日本透析医学会雑誌
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33 巻 , 1 号
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  • 日本透析医学会統計調査委員会
    2000 年 33 巻 1 号 p. 1-27
    発行日: 2000/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1998年末の日本透析医学会の統計調査は3,095施設を対象に実施され, 3,085施設 (99.67%) から回答が得られた. 1998年末のわが国の慢性透析患者数は185,322人であり, 昨年末に比べて9,334人 (5.3%) の増加であった. 1997年末から1998年末までの1年間の粗死亡率は9.2%であり, 昨年度と同水準であった. 透析導入症例の平均年齢は62.7 (±13.9, ±標準偏差) 歳と一層の高齢化が認められた. 透析導入症例における原疾患では, 今回初めて糖尿病性腎症が35.7%と最も多く認められる原疾患となり, 慢性糸球体腎炎は35.0%と昨年よりもさらに減少した.
    1998年度は新たにアミロイドーシス治療方法, アミロイドーシス治療効果, シャント形態, シャント閉塞回数, 生活状況, 介護状況, 通院状況, 血流量, 透析液流量, そして透析液銘柄などが調査された.
    透析アミロイドーシスの合併率は31.0%であった. 血液透析患者の血流量の平均は189.8ml/分 (±36.4; S.D.) であった. 独力で透析施設に通院している患者は全体の61.6%に過ぎず, 29.1%の患者が送迎を利用して通院していた.「無症状で社会活動可能」であった患者は全体の44.6%に過ぎず,「50%以上就床」あるいは「終日就床」と回答された患者が9.8%認められた. 全体の82.9%の患者は自宅で家族と同居しており, 独居患者は6.9%であった. 9.5%の患者は入院していた.
    生命予後解析では, ビタミンD製剤を投与されている患者で有意に死亡のリスクが低く, 逆に透析前のカルシウム・リン積が40未満あるいは70以上の患者で有意に死亡のリスクが高いことが示された.
    長い透析歴および360pg/ml以上のインタクトPTHは副甲状腺摘除術発生の危険因子となることが示された.
  • 平中 俊行, 山川 智之, 金 昌雄, 奥野 仙二, 加藤 禎一
    2000 年 33 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2000/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    新しい透析用人工血管Carboflo®とExxcel®の臨床成績を比較する目的で, 各30本ずつを60名の慢性腎不全症例に植え込んだ. 年齢, 性別, 透析歴, 糖尿病合併率, 植え込み部位, 植え込み様式, シャント手術歴は両群間に差はなかった. 追跡期間は平均322日であった. 追跡期間中の合併症は, Carboflo®症例においてはグラフト閉塞2件, 静脈狭窄2件, 感染1件, セローマ1件であり, Exxcel®症例においてはグラフト閉塞3件, 静脈狭窄5件, 感染2件, スチール症候群1件であった. 術後1年の一次開存率はCarboflo®症例79.0%, Exxcel®症例59.9%であり, 有意差はないもののCarboflo®症例が良好であった. 術後1年の二次開存率はCarboflo®症例93.1%, Exxcel®症例88.5%であり差を認めなかった. Carboflo®とExxcel®の性能を正しく評価するためには, さらに長期にわたる経過観察が必要と考えられる.
  • 酒井 謙, 門松 賢, 谷本 浩之, 進藤 雅仁, 中野 浩之, 吉川 博子, 宮城 盛淳, 波多野 智巳, 相川 厚, 水入 苑生, 小原 ...
    2000 年 33 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2000/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    末期腎不全患者の合併症なき円滑な透析導入もまた腎臓専門医の責務のひとつである. 今回私たちは腎不全診療開始時期から透析導入までの期間が及ぼす医学的ならびに経済的側面への影響について検討した.
