日本透析医学会雑誌
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32 巻 , 7 号
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  • 大河原 晋, 斎藤 幹郎, 鈴木 昌幸, 矢作 友保, 田部井 薫, 浅野 泰
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1051-1057
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的: HD前後の血漿総蛋白濃度 (TP) 測定より算出される循環血漿量変化率 (%ΔCPV) のドライウェイト (DW) 設定の指標としての有用性を検討し, さらに%ΔCPVと血管透過性との関連についても検討した.
    対象および方法: 安定維持透析症例54名において, HD前後でTPを測定し%ΔCPVを算出した. %ΔCPVとHD施行中における時間あたりの体重変化率 (%ΔBW/h) の間には有意な負の相関を認め, 回帰直線の+5%以上 (Group 1; 除水にても比較的循環血漿量の減少が少ない群), ±5%内 (Group 2; %ΔBW/hより循環血漿量の減少がおおよそ推定できる群), -5%以下 (Group 3; 除水により循環血漿量の低下が著しい群) の3群に分け, 検討を行った. さらに%ΔCPVと血管透過性に関しても検討した.
    結果: 1) CTRは, Group 1はGroup 3に比し有意に大きく, Group 1のDWの設定が高い可能性があることを示唆していると思われた. また, HD前後での平均血圧変化率 (%ΔMAP) は, Group 3はGroup 1, Group 2に比較して有意に変化率が大きい, すなわちHD前に比しHD後に平均血圧が低下した. このことはGroup 3ではDWの設定が低すぎるか, plasma refillingの能力に比し除水速度が大きすぎるために血圧低下をきたしていると考えられた. 2) plasma refilling rateおよび血管透過係数 (Kr) はともに3群間でそれぞれ有意差を認めた. 3) 血管透過性とANPとの関連においては, plasma refilling rateとΔANPは有意の正相関を示した.
    結論: HD前後でのTP測定より求められる%ΔCPVはCTRおよび%ΔMAPを反映することよりDW設定の新たな指標になりうると思われた. また, %ΔCPVは血管透過性の影響を受けている可能性が示唆された.
  • 田中 一誠, 前田 貴司, 香川 直樹, 小川 貴彦, 岡本 有三, 平田 雄三, 善家 由香里, 山崎 浩之, 時田 大輔, 井手 健太郎 ...
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1059-1064
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    当センターでこの12年間に経験したpositive selectionのCAPD症例59例中, 死亡15例, 血液透析 (HD) への移行23例の計38例 (64.4%) が, CAPD脱落症例であった.
    これらの脱落原因の50%がCAPDに関連したもので, 中でもHD移行の主な理由は, 限外濾過不全, 難治性・頻回のCAPD腹膜炎, 硬化性被嚢性腹膜炎 (SEP) であった. また, 開腹手術を要した6例中5例がHDへ移行した. 脱落関連因子として, CAPD施行期間の長さ, CAPD腹膜炎罹患が有意に相関があると考えられた.
    SEP症例は, 59例中3例, 5.1%であった. 限外濾過不全のためHD移行後, この前段階と考えられる著明な腹水貯留4症例に, 発症早期からのステロイド治療が有効であった.
    CAPD排液中のamylase値は, 平常時およびCAPD腹膜炎時には, それぞれ, 5.6±2.7, 19.3±22.6mU/mlで, 後者で有意に高値を呈した. 穿孔性腹膜炎2例 (S状結腸, 回腸) と急性膵炎1例に緊急開腹手術を施行したが, 術前のこれらの値はさらに著明な高値を示し, 一般のCAPD腹膜炎との鑑別に極めて有用であった. 回腸穿孔例では, 術後に縫合不全を合併し手術死亡となったが, このような後期の腹膜硬化症を呈する症例においては, 腸管吻合に重大な危険性が存在すると考えられた.
    脱落症例38例中16例に, カテーテル抜去時や開腹手術時に腹膜のサンプリングが行われ, 病理組織学的検索がなされた. CAPD施行期間が8-18か月の3例では, いずれも腹膜線維症の所見であった. しかし, 60か月以上の13例中12例, 92.3%では, 腹膜機能障害が非可逆性といわれる中期以後の腹膜硬化症の所見 (中期5例, 後期7例) が認められ, 極めて注目すべき結果が得られた. この事実は, かかる長期CAPD症例においては, SEPとの関連から, その中止時期も含めて, 注意深い経過観察が必要であると考えられた.
