【目的】 腹膜透析を長期に継続した時に, 腹膜の機能変化とパラメータについては明確なものは未だ確立されていない. 今回は, 従来より検討されているperitoneal equilibration test (PET) の諸因子だけではなく, 新たに示された腹膜機能検査の排液中のIL-6値およびcharge selectivity index (CSI) についても, 平均18か月間の経時的変化を測定した.
【対象および方法】 腹膜透析患者30例を対象とし, PET標準法に準じて, 2.5%透析液2Lを4時間腹腔内に貯留し中間点採血し, 排液中のIL-6値および血中 (P) と排液中 (D) のglutamate (Glu), glutamine (Gln), lysine (Lys), creatinine (Cr), β
2-microglobulin (β
2-MG), albumin (Alb) を測定し, Cr, β
2-MG, AlbのD/P比を求め, さらにD/D
0 glucose比およびCSI【CSI (Glu): Glu D/P比÷Gln D/P比, CSI (Lys): Lys D/P比÷Gln D/P比】 を算出し, 平均観察期間18か月の経時的変化を求めた.
【結果】 (1) 血清のCr値, β
2-MG値およびAlb値に変化はなく, また, β
2-MG, AlbのD/P比にも変化はなかった. (2) CrのD/P比, 排液中のIL-6値, CSI (Glu) およびCSI (Lys) は有意に上昇し, D/D
0 glucose比は有意に下降した. (3) CrのD/P比, D/D
0 glucose比,排液中のIL-6値, CSI (Glu) およびCSI (Lys) の変化率では, 排液中のIL-6値が最も鋭敏に変化した.
【結論】 CrのD/P比, 排液中のIL-6値, CSI (Glu), CSI (Lys) およびD/D
0 glucose比は経時的な変化を示した. 以上の指標のなかでも排液中のIL-6値が最も鋭敏に腹膜機能の劣化を反映するものと考えられた