    1994年から1997年まで当院にて新規に血液透析を導入した全120名を対象として 1) Early群 (n=38): 透析導入1年前以前の腎臓専門医への紹介診療開始群 2) Intermediate群 (n=41): 透析導入1か月前以前, 1年未満の紹介診療開始群 3) Late群 (n=41): 透析導入前1か月未満の紹介診療開始群, の3群に分けて患者背景, 初診時および導入時のBUN, 血清creatinine値, 導入時の平均在院日数と一日平均医療費, 内シャントの有無, 初回透析での除水量につき検討した.
    その結果3群間ではLate群で在院日数が有意に長く (Late: 47日, Intermediate群: 29日, Early群: 31日), 一日当たりの医療費が有意に高額であった (Late群: 46212円, Intermediate群: 38558円, Early群: 37927円). また初回透析時にすでに内シャントのある患者はEarly, Intermediate群で80%以上, Late群では39%であった. 初回透析の平均除水量は, Early群で1.18kg, Intermediate群で1.34kg, Late群では2.0kgと段階的に増加した. 導入時の血清creatinine値には各群で差異はなかったが, BUNはEarly群からLate群へと有意に増加した.
    したがってより早期, 少なくともIntermediate群に相当する初診時期 (血清creatinine 5.9mg/dl) までの腎不全診療の開始は, その後の透析導入を医学的にも医療経済側面からも容易にさせ得ると考えられた.
  • 渡辺 修一, 岩永 伸也, 佐藤 順一, 石井 健夫, 古谷 伸之, 木村 靖夫, 小林 正之, 小倉 誠, 細谷 龍男, 川口 良人
    2000 年 33 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2000/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    【目的】 腹膜透析を長期に継続した時に, 腹膜の機能変化とパラメータについては明確なものは未だ確立されていない. 今回は, 従来より検討されているperitoneal equilibration test (PET) の諸因子だけではなく, 新たに示された腹膜機能検査の排液中のIL-6値およびcharge selectivity index (CSI) についても, 平均18か月間の経時的変化を測定した.
    【対象および方法】 腹膜透析患者30例を対象とし, PET標準法に準じて, 2.5%透析液2Lを4時間腹腔内に貯留し中間点採血し, 排液中のIL-6値および血中 (P) と排液中 (D) のglutamate (Glu), glutamine (Gln), lysine (Lys), creatinine (Cr), β2-microglobulin (β2-MG), albumin (Alb) を測定し, Cr, β2-MG, AlbのD/P比を求め, さらにD/D0 glucose比およびCSI【CSI (Glu): Glu D/P比÷Gln D/P比, CSI (Lys): Lys D/P比÷Gln D/P比】 を算出し, 平均観察期間18か月の経時的変化を求めた.
    【結果】 (1) 血清のCr値, β2-MG値およびAlb値に変化はなく, また, β2-MG, AlbのD/P比にも変化はなかった. (2) CrのD/P比, 排液中のIL-6値, CSI (Glu) およびCSI (Lys) は有意に上昇し, D/D0 glucose比は有意に下降した. (3) CrのD/P比, D/D0 glucose比,排液中のIL-6値, CSI (Glu) およびCSI (Lys) の変化率では, 排液中のIL-6値が最も鋭敏に変化した.
    【結論】 CrのD/P比, 排液中のIL-6値, CSI (Glu), CSI (Lys) およびD/D0 glucose比は経時的な変化を示した. 以上の指標のなかでも排液中のIL-6値が最も鋭敏に腹膜機能の劣化を反映するものと考えられた.
  • 兵藤 透, 平良 隆保, 横田 眞二, 酒井 糾, 内田 豊昭, 遠藤 忠雄, 馬場 志郎, 日台 英雄
    2000 年 33 巻 1 号 p. 49-51
    発行日: 2000/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    本邦において1998年から1999年にかけての冬季にA型インフルエンザが猛威を奮い免疫抵抗力の弱い高齢者で多数の死亡者が発生した. 塩酸アマンタジン (Novartis Pharma株式会社) は抗パーキンソン病薬として保険収載されていたが1998年11月に効能追加が認められ抗A型インフルエンザ治療薬としても本邦で利用できるようになった. 本邦における血液透析患者での本薬剤の至適投与量を確認するために, 体内動態の検討を6例の血液透析患者で行った. 100mgを投与し3日目の透析前後および7日目の透析前に血中濃度を測定した. 本邦の血液透析患者では欧米と異なり100mg週1回の投与では過剰投与の可能性が考えられ, 投与期間の延長ならびに投与量の減量の必要があると考えられた.
