日本透析医学会雑誌
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30 巻, 9 号
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  • 第41回日本透析医学会技士ワークショップから
    坂下 恵一郎, 岸本 武利
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1111-1114
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 日米比較を通して
    岡 美智代, 保科 良子, 佐藤 正美, 戸村 成男, 高橋 邦恵, 向高 利子, 日台 英雄, 土屋 滋, 宇田 有希
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1115-1121
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    専門看護の資格化がすすめられているが, 腎不全に関しては後れをとっている. そこで1) わが国の腎不全専門看護師と透析認定看護師, 2) わが国の腎不全以外の専門看護師, 3) わが国の透析以外の認定看護師, 4) 米国の腎不全専門看護婦, これら4資格について, (1) 必要性, (2) 制度の目的, (3) 定義, (4) 認定に必要な教育レベル, (5) 役割, (6) 認定機関, (7) 今後の課題について文献を通して比較検討を行った. さらに, 米国の腎不全専門看護婦の活動の実地調査を行ったので報告する.
    その結果, わが国の腎不全専門看護師と透析認定看護師について本研究の目的にあった内容が述べられている文献はなかった. 腎不全以外の専門看護師の役割は実践, 教育, 相談, 調整, 研究とされており, 認定看護師は実践, 指導相談とされていた. 米国の腎不全に関する専門看護師は, Advanced Practice Nurse (APN) とCertified Nephrology Nurse (CNN) の2資格に分かれていた. APNの役割は直接ケア, 調整相談, 教育, 研究, 管理とされており, CNNについては直接ケア, 調整, 相談, 教育, 研究とされていた.
  • 近藤 英樹, 寺本 好告, 満生 浩司, 鶴屋 和彦, 原田 篤実
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1123-1127
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Ankle-arm blood pressure index (AABI) が慢性血液透析患者の動脈硬化性病変の指標となるか否かを検討するため, 当院外来透析患者101名で月1回, 約1年に渡りAABIを測定. 脳血管障害 (CVD), 冠動脈病変 (CAD), 末梢動脈病変 (PVD) との関係を検討した. いずれの疾患においてもAABIは, 病変を持つ群が低値を示した (CAD: 0.99±0.16vs 1.17±0.10, CVD: 1.02±0.18vs 1.13±0.13, PVD: 0.95±0.15vs 1.13±0.13). AABIと病変数を検討すると, 病変数増加に伴いAABIは低下した (0病変1.18±0.09, 1病変1.09±0.13, 2病変0.91±0.14). 高血圧の有無では, 高血圧群で低値を示した (1.08±0.17vs 1.15±0.10). 糖尿病に関しても, 糖尿病群で低値を示した (0.98±0.16vs 1.16±0.11). 年齢, 透析歴とAABIの関係を101名で検討すると, 年齢では負の相関を認めたが (r=-0.428), 透析歴では相関を認めなかった (r=+0.105). DM群, 非DM群に分けての検討では, 非DM群でのみ, AABIと年齢の間に負の相関を認めた (r=-0.425). これは, DM群では年齢以上に糖尿病性合併症が大きく寄与するためと考えられた。 AABl 1.0未満では95.2% (20/21) で動脈硬化病変を合併していた. AABI 1.0以上を示しながら動脈硬化病変を有する症例も31.3% (25/80) 認めたが, このうち88.0% (22/25) に下肢動脈石灰化を認め, これらの症例を除外すれば動脈硬化病変を有するのはわずか3.8% (3/80) となった. AABIは, 繰り返し容易に測定でき, 動脈硬化病変の有無と程度をよく反映することより, 慢性血液透析患者の動脈硬化病変の指標として有用であると考えられた.