  • Ping Ma, Toru Hyodo, Shinji Yokota, Kazuo Kumano, Tadasu Sakai
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1065-1070
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ヒト腹膜中皮細胞 (HPMC) の増殖に対して各種浸透圧物質が与える影響を培養細胞を用いて検討した. 細胞増殖能は3H-thymidineの細胞内取り込みにて, 細胞損傷の指標としてはLDHの培養液上清中への放出にて評価した. 晶質浸透圧物質としてglucose, raffinose, sorbitol, sucrose, mannitol, glycerol, Amiyuを50mM, 100mMの濃度で, 膠質浸透圧物質としてはdextran 70, maltodextrin, hydroxyethylstarch 20を3.5%, 7%の濃度で検討した.
    HPMCは浸透圧物質の濃度依存性に細胞増殖が抑制されたが, 膠質漫透圧物質に比べ晶質浸透圧物質においてより強い抑制が認められた. 高濃度 (100mM) での晶質浸透圧物質ではその多くに有意な細胞傷害が観察されたが, 膠質浸透圧物質 (7%) では有意差は認められなかった. また晶質浸透圧物質間でも細胞傷害の有無に差が認められた.
    細胞増殖能は浸透圧物質の濃度依存性に抑制されるが, 各々の浸透圧物質の持つ細胞に与える毒性の影響も考えられた. 膠質浸透圧物質はHPMCに対し晶質浸透圧物質に比し細胞毒性の程度は低いと思われた.
  • 田部井 薫, 黒田 豊, 高野 隆一, 増永 義則, 井上 真, 赤井 洋一, 浅野 泰
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1071-1077
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析中の除水により血圧が低下することがあるが, これは循環血液量の減少によるといわれている. しかし, 臨床的には簡便に循環血液量の変化を知る方法はない. 今回我々は血清総蛋白濃度 (TP) を透析前後で測定し, その濃度変化から循環血漿量 (CPV; circulating plasma volume) の変化を推定してドライウェイトの設定に役立つか否かを検討した.
    透析中に循環血中の蛋白総量が変化しないとするならば, CPVB×TPB=CPVA×TPAが成立する. ここでBとAは透析前と後を表す. したがって, 総蛋白濃度変化 (TPB/TPA) は循環血漿量の変化 (CPVA/CPVB) を表す. 61例の安定維持透析患者で, 12-24か月にわたり透析前後の総蛋白濃度とその他のパラメーターを比較した.
    循環血漿量の変化 (%ΔCPV) は体重変化率 (%ΔBW) と正の一次相関を示した (y=3.54x-0.16, r=0.63, p<0.0001, n=992). そこで, %ΔCPV/%ΔBW (PWI; plasma body weight index) を指標として, 5群に分けて検討した. I群PWI<0, II群PWI0-2, III群PWI2-4, IV群PWI4-6, V群PWI>6. 心胸郭比 (CTR) はI, IIで有意に大きく, 透析による血圧低下はIV, V群で有意に大きかった. 各個人のPWIとCTRとの関係をみると, 観察期間中にCTRの変化が5%以下の症例ではPWIとCTRに相関はないが, 8%以上の変動のあった症例では19例中15例で負の有意な相関を示した. つまり, CTRの増加に伴いPWIは減少した.
    以上のことから, 透析前後の総蛋白濃度を測定することは有用で, 循環血漿量の変化を知ることができる. その結果, 1%の体重変化は循環血漿量を平均3.5%減少させた. 循環血漿量変化率/体重変化率で定義されるPWIはドライウェイト設定の指標の一つとなりうると思われた.
  • 宮高 和彦, 大貫 雅弘, 大山 信雄, 本宮 善恢
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1079-1083
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    22-oxacalcitriol (OCT) は活性型ビタミンD3 (Vit D3) の誘導体であり, calcitriolと比べ血清Ca上昇作用が弱いことが報告されている. 今回我々は二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) を合併しVit D3経口パルス療法で治療困難であった患者10例を含む維持透析患者14例を対象にOCT週3回26週間静脈内投与を行い, その有用性を検討した. intact-PTHは投与前1553±626pg/mlから26週後では1063±608pg/mlに, ALP値も769±536IU/lから501±498IU/lにいずれも有意 (p<0.01) に減少した. 投与開始時に比較しintact-PTHが50%以上減少した著明改善例は5例 (35.7%) に, 30%以上50%未満減少した中等度改善例は4例 (28.6%) に認められた. 自覚症状 (〓痒感, 骨・関節痛) を有した13例中7例 (53.8%) に改善が認められた. 高Ca血症は全く認めず, 臨床検査値異常あるいは副作用など安全性に問題はみられなかった. OCTはVit D3経口パルス療法で治療困難な難治性2°HPTに対し有用であることが示唆された.
