (Δ) のいずれの測定においても相互に強い正相関が認められた. 2) HD前c-GMPは収縮期血圧 (SBP) と有意に正相関を認めたが, ANPとBNPは血圧と関連性は認められなかった. 3) Δc-GMPはHDによる除水率 (%ΔBW) と相関した. しかし, Δ%BWとΔANP, Δ%BWとΔBNPとの間には関連性は認められなかった. 4) 糖尿病性 (DM) 腎不全HD患者においては, HD前, HD後において三者間の相関が減弱, またΔANP, ΔBNP, Δc-GMP間の相関関係は消失した. DM群と非糖尿病 (non-DM) 群間での比較ではHD後のANP, BNP, c-GMPはDM群でいずれも高値を示した.
    腹膜透析 (CAPD) 患者において, 5) HD患者同様ANP, BNP, c-GMP三者の値は正常値に比し著しく増加していた. 特にc-GMP, ANPは正常値上限に近く, HD後値にほぼ近似していた. 6) 三者間にいずれも強い正相関が認められた. 7) BNPはSBPならびに拡張期血圧 (DBP) と有意に相関したが, c-GMPとANPは血圧との関連性は認めなかった. 8) HD患者とは異なりDMの存在により6), 7) の相関関係が減弱あるいは消失することはなかった.
    以上, HD患者では透析後のANP, c-GMP値を正常値上限近傍 (ANP<60pg/ml, c-GMP<20pmol/ml) に設定することで適正なDWの目安の一つとして有用である可能性が示唆された. ANPとc-GMPでは後者が体液量の変化をより鋭敏に反映しているものと考えられた. 一方, CAPD患者においてもANP, c-GMPの有用性は認められた. BNPはDWの指標としては使えないと思われた. DM合併HD患者ではc-GMP, ANPの有用性は減弱する.
  • 大門 正一郎, 荒木 英雄, 松田 哲久, 宮崎 良一, 藤田 幸雄
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1153-1157
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血を発症し救命しえた慢性血液透析患者の1例を経験した. 症例は59歳, 男性. 1975年糖尿病と診断され1992年1月血液透析導入となった. 導入後経過良好であったが, 1995年8月11日朝6時頃, 突然激しい頭痛で覚醒し, 頭部CTにてくも膜下出血と診断 (Hunt分類grade II) され入院となった. nicardipine持続点滴による厳重な血圧コントロール下, nafamostat mesilate使用血液濾過透析を施行し, 止血剤, 浸透圧利尿剤投与により保存的治療を行った. くも膜下出血発症3および5日後, 血管攣縮によると思われる意識消失を血液透析施行直後におこし, 発症約2週間後には再出血をおこしたが, その後は安定な経過をたどり, 約2か月後には意識清明, 歩行可能となった. 10月21日, 頭部MRIアンギオグラフィーを施行, 左内頸動脈一後交通動脈分岐部および前交通動脈に動脈瘤らしきものを認めたが, 後者は確定的ではなかった. 慢性血液透析患者に発症したくも膜下出血の手術適応の有無は明らかでなく, 救命報告例は稀である. 厳重な血圧コントロール下, nafamostat mesilate使用血液濾過透析, 浸透圧利尿剤投与による保存的療法にても救命可能であったことから, 慢性血液透析患者におけるくも膜下出血に対しては, 保存的療法の有用性も示唆された.
  • 田所 正人, 島峯 良輔, 柴田 龍二郎, 田浦 幸一, 金本 康秀, 松隈 玄一郎, 船越 衛一, 大園 恵幸, 原 耕平, 原田 孝司
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1159-1163
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は維持透析中の62歳の男性で, 腸閉塞の保存的治療中に新鮮血下血が出現し当院に転院となった. 転院後も大量の新鮮血下血が間歇的にあり, 内視鏡的に上下部消化管を精査したところ, 直腸粘膜に拍動性の露出血管および同部からの出血を確認した. 露出血管を内視鏡的にクリッピングすることで止血し, 全身状態も改善した. 内視鏡的フォローアップでは, 直腸粘膜に多発性の小隆起性変化が認められたが, 組織学的にはgranulation polypであり, 修復過程にある粘膜像と判断された. さらにその後, 新たな出血性病変が認められ, 再度クリッピングを実施した. 元来便秘傾向にあったため, その改善に努め経過をみたが, その後の内視鏡検査にて直腸粘膜面がほぼ正常化していることを確認した.