  • 横田 直人, 久永 修一, 藤元 昭一, 佐藤 祐二, 木下 浩, 石原 旅人, 麻生 和義, 江藤 胤尚
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1129-1134
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は27歳, 女性. IgA腎症による慢性腎不全のため'94年12月に血液透析に導入となった. '94年7月から特発性血小板減少性紫斑病のためプレドニゾロン (PSL) の大量経口投与を受けていたが, 同薬減量中に血小板減少に伴う紫斑が出現し, 当科へ入院した. PSLを増量 (60mg/日) したが効果は持続せず, 6週間目より漸減を開始した. 9月中旬より38℃台の発熱, 乾性咳が出現した. 各種培養は陰性で抗生剤も無効であった. 胸写にて明らかな異常を認めなかったが, 軽度の低酸素血症があり, 胸部CTにて全肺野に不均一な間質性陰影を認めた. 気管支鏡下に採取されたBAL液よりPneumocystis cariniiの胞体を検出し, カリニ肺炎と診断した. 9月26日よりpentamidine 300mg/日の吸入とsulfamethoxazole-trimethoprim合剤2400mg/日の経口投与を開始し, さらに真菌とcytomegalovirusの混合感染を想定してfluconazole 50mg/日とganciclovir 100mg/隔日の経静脈投与を行った. カリニ肺炎の経過は良好であったが, 10月5日に突然強い嘔吐と両下肢の振戦および夜間不穏が出現した. ganciclovir中止後これらの症状は消失したためganciclovir脳症と考えた. 同薬の血中濃度を測定したが非透析日の半減期は著しく延長し, 投与53時間後も2.91μg/lの高濃度を維持していた. 文献的にganciclovirは血液脳関門を通過することが知られており, 同薬の脳内蓄積が脳症の原因と考えられた. カリニ肺炎は進行が早く致死的疾患であり, しばしば真菌やcytomegalovirusの混合感染が見られる. 本症例ではカリニ肺炎を早期診断し, 治癒しえた意義は大変大きいと思われる. しかし, ganciclovir脳症をきたし, 透析患者におけるganciclovirの投与方法の確立が望まれる.
  • 宮本 哲明, 松岡 潔, 有薗 健二, 早野 恵子, 福井 博義, 久木山 厚子, 桑原 邦治
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1135-1139
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は44歳, 男性. 1996年1月, 全身倦怠感, 体重減少を訴え, 内科受診. 高度の貧血, Cr値の上昇を認め, 当科紹介入院となった. 入院1か月後, 下血を認めたため消化管の精査を行ったが, 出血源は確認できず外来経過観察となった. 6月全身倦怠感, 食思不振, 間歇的な上腹部痛を訴え再入院となった. 入院時, Cr10mg/dl, BUN165mg/dlと腎不全が進行しており血液透析に導入した. 便潜血陽性で, Hb3g/dl, Ht12%と高度の貧血を呈していた. 小腸透視にて径約3cmの腫瘍病変が認められた. 造影後, 2日目より持続的な上腹部痛が出現, 腹部CTを施行したところ口側の拡張した空腸に続いて外筒に陥入した内筒からなる浮腫状の腸管の拡張を認めた. 小腸透視と腹部CTの所見より小腸腫瘍による腸重積と診断し開腹手術を施行した. トライツ靱帯より約60cmの部位に約40cm程度の空腸一空腸重積を認め, 整復すると先進部に漿膜浸潤を有する鶏卵大の腫瘍を触れ, これを含めて約90cmの空腸切除, 腸間膜のリンパ節の郭清を行った. 切除標本では3cm×3cmの腫瘍を認めた. 病理組織学的には分化型腺癌であった. 小腸腫瘍は稀な疾患で診断は非常に困難であるが, 出血源不明である消化管出血と高度な貧血を伴った腎不全患者においては小腸の腫瘍も念頭において十分な消化管の精査をしなければならないと思われた.
  • 矢花 眞知子, 栗田 和夫, 渡邊 順, 高木 信嘉, 木原 実, 田村 功一, 山口 聡, 南澤 真弓, 矢野 貴彦, 前本 智子, 戸谷 ...
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1141-1146
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    頸部リンパ節結核によるrHuEPO抵抗性を示した53歳女性の血液透析患者の1例を報告する.
