日本透析医学会雑誌
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33 巻 , 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 當間 茂樹, 三輪 真幹, 中井 滋, 大塚 由佳, 川端 研治, 筒井 修一, 新里 高弘, 前田 憲志
    2000 年 33 巻 12 号 p. 1431-1435
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    アクセス血管を穿刺するにあたっては, 一般に透析毎に穿刺部を変更するのが望ましいと考えられている. ところが, 透析毎に穿刺部を変更するよりも固定した穿刺ルートに沿って穿刺するbuttonhole穿刺のほうに合併症が少ないとの報告も多数みられる. Twardowskiらは, buttonhole穿刺を成功させるためには, 固定した穿刺ルートが完成するまで同一の熟練した医療スタッフがアクセス血管の穿刺を行うことが必須であると述べている. しかし, 固定した穿刺ルートが完成するまでの相当期間, 熟練した同一の医療スタッフがアクセス血管の穿刺を担当するというのは現実的ではない. そこで, 我々は, 透析終了後に穿刺針をポリカーボネート製スティックに置き換え, 次の透析の開始時までこれを留置しておくことにより固定した穿刺ルートを作成する時間節約型buttonhole作成法を開発した. 一旦, この方法により固定した穿刺ルートを作成すると, 以後は, 透析毎に先端が鈍の翼付き金属針を用いてbuttonhole穿刺を行う. これまで, 23人のCimino-Brescia fistulaを有する患者に対し, 延べ852回, この方法により作成された固定穿刺ルートを通してbuttonhole穿刺が行われた. その結果, すべての患者において穿刺に伴う疼痛の軽減あるいは消失が認められた. また, 23人中3人の患者においては延べ220回のbuttonhole穿刺の中の3回に穿刺部周囲に血液がにじむ程度の出血が認められ, ひとりの患者においては延べ45回のbuttonhole穿刺の中の1回に, 圧迫止血を要するほどの出血があった. また, すべての患者において, 止血時間の延長や穿刺部位の感染は認められなかった. このように, 時間節約型buttonhole作成法により固定穿刺ルートを作成し, これに沿ってbuttonhole穿刺を行うことにより, アクセス血管の穿刺に伴う患者の疼痛が消失あるいは軽減した. また, 短期評価ではこのようにして作成した固定穿刺ルートの使用に関連して何ら合併症は認められなかった.
  • 中嶋 章貴, 柴原 伸久, 上田 陽彦, 勝岡 洋治
    2000 年 33 巻 12 号 p. 1437-1443
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年, 透析室における血液浄化業務の一環として様々なアフェレシス療法を行う施設が増えてきている. 1995年から1999年までの5年間に大阪医科大学人工腎センターで行われたアフェレシス療法について集計を行った. 5年間の累計で単純血漿交換 (plasma exchange; PE) 423回, 二重濾過血漿交換 (double filtration plasmapheresis; DFPP) 816回, cryofiltration (CF) 67回, low density lipoprotein apheresis (LDL-A) 191回, ビリルビン吸着 (bilirubin adsorption; Bil-AD) 47回, その他の血漿吸着 (plasma perfusion; PP) 168回, エンドトキシン吸着 (endotoxin adsorption; EAD) 27回の計1739回であった. 疾患別では重症筋無力症30例154回, ギランバレー症候群19例88回などの神経疾患とsystemic lupus erythematosus (SLE) 45例307回などの膠原病, 肝障害73例297回などが多かった. 最近の傾向としてarteriosclerosis obliterans (ASO) や家族性高コレステロール血症の増加が認められた. アフェレシス施行中の副作用は血圧の低下, 手足のしびれなどで重篤なものは認められなかった. 適応の拡大に伴って益々アフェレシス療法は多様化すると考えられ, 透析室の役割も大きく転換することが予想される. 今後はさらに, 血液浄化療法の中でアフェレシス療法が占める割合は大きくなると考えられた.
