日本透析医学会雑誌
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32 巻 , 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 今枝 貴芳, 柴田 昌典, 内山 秀男, 谷口 信吉, 宇佐美 一政, 川島 司郎
    1999 年 32 巻 10 号 p. 1287-1290
    発行日: 1999/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    尿中α-microglobulinを170名の腎疾患患者で測定し, 腎障害の重症度との相関について調べた. 尿中α1-microglobulinは, 血清creatinine, blood urea nitrogen, creatinine clearanceとよく相関した. 特に血清creatinine, blood urea nitrogenがさほど高くないのにcreatinine clearanceが著しく低下している症例ではcreatinine clearanceが低下していない症例に比し, 尿中α1-microglobulinは明らかに高かった (p<0.01).
    尿中α1-microglobulinの定量は簡便であり特に腎機能の低下している症例で保存期腎不全患者の経過をみるうえで, 維持透析への導入の判定上有用であろうと考えられた.
  • 大橋 篤, 日比谷 信, 中上 寧, 加藤 政雄, 芳川 博人, 鳥羽 貴子, 久志本 浩子, 勝又 秀樹, 村上 和隆, 長谷川 みどり, ...
    1999 年 32 巻 10 号 p. 1291-1297
    発行日: 1999/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年, 一部の化学物質が内分泌撹乱物質として問題となっているが, 塩化ビニル製血液回路から溶出するフタル酸ジエチルヘキシル (DEHP) はその1つである. 我々は, 血液透析の際にDEHP量を測定し, ハイパフォーマンス膜 (HPM) がDEHP除去に有用であることを明らかにした.
    先ず, 体外実験で, 血液回路にアルブミン (Alb) 溶液を灌流させ, DEHP濃度を測定した. 次に, 回路に再生セルロース (CU) 膜, セルローストリアセテート (CTA) 膜を各々装着し, Alb溶液を灌流して, 最終的なDEHP溶出量を測定した. その結果, 回路からのDEHP溶出量は0.95mgであり, 回路にCU (AMFP 110) 膜を装着した場合のDEHP溶出量は0.72mg, CTA (FB 90 U) 膜では0.17mgであった. 次に, 膜の細孔径の違いがDEHPの溶出量に及ぼす影響をみるために, 膜素材 (CTA) は同じであるが, 細孔径が異なるFB-E (55Å) とFB-F (75Å) の比較を行った. その結果, DEHPの溶出量は, FB 50 Eが0.47mg, FB 50 Fは0.29mgであり, 細孔径の大きな膜では溶出量が減少した.
    臨床実験で, CU膜, CTA膜, およびPS膜で1年以上血液透析を施行した患者のHD前, 後の動脈血液中DEHP濃度を測定した. HD前のDEHP濃度は, 全ての患者で感度以下であったが, 透析終了時には, CU群0.69±0.31mg/lに対し, CTA膜群0.41±0.07mg/l, PS膜群0.25±0.21mg/lで有意に低値であった. 以上の結果より, 親水性のCU膜ではDEHPの除去能は低いが, 疎水性の高いHPMはDEHPを吸着除去でき有用である.
  • 田村 忠司, 川口 良人, 杉本 健一, 太田 真, 東條 克能, 細谷 龍男
    1999 年 32 巻 10 号 p. 1299-1304
    発行日: 1999/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者において大腿動脈血流速波形の解析が動脈硬化評価の指標になりうるかを検討した.
    非糖尿病性維持透析患者18例 (D群) および対照群18例 (C群) において, パルスドプラ法を用いて大動脈弓部血流速波形, 大腿動脈血流速波形を記録した. 大腿動脈血流速波形より, 心電図のR波と大腿動脈血流速波形の立ち上がりまでの時間 (R-FA), 収縮期順方向性最高血流速度 (peak FA) と逆方向性最高血流速度 (rev FA) の比 (R), R波とpeak FAの時間 (R-PV) を計測し, 2群間で比較するとともに, 透析患者においては大動脈硬化の指標とされている大動脈脈波速度 (C-PWV) との相関を検討した.
    大腿動脈血流速波形の指標であるR-FA, R-PVおよびpeak FA, RはD群で有意に小であった. C-PWVはD群でC群に比して有意に大であった. C-PWVはR-FAおよびR-PVと有意な負の相関を認めたが, 大腿動脈よりも末梢側の情報を反映すると考えられる他の因子とは相関を認めなかった.
    透析患者における大腿動脈の血流解析は大動脈および大腿動脈よりも末梢側の動脈硬化の簡便な指標となる可能性が示唆された.
  • 大橋 宏重, 小田 寛, 大野 道也, 渡辺 佐知郎, 大熊 俊男, 皆川 太郎, 平野 高弘, 石黒 源之, 坂田 茂樹
    1999 年 32 巻 10 号 p. 1305-1311
    発行日: 1999/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析 (HD) 患者で心肥大があり, 左室収縮機能の低下している症例は予後不良である.
    今回, 心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) ならびに脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP) がHD患者のいかなる心病態を反映しているか検討した. 対象は36名のHD患者で, 透析前後の検体からANP, BNPの血漿濃度を測定した.
    ついで心臓超音波検査と123I-metaiodobenzylguanidine (MIBG) を用いた心筋シンチグラフィーを施行し, HD患者の心病態と血漿ANP, BNP濃度との関連性について検討した.