  • 矢野 彰三, 杉本 利嗣, 神澤 道子, 北澤 理子, 北澤 荘平, 前田 盛, 小林 彰, 千原 和夫
    2000 年 33 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2000/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    カルシウム感知受容体 (CaSR) は副甲状腺ホルモン (PTH) 分泌調節に重要な役割を果たしているが, 近年, 副甲状腺の細胞増殖にも関与することが示唆されている. 我々はビタミンD受容体 (VDR) およびCaSRの細胞増殖への関与を検討するため, 重度の二次性副甲状腺機能亢進症症例から得られた副甲状腺切片を用い免疫組織化学的検討を行った.
    症例は34歳男性, 慢性糸球体腎炎による腎不全のため平成3年より維持血液透析中であったが, 極めて重度の二次性副甲状腺機能亢進症のため当院紹介となった. 血中補正Ca 10.9mg/dl, intact PTH 3500pg/ml, ALP 13729IU/L, osteocalcin 3140ng/ml, TRAP 44.0IU/Lと血中PTHおよび骨代謝回転の異常高値を呈した. ビタミンD経口パルス療法が無効であったため, 平成9年5月parathyroidectomy (PTx) を施行したところ, 骨痛, 貧血, Xp所見および骨代謝マーカー等検査値の著明な改善が認められた.
    切除された副甲状腺は4腺で合計2.5g, 一部結節形成を伴うびまん性増殖を示していた. 組織標本を用いVDR, CaSRおよび増殖マーカーであるKi 67抗原に対する抗体を用いて免疫染色を行った. その結果, 結節内にはKi 67陽性細胞が多数認められ増殖能の高いことが示された. また, びまん性増殖を示す腺においても増殖能の高い部位でのVDR, CaSR発現は増殖能の低い部位に比し著明に低下していた.
    PTH異常高値の病態は副甲状腺におけるVDR発現の低下のみならずCaSR発現の低下やこれらに起因する副甲状腺増殖能の亢進により説明されると考えられた.
  • 立花 直樹, 赤穂 伸二, 出浦 正, 樋口 誠, 洞 和彦, 小口 寿夫, 袖山 健, 白鳥 勝子, 清澤 研道
    2000 年 33 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2000/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は36歳, 男性. 1993年9月血液透析が導入され, 同時にC型肝炎ウイルス (HCV) 抗体陽性を指摘された. 生体腎移植を希望し, 移植術前にC型肝炎に対しインターフェロン (IFN) 療法を施行するため当科に入院した. 入院時, HCV-RNAは8.4Meq/ml, HCV genotypeは2a型であった. IFNは血中半減期が短く, 血液透析ルートからの投与が可能なIFN-βを選択した. 試験的にIFN-β600万単位を3分間で静注したところ, 悪心, 嘔吐, 血圧低下を認め, 静注直後のIFN-βの最高血中濃度は25600IU/mlと異常高値となった. このため点滴静注で, IFN治療を開始した. 点滴静注では血中濃度は著しい高値は示さず, 治療を続けた. しかし, 退院後よりIFN投与後の頭痛が増強し, さらに精神症状も出現したため治療を中止した. IFN投与中, HCV-RNAは陰性で経過したが, 投与中止後再び陽性となった. その後, 生体腎移植術を受け, 現在まで経過は良好で, 肝炎の悪化も認めていない. 透析患者に対するIFN-β投与は血中濃度的には, 300万-600万単位を30-60分かけての点滴静注であれば可能と考えられたが, 本例では副作用のため治療中止となった. 透析患者に対する長期のIFN-β治療には細心の注意が必要と考えられた.
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