  • 菊池 洋, 望月 貞二, 甲斐 浩治, 米村 睦子, 中尾 博徳
    2000 年 33 巻 12 号 p. 1445-1449
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は44歳男性. 1974年慢性糸球体腎炎による腎不全にて透析導入. 1996年5月より微熱を伴う治療抵抗性の下痢が出現し体重の減少, 肺水腫がみられるようになった. 精査目的で某病院へ入院し, 種々の検査を受けるも原因不明のまま退院となり1998年9月当院外来へ紹介された. 翌月, 甲状腺機能亢進症と診断しthiamazoleを投与したところ短期間のうちに微熱, 下痢は消失し血圧, 心拍数も低下した. 本例においてthiamazoleの透析性をPS-1.6UW, KF-18C, FLX-15GW, PAN-180SF, BK-2.1UおよびM150Bの6種類の透析膜で検討した. その結果thiamazoleの蓄積性とともに上記透析器による十分な透析性も明らかになった. これらの透析器を使用するかぎりthiamazoleは腎機能正常者と同じような方法で投与できると思われた.
  • 柴田 昌典, 内山 秀男, 林 達也, 谷口 信吉, 宇佐美 一政, 川島 司郎
    2000 年 33 巻 12 号 p. 1451-1455
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    二次性副甲状腺機能亢進症を合併する慢性血液透析患者11名に亜鉛化合物, ポラプレジンクを1日150mg経口投与し, 血清PTH値などへの影響を調べた. 血清PTH値は投与開始後1か月で27% (p<0.01), 2か月で31% (p<0.01) 低下した. 血清Ca, Pi, AIPは有意の変動を示さなかった.
    亜鉛の二次性副甲状腺機能亢進症への効果について, 同剤の治療への可能性を含めて考察した.
  • 成田 眞康, 鶴田 良成, 成田 幸夫, 大林 孝彰, 畦倉 久紀, 前田 憲志
    2000 年 33 巻 12 号 p. 1457-1461
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    エリスロポエチン (rHuEPO) 9000単位/週の投与量 (以下従来投与量と略す) では貧血を改善し得なかったrHuEPO低反応例のうち, 週3回, 1回4500単位の量 (以下高投与量と略す) のrHuEPO (epoetin beta) を投与し, 貧血が改善した2症例を報告する. 症例1は46歳, 男性. 血液透析歴24年. Myelodysplastic syndrome (MDS), refractory anemia (RA) 疑いの診断あり. 夜間透析を行い, 従来投与量時には貧血が続き, 全身倦怠感, 息切れなどの自覚症状を訴えていた. rHuEPOを高投与量としてからヘマトクリット値は30%まで改善し, 自覚症状もとれ生活の質的向上が得られた. 症例2は43歳, 女性. 血液透析歴7年. 慢性関節リウマチを有している. 従来投与量時には貧血のため自覚症状が強く, 頻回に輸血を受けていた. 症例2はrHuEPOを高投与量へ増量してから, 同様にヘマトクリット値が上昇し, 自覚症状の改善と輸血回数を減らす効果が得られた. 両症例ともに鉄欠乏性, 出血性および溶血性貧血は除外されていた.
    rHuEPO低反応例へは腎性貧血以外の他の原因の検索が必須である. 症例1ではMDSが, 症例2では慢性関節リウマチなどによる慢性消耗性疾患がrHuEPO低反応の主たる原因と考えられた. rHuEPOを高投与量としてから両症例ともに高血圧の合併もなく, 貧血の改善効果が得られた. その後, 従来投与量へゆっくりと漸減してから後も, 貧血の再増悪はみられなかった. これらの症例のようにrHuEPO低反応症例に対して, rHuEPOの高投与量を一時的に用いることにより, 貧血の改善, QOLの改善, 輸血量の減少効果などが得られる場合がある.