    本例は1986年慢性腎盂腎炎による慢性腎不全にて血液透析導入となった. 必要と判断された場合には鉄剤の投与を行いながら, 腎性貧血に対し1990年よりrHuEPOを週4500単位より投与開始した. 1991年からは週6000単位に増量したが, Htは上昇せず24%以上に維持されることはなかった. 1992年3月に頸部リンパ節結核を発症したため, isoniazid 0.4g/日およびrifampicin 0.45g/日の投与を開始した. 服薬は不規則であり臨床症状は改善しなかった. 1993年1月streptomycin 2g/週, 5週間の投与を開始した. これにより症状が改善すると同時にrHuEPOに対する反応性が良好となり, rHuEPo週4500-9000単位の投与量にてHt28-30%に維持されるようになった. isoniazidおよびrifampicinの投与はそれぞれ1993年5月, 11月まで行った. 現在のところ結核再発の兆候は認められていない. 本例は頸部リンパ節結核発症以前にすでにrHuEPO抵抗性を示していた. その原因として結核菌の持続感染の存在が考慮された. 結核は, 血液透析患者においてrHuEPO抵抗性を生じうると考えられた.
  • 斉川 茂樹, 下坂 幸正, 岡田 謙一郎
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1147-1149
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Erythropoietin (rHuEPO) 投与が原因と考えられた骨痛の1例を報告する. 症例は64歳の女性であり, 慢性糸球体腎炎による慢性腎不全により血液透析に導入され, その後8年間維持透析を受けている. 腎性貧血 (Ht 21.8%) によりrHuEPO 1500単位の週3回投与が開始され, 投与10回目終了時より左肩甲骨に始まる全身の骨痛を訴えた. diclofenac sodium錠服用により痛みは自制内となるためrHuEPOの投与を持続された. 4か月後Ht 24.6%でrHuEPOの投与が中止されたところ直ちに骨痛は消失した. その後再びHt 20.7%となったためrHuEPO 1500単位の週1回投与が再開されたところ再び左肩左足首に始まる全身の骨痛を訴えた. 1か月後Ht 32.8%で投与終了され直ちに骨痛は消失した. 患者はほぼ同時期に合併症として特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) を合併していた. rHuEPOの副作用としての骨痛の報告は少ないが, G-CSFでは多く報告されている. 本症例の骨痛の原因としてG-CSFと同様の機序およびITPの合併の関与が推察された.
  • 久保 晋吾, 宮原 義門
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1151-1154
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者や高齢者導入の増加に伴い, ブラッドアクセス作成困難症例も増加している. 特に内シャント作成に利用可能な上肢の表在静脈が荒廃し, 加えて鎖骨下静脈が狭窄・閉塞しているような場合はさらに困難を要し, 結果として適正な透析の施行が妨げられることとなる.
    我々は, 上肢に内シャント作成に利用可能な表在静脈がなく, さらに過去に幾度かのカテーテル挿入により鎖骨下静脈の狭窄をきたした慢性腎不全患者に対し, 人工血管を用いて良好なシャントを形成し得た. すなわち, 鎖骨を乗り越えた右上腕動脈-右外頸静脈バイパス術を行い, グラフト穿刺を行うことで双方の問題を解消した.
    過去に鎖骨下静脈狭窄症に対する処置には多くの報告があるが, 直接狭窄部位に対してバイパス形成, ステント挿入, あるいは血管拡張術を施行したというものが多く, いずれも上肢に内シャント作成に利用可能な表在静脈を必要とする. 本術式は鎖骨下静脈の狭窄・閉塞部位を残したまま, さらに上肢の表在静脈が存在しない場合でも施行可能であり, 今後も検討の価値のある-術式と思われた.
  • 後藤 康樹, 田村 健, 鈴木 徹, 大堀 理, 岡本 知士, 藤岡 知昭
    1997 年 30 巻 9 号 p. 1155-1157
    発行日: 1997/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は47歳の女性で内シャントを作成し9年前より慢性腎不全で外来血液透析を施行していた. 平成8年3月31日の透析時に左前腕穿刺部に血腫を形成, 徐々に増大傾向にあったため, 5月14日に当科紹介となった. 血管造影により, 非シャント部の橈骨動脈の仮性動脈瘤と診断, 同年5月20日, 瘤切除および動脈穿刺部の直接縫合閉鎖術を施行した. 術後経過は良好である. 原因は穿刺時, 誤って橈骨動脈を損傷したために血腫を形成し仮性動脈瘤が発生したものと考えられた.
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