    以下の結果が得られた. (1) HD患者のANP, BNPの血漿濃度は上昇していた. また透析後の血漿ANP濃度と血漿BNP濃度との間に正の相関が認められた. (2) 透析後の血漿ANP濃度は左室心筋重量係数 (LVMI) と正の, MIBG心筋シンチグラムより求めたH/Mと負の相関を認めた. (3) 透析後の血漿BNP濃度は左室拡張機能の指標であるA/E, LVMIと正の, 左室駆出率 (LVEF), H/Mと負の相関が認められた. またLVMI, A/Eに対する相関は血漿ANP濃度に比較して血漿BNP濃度で高度であった. (4) 透析後のBNP/ANPは血漿BNP濃度と同様にLVEF, A/E, LVMI, H/Mとの間に相関を認めたが, LVEFならびにA/Eとの相関は血漿BNP濃度に比較して高度であった. (5) BNP/ANPが3-5はLVMIは増大していたが, LVEFは比較的良好に保持されていた. しかしながらBNP/ANP5<はLVMIは増大し, LVEFも低下していた.
    以上より, ANPに比較してBNPは左心機能を反映し, なかでもBNP/ANP 5<を呈するHD患者は高度な心肥大と交感神経機能低下が認められ, しかも左室収縮機能が低下していた.
  • 井上 真, 桜井 俊宏, 丹波 嘉一郎, 古谷 裕章, 本間 寿美子, 草野 英二, 浅野 泰
    1999 年 32 巻 10 号 p. 1313-1317
    発行日: 1999/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ネフローゼ症候群を呈し, 先天性片腎無形成を伴ったKlippel-Feil症候群と診断された患者が, 慢性腎不全に進行し, CAPD導入となったので報告する. 症例は, 42歳女性. 9年前顔面浮腫を呈し, ネフローゼ症候群と診断. 精査にて片腎であり, 短頸, 頸椎癒合, 側彎を認め, Klippel-Feil症候群と診断. 腎生検は行われなかった. 3度妊娠するも腎機能障害のため2度は, 人工中絶, 1度だけ中絶を勧められるも出産した. その後外来通院せず平成7年12月呼吸困難にて近医入院, ダブルルーメンカテーテルにて血液透析施行. 当院紹介されるも動脈奇形にて内シャント造設できず, negative selectionにて平成8年1月CAPD導入となった. Klippel-Feil症候群にて腎不全を起こした報告は稀であり, ここに報告した.
  • 西本 愛, 長野 善朗, 中村 恵, 大塚 容子, 池田 裕次, 冨吉 義幸, 酒見 隆信, 宮園 素明, 米満 伸久, 高原 和秀
    1999 年 32 巻 10 号 p. 1319-1323
    発行日: 1999/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析導入後間もない慢性腎不全患者に合併した副甲状腺癌の一例を報告する. 45歳, 女性. 17年前より高血圧を指摘されており, 1991年3月腎障害の精査目的にて当院に入院となった. 入院時, 両腎の石灰化があり, 末期腎不全にもかかわらず高カルシウム傾向を認めたため原発性副甲状腺機能充進症 (C-PTH 5.0ng/ml) が疑われた. しかし, 副甲状腺シンチグラフィー (TI-Tc subtraction image) による集積像は認められなかった. 1992年6月より血液透析導入となったが, 3か月後にPTH値および血清Ca値の急激な上昇を認めたため当科に再入院となった. MRIおよびCTにて甲状腺右葉下極から上縦隔に達する巨大な腫瘍を認め, 副甲状腺腫瘍による副甲状腺機能亢進症と考え, 同年11月に腫瘍の摘出術を行った. 同腫瘍は組織学的所見から副甲状腺癌と診断された. 同時に摘出した他の2腺には過形成などの異常所見は認められなかった.
    こうした所見から, 本症例はこれまで透析患考で報告されている二次性の副甲状腺機能亢進症に合併した副甲状腺癌ではなく, 原発性のものである可能性が高いと思われた.
  • 山師 定, 寺島 剛, 亀岡 博, 渡邊 浩毅, 畠中 豊人, 奥田 康之, 佐藤 秀樹, 大岡 啓二, 横山 雅好
    1999 年 32 巻 10 号 p. 1325-1329
    発行日: 1999/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は47歳男性で, 既往歴は15歳頃に糖原病Ia型と診断され, その頃より心肥大, 高血圧, 痛風腎, 肝腎障害あり. 家族歴は両親同士は血族結婚であり, 弟も糖原病Ia型である. 現病歴は平成8年12月23日より全身倦怠感あり, 12月25日救急車で来院. 高度の腎不全による高カリウム血症を認めたのでHDに導入した. 12月27日にCPK, GOT, GPT, LDHおよび血中ミオグロビンが上昇したので横紋筋融解症と診断しCHDFに変更した. さらに横紋筋融解症よりDICを併発したのでCHDFとともにDICの治療やビリルビン吸着等を行った. しだいに改善したので慢性維持透析に移行し経過良好である. glucose-6-phosphataseの遺伝子解析は, エクソン5のdirect sequence法を用いてG727 T変異のホモ接合体と診断された. 本症例のように糖原病Ia型が直接横紋筋融解症の誘因になったという報告は見当たらない. 乳酸値が高値を示していたことより, 糖原病Ia型の存在のため乳酸アシドーシスをきたしやすい状態にあり, 横紋筋融解症を惹起したと考えられた.
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