  • 敦川 浩之, 井内 裕満, 鈴木 貴美子, 能代 雅子, 田中 宰, 池田 納, 池田 和彦, 水永 光博, 小山内 裕昭
    2000 年 33 巻 12 号 p. 1463-1467
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 男性. 平成7年1月, 血液透析導入. 同年3月腹部大動脈瘤の手術を施行された. その後当院で血液透析中, 徐々に心不全が悪化したため平成11年4月27日CAPDへ変更した.
    術直後より通常のCAPDを開始したが除水が不良であった. カテーテルに異常はなく, ブドウ糖濃度や貯留時間の変更を試みたが除水量の増加はみられなかった. CAPD開始後, 透析液の注入時に腹部緊満やカテーテル周囲からの液漏れを認めたことから腹腔外への透析液の漏出や腹腔内圧の上昇が除水不良の原因ではないかと考えた. 腹腔内圧は1000ml注入時で15cmH2O, 1500ml注入時では25cmH2O以上であった. そこで1回注入量を1500mlから1000mlへ減量した. その結果, 除水量は著明に増加し浮腫も改善した.
    以上から腹腔内圧の上昇により除水不良をきたしたと考えられるCAPD症例と判断した.
  • 福成 健一, 劔 卓夫, 西村 学, 安部 宗顕, 中西 和夫
    2000 年 33 巻 12 号 p. 1469-1473
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    低血糖症状にて発症し, 死後の病理解剖にて急性壊死性膵炎と診断のついた症例を経験した. 症例は65歳, 男性. 橋本病と心房細動の既往歴があり慢性糸球体腎炎による腎不全のため1991年10月より維持血液透析中であった. 入院の前日まで著変なく経過していたが, 1996年5月意識障害をきたし当院へ搬送された. 入院時著明な低血糖発作 (13mg/dl) をきたしており, 血清アミラーゼ値は正常範囲内であった. 血糖値の改善とともに意識状態も改善がみられた. その後断続的な腹痛みられるものの血清アミラーゼ値の上昇は認めず, 低血糖の原因精査を行っていた. 第12病日早朝より強い上腹部痛が出現し再び低血糖発作と高度の乳酸アシドーシスを合併しショック状態となった. 腹部CT上Grade Vの急性膵炎の所見を認め加療を開始したが多臓器不全進行し死亡した. 死後の病理解剖にて急性壊死性膵炎の所見を認めた. 血液透析患者において急性壊死性膵炎を合併した場合本例のように非腎不全患者にみられる一般的な膵炎とは異なる臨床像を示すこともあるため注意が必要と思われる.
  • 矢島 愛治, 稲生 綱政, 高橋 郁夫, 野崎 治重, 小川 由英, 富永 登志, 大坪 修, 大坪 公子, 蛭田 啓之
    2000 年 33 巻 12 号 p. 1475-1480
    発行日: 2000/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者における腎癌の発生は, 極めて高率であるため定期的な検索が必要である. 当院およびその関連施設において1994年から1999年の6年間に毎年320-350名の慢性透析患者に対し定期的な画像検査が行われた. その結果, 両側性腎細胞癌5例が発見され手術治療を行ったので報告する. 性別では, 全例が男性であり, 診断時の平均年齢は47.2±3.3歳 (Mean±SD), 診断時の平均透析期間は228.0±53.2か月であった. また, 腎不全の原疾患は3例が慢性糸球体腎炎, 2例が原因不明であり糖尿病を合併した症例はなかった. また, 5例10腎のうち超音波検査により診断可能であったのは10腎, CTにより診断可能であったのは9腎, また血管造影により診断可能であったのは2腎であった. また, 5例のうち2例が両側同時性に診断, 治療を受け, 3例は異時性であった. 両側同時性に診断, 治療を受けた2例では両側で同じ病理診断であり, 異時性の3例では両側で異なっていた. 術後, 1例で, -過性に貧血の悪化を認めたが, 血圧の低下を認めた症例はなかった.
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