日本透析医学会雑誌
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32 巻 , 9 号
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  • 永吉 純一, 丸山 良夫, 本宮 善恢, 平尾 佳彦, 松村 典彦, 杉原 清孝, 重松 貴
    1999 年 32 巻 9 号 p. 1233-1238
    発行日: 1999/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持血液透析患者55例の大動脈石灰化係数 (ACI) を1993年から1997年までの4年間測定し, その経時的変化 (ΔACI) と脂質代謝関連因子との関係を比較検討した.
    その結果, 1) ACIは1993年18.3±18.3, 1995年27.6±22.5, 1997年33.2±24.6と漸次有意に進行性の上昇がみられた (p<0.0001). 2) ACI ('97) と各脂質関連因子 (中性脂肪 (TG), 総コレステロール (TC), 高比重リポ蛋白 (HDL-C), 低比重リポ蛋白 (LDL-C), リポプロテイン (a) (Lp(a)), 酸化LDL (OX-LDL), レムナント様リポ蛋白コレステロール (RLP-C) との間に有意な相関関係は認めなかった. 3) ΔACI高値群と低値群における脂質関連因子の比較.
    1993年度から1997年度の55例のACIの変化値を観察年数で除した値 (ΔACI ('93-'97)) の平均値3.5で55例をΔACI高値群 (27例) と低値群 (28例) に分けた. 両群間においてTG, TC, HDL-C, LDL-C, RLP-Cとの間に有意差は認めなかったが, OX-LDL, Lp (a) において, ΔACI高値群が低値群に比較して有意に高い値を示した (OX-LDL: 1.37±0.49 vs 1.08±0.38μg/ml p<0.05, Lp (a): 23.7±14.3 vs 15.4±11.1mg/dl p<0.05).
    以上より透析患者の動脈硬化をACIを用いて定量化し, その経時的変化と脂質代謝関連因子を比較検討することによって, OX-LDL, Lp (a) が透析患者の動脈石灰化の進展に関与していることが示唆された.
  • 吉矢 邦彦, 蓮沼 行人, 岡 伸俊, 大前 博志, 石神 襄次, 守殿 貞夫
    1999 年 32 巻 9 号 p. 1239-1242
    発行日: 1999/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    アミロイド骨関節症9例に対してステロイド剤の肩関節への注射の効果を検討した. 6例に有効であり, 疼痛改善効果は著明であった. 有効例では, 疼痛改善効果は平均6.0週持続し, 4.3か月に1回の頻度で2.8年間反復投与した. このステロイド投与量は, プレドニゾロンに換算すると1日あたり0.3mgであり, 報告されている経口投与治療より少量であった. 重篤な副作用は認めなかった. 以上よりアミロイド骨関節症の疼痛に対するステロイド剤の肩関節注射は, 副作用に注意をする必要はあるが, 有効な方法と考えられる.
  • 高山 達也, 麦谷 荘一, 海野 智之, 山下 冬樹, 畑 昌宏, 鈴木 和雄, 藤田 公生
    1999 年 32 巻 9 号 p. 1243-1248
    発行日: 1999/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者にVit. K2を1年間投与し, 投与前後の各種マーカーを比較検討した. 対象は外来血液透析患者53名. 男26名, 女27名, 29-79歳で平均年齢59.6±11.3歳, 透析期間は1.3-17.9年で平均透析歴5.8±3.6年である. 結果は, 1) i-PTHは投与前は有意な変動を認めなかったが, 投与後3, 6, 9, 12か月で投与前値に対し有意に上昇した (p<0.01, p<0.01, p<0.05, p<0.01). 有意な上昇は投与前値i-PTH 60pg/ml未満の症例にみられ, i-PTH 60pg/ml以上の症例 (n=15) では, 投与後に有意な変動は認めなかった. 2) Vit. D3は投与前と投与1年後では有意な変動は認められなかった. 3) i-OCは投与前値i-PTH 60pg/ml未満 (n=38) の症例では有意に上昇した (p=0.0388). 4) ICTPは投与1年後で有意に低下した (p=0.0005). 5) 投与前のVit. K2は5例を除く48例 (90.6%) で測定感度以下であったが, 全例で投与後に上昇した. 6) 血清Ca, Pは投与後に有意な変動はなかった. 7) PRは投与前値と3か月ごとの値と比較すると9か月で有意に上昇し, 12か月で有意に減少したが (p=0.0102, p<0.0001), 正常範囲内であった. 以上の所見から, 血液透析患者ではVit. K2が低下傾向にあり, Vit. K2投与が骨形成に働き, 特にi-PTH低値の症例にi-PTH上昇がみられ, 骨代謝回転を改善する可能性が示唆された.
  • 中嶋 章貴, 柴原 伸久, 新井 基弘, 上田 陽彦, 勝岡 洋治
    1999 年 32 巻 9 号 p. 1249-1253
    発行日: 1999/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    常染色体優性遺伝嚢胞腎 (autosomal dominant polycystic kidney disease; ADPKD) に脳動脈瘤が高頻度に合併することはよく知られている. 未破裂脳動脈瘤を早期に発見するためADPKD患者23例に対してMRアンジオグラフィー (MR angiography: MRA) による脳動脈瘤のスクリーニングを試みた. 結果, 23例中6例に脳動脈瘤を疑わす所見が7箇所見つかった. そのうち拒否された1例, 妊娠中の1例を除く4例に血管造影を施行し3例から4個の脳動脈瘤の存在を確認した. 脳動脈瘤のサイズは4から8mm, 位置は中大脳動脈が2個, 椎骨動脈, 内頸動脈と眼動脈の分岐部が各1個であった. 脳動脈瘤が発見された3例に対して2例にクリッピング術, 1例に塞栓術を行った. いずれも術後合併症は認めなかった. 非侵襲的な検査法であるMRAは高い検出率を示し, 脳動脈瘤のスクリーニングに有用であると考えられた.