    急性出血性直腸潰瘍の原因はストレス潰瘍説が有力であり, 本例の場合も腸閉塞の治療中というストレス状況下に露出血管病変が発症している. 一方, 続発した出血性病変時には良好な全身状態にあり, 便秘傾向の改善により直腸粘膜がほぼ正常化したことから, その発症には便秘の関与が考えられた.
  • 矢島 愛治, 柳沢 孝嘉, 野崎 治重, 高橋 郁夫, 稲生 綱政, 寺崎 裕美, 大坪 公子, 杉本 久之, 大坪 修, 蛭田 啓之, 河 ...
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1165-1169
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期慢性血液透析患者に副腎皮質癌が合併した症例を経験したので報告する.
    症例は, 43歳, 女性. 21年前より, 腎炎による腎不全のため血液透析を施行. スクリーニングの腹部CTで, 左腎上方に腫瘤を認め超音波, 血管造影の結果, 左腎腫瘍または, 左副腎腫瘍の疑いで左腎全摘出術を行った. 腫瘍は, 左副腎より発生しており腫瘍径は8×7×4.5cmであった. 3β-hydroxysteroid dehydrogenase染色により腫瘍は副腎皮質由来であることが示された. また, Weissのcriteriaの9項目のうち5項目が陽性であること, Vimentin染色陽性であることより癌であると診断された. 当症例は, 術後2か月目に他疾患により死亡した.
    慢性血液透析患者に副腎皮質癌が合併した症例は, 本邦では当症例が初めてであり, 文献的考察を加え, ここに報告した.
  • 阿部 みと, 今井 はるみ, 佐藤 利枝子, 高橋 満知子, 石川 正明, 政金 生人, 柿崎 弘
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1171-1176
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析患者で高齢初産である症例の妊娠, 出産を経験したので報告する.
    症例は透析歴12年, 37歳, 平成6年4月25日を最終月経として妊娠した. 妊娠9週で切迫流産のため入院し, 本人の挙児希望が強く妊娠継続に踏み切った. 透析患者の妊娠の合併症に挙げられる羊水過多, 胎児発育不全を防止するため, 透析のスケジュールとドライウェイトを調整した. 透析前BUN 50mg/dl以下, Cr 7mg/dl以下におさえるために, 透析時間を妊娠9週から週6回4時間に増やした. 心臓超音波検査で左心房径を測り体格指数で標準化した値 (LAD/BMI), ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド (HANP), 上腕周囲径と皮下脂肪厚の測定を行い, 適正ドライウェイトを設定した. 妊娠を支援する体制として, 透析, 産婦人科, 小児科間のスタッフミーティングを定期的に行った. 十分な透析と適正ドライウェイト設定にもかかわらず, 妊娠20週から羊水過多や胎児発育不全が出現した. 妊娠31週に妊娠中毒症を併発し, 帝王切開で1,484gの女児を出産した.
    透析患者の妊娠は, 羊水過多, 体格の変化, 胎児発育不全, 妊娠中毒症等の要因で適正ドライウェイトを設定することが困難である. LAD/BMI, HANP, 体脂肪量等を多角的に評価して適正ドライウェイトを設定することが, 慢性維持透析患者の妊娠に際しては必要と思われた.
  • 高野 隆一, 飯野 聡, 花田 麻紀, 草野 英二, 浅野 泰, 本多 正徳, 古瀬 信, 安田 是和
    1996 年 29 巻 7 号 p. 1177-1181
    発行日: 1996/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は67歳, 男性. 昭和42年 (40歳時) 慢性糸球体腎炎と診断され, 昭和56年4月29日 (54歳時) より維持血液透析を施行されていた. 昭和62年9月に左内腸骨動脈瘤破裂の既往がある. 平成6年4月7日午後4時, 納屋の2階より落下し, 左第7・8肋骨を骨折し保存的に加療されていた. 受傷時の腹部CTは施行されていない. この間血液透析時の抗凝固薬は, 低分子ヘパリンが使われていた. 血液透析翌日の4月29日, 左背部の激痛が出現し前ショック状態となり緊急入院となった. 腹部CT施行したところ, 肝周囲腹腔内にみられる液体貯留像と脾の腫大および脾内のlow density areaを認め, 脾破裂が疑われ緊急血管造影施行. 出血部位確認後, transcatheter arterial embolization (TAE) 施行し止血を確認した. 塞栓術後, 疼痛の再発, 貧血の進行を認めず, 1年後の腹部CTにても異常所見は認められていない. 本症例は透析患者に発症した遅発性脾破裂の最初の報告であり, TAEが有効で, 脾を温存し得た.
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