  • 小山内 誠, 久木田 和丘, 花本 尊之, 内田 泰至, 花田 裕之, 鹿取 正道, 増子 佳弘, 安原 満夫, 田中 三津子, 玉置 透, ...
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1085-1089
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    人工血管による内シャント合併症の一つとして, 血清腫 (seroma) がある. これは, 人工血管より漏出した血清による貯留腫である. 通常, 漏出部を焼灼ないしグラフトの部分置換術を必要とし難治性である. 今回, 血清腫2例に対してビオボンド®を使用し, 良好な結果が得られたので報告する. 本剤はシアノアクリレートを主成分とする生体組織接着剤で, その接着性は従来のフィブリノーゲン製剤より強固かつ安定である. 方法は, 適応部位に本剤を塗布し熱風で乾燥させるものである.
    1例では, 増大する大腿血清腫に対しフィブリノーゲン製剤による接着をはかったが再発し, ビオボンド®を使用した. 他1例では, 前例をふまえ初回からビオボンド®を使用した.
    いずれの症例も, 経過観察中再発なく, ビオボンド®は血清腫に対し有効な治療法となり得ると考えられる.
  • 篠 朱美, 岡田 知也, 松本 博, 韓 明基, 日高 宏美, 吉野 麻紀, 山田 親行, 長岡 由女, 中尾 俊之, 福武 勝幸
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1091-1094
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全を合併した血友病A患者に血液透析を施行し, 透析中の凝固トラブルや透析後の止血, 出血等の合併症を良好にコントロールして, 維持透析を継続し得た症例を経験したので報告する. 症例は58歳男性. 幼少時より出血症状あり, 17歳時, 血友病Aと診断された. 気管, 上部および下部消化管, 腎, 全身の関節内に出血の既往あり. 原因不明の慢性腎不全にて, 47歳頃より徐々に腎機能低下, 1996年2月, 56歳時, 第VIII因子製剤持続注入下にて, 左前腕内シャント造設術施行. 同年3月, 血液透析導入となった.
    週3回4時間の透析時, 抗凝固剤は使用せず, 毎回終了直前に第VIII因子製剤1000単位を静注し, 5-10分で止血可能であった. 同剤輸注48時間後の採血にて, 第VIII因子15-20%と良好に維持. 血液透析導入後は, 関節内出血や血尿は稀となったが, 出血が疑われる際には, 臨時で同剤1000単位を連日自己注し, 4-5日で軽快した. 透析前日に輸注した時のみ, 翌日透析時, nafamostat mesilate (フサン®) を, 40mg/hで持続注入した. 現在のところ, 第VIII因子インヒビターは陰性である.
  • 佐野 隆, 鎌田 貢壽, 長場 泰, 泉田 いぶき, 巽 洋, 桜井 健二, 小林 豊, 東原 正明
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1095-1098
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は58歳, 女性. 昭和51年2月, 慢性腎炎による慢性腎不全にて血液透析導入となり維持透析を継続していた. 平成6年10月頃より腰痛を自覚. 炎症反応の上昇と歩行障害を認めるようになり同年11月19日当院へ入院. 入院時現症では下肢不全対麻痺の状態で, MRIにてL5-S1に椎間板炎の所見を認めた. 椎間板炎はStaphylococcus, Pneumacoccusなどの一般細菌を原因とする場合が多いが, 発熱が軽度であることと経過が緩徐であること, 赤沈優位の炎症反応がみられることから結核性椎間板炎を疑い, 抗結核療法を開始した. 4か月後, 炎症反応は正常化し, MRIにて炎症部位の縮小と腰仙椎の骨化を認め, 半年後には杖歩行が可能となった. 透析患者では結核の罹患率が高く, 肺外病変の合併も多い. さらに, 確定診断が困難で治療的診断になることも少なくない. 本例は臨床的所見から結核性椎間板炎を疑い, 抗結核療法にて治癒した1例である. 維持血液透析患者にみられる慢性進行性の椎間板炎は結核性椎間板炎を考慮する必要がある.
  • 冨永 芳博, 貴田岡 正史, 深川 雅史, 秋澤 忠男, 黒川 清
    1999 年 32 巻 7 号 p. 1099-1103
    発行日: 1999/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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