  • 増子 佳弘, 久木田 和丘, 花本 尊之, 小山内 誠, 内田 泰至, 鹿取 正道, 花田 裕之, 安原 満夫, 田中 三津子, 玉置 透, ...
    1999 年 32 巻 9 号 p. 1255-1258
    発行日: 1999/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1995年1月から1998年8月までの間に, 腎不全を併発し悪性腫瘍で血清Ca値が上昇したため, Ca濃度1.5mEq/lで低Ca透析を施行した4症例について報告する. 4例の原疾患は多発性骨髄腫が3例, 直腸癌が1例であった. 低Ca透析前の血清Ca値は10.5mg/dlから16.8mg/dlで, 症状は頭痛, 多弁, 腰痛, 食欲低下, 意識低下などであった. Bisphosphonate剤を併用した症例は3例あった. 低Ca透析回数は, 2回から14回であった. 低Ca透析とbisphosphonate剤の併用で速やかにCa値が改善した症例がある一方で, 最終的にはCa値の制御ができなかった症例もあった. 中長期的なCa値のコントロールは, 骨吸収を抑制する薬剤の治療効果が重要であるが, 低Ca透析はCa値を即効性に下げることのできる特性を有しており, 自他覚症状を速やかに改善するためには有用性がある.
  • 有薗 健二, 松岡 潔, 宮本 哲明, 早野 恵子, 福井 博義, 清原 英雄, 高野 定, 北岡 光彦, 大塚 陽一郎, 久木山 厚子, ...
    1999 年 32 巻 9 号 p. 1259-1264
    発行日: 1999/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    硬化性被嚢性腹膜炎は, CAPD療法における最も重篤な合併症の一つである. 今回, 我々は, 3例の硬化性被嚢性腹膜炎に対し外科治療-癒着剥離術を施行した. 症例1は35歳男性でCAPD歴7年, 腹膜炎5回の既往があり, カテーテル抜去2年後に発症. 症例2は50歳女性でCAPD歴10年, 腹膜炎の既往はなく, カテーテル抜去直後に発症. 症例3は43歳男性でCAPD歴8年, 腹膜炎2回の既往があり, カテーテル抜去4か月後に発症している. この3例に対し, 待機手術下で腸管剥離のみにとどめる外科的処置, 症例2および3については, カテーテル留置による術後の腹腔内洗浄を施行し, 全例で良好な結果を得ている. 従来, 硬化性被嚢性腹膜炎の治療においては, 保存療法が主体で, 一部の症例でステロイドや免疫抑制剤が有効とされているが, 外科治療については, 術後感染, 腸穿孔, 瘻孔形成などの危険性が高く, 困難であると指摘されてきた. しかし, 今回の我々の症例にみられるように, イレウスが遷延化する症例での外科的処置は有効な治療法と考えられた. 硬化性被嚢性腹膜炎の治療戦略の中で貴重な症例と考え報告する.
  • 古川 正隆, 垣本 滋, 村谷 良昭, 塩澤 純一
    1999 年 32 巻 9 号 p. 1265-1268
    発行日: 1999/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 女性. 慢性腎不全に対する維持透析施行中, 1998年5月初旬, シャント側である右前腕部に腫瘤出現するも放置. 1998年7月1日, 腫瘤が急激に増大したため, カラードプラーエコー施行. シャント下の橈骨動脈から生じた動脈瘤の診断を得て, 7月2日, 動脈瘤摘出術を施行した. 術中, 橈骨動脈には数箇所穿刺痕が認められ, また, 病理組織学的診断でも橈骨動脈から生じた仮性動脈瘤の所見であったことから, 誤った穿刺によって生じた仮性動脈瘤と診断した. 術後経過は良好で, シャントも温存でき, 患者は9月5日退院となった. シャントの動脈瘤様変化や表在化した動脈に生じた仮性動脈瘤の報告はしばしばみられるが, 今回の我々の症例のように, 誤穿刺によってシャント下の本来の動脈に生じた仮性動脈瘤の報告例は調べ得た限りでは認められず, 非常に稀な症例と考え, 若干の文献的考察を加え報告する.
  • 青木 雅信, 中野 優, 吉原 仁宣, 大井 諭, 鈴木 和雄, 藤田 公生
    1999 年 32 巻 9 号 p. 1269-1273
    発行日: 1999/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は64歳女性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全のため, 平成1年10月より週2回維持透析を施行していた. 平成8年3月頃より胸部X線で心胸比 (CTR) 80%と心拡大, 心エコーで多量の心嚢液貯留を認めた. ドライウェイト (DW) を下げたが改善せず軽度の胸部苦悶感, 呼吸困難出現したため当院内科にて心嚢穿刺施行し一旦症状は改善したが, 再度貯留したため透析を週3回に増やし心嚢穿刺も施行した. しかし, 状態は改善しなかったためステロイドの心嚢内注入, ステロイド内服を試みたがこれらも著効せず, 平成9年2月14日当院呼吸器外科にて全身麻酔下に左胸腔鏡下心膜開窓術を施行した. 術後経過は良好で症状も改善したが, 7月下旬頃より再度心嚢液貯留を認め, 胸部症状も出現したため8月19日右胸腔鏡下心膜開窓術を施行した. 以後, CTR 60-70%で胸部症状も認めていない. 本症例のように内科的治療に抵抗性の尿毒症性心膜炎に対しては胸腔鏡下心膜開窓術は比較的侵襲が少なく有効であると考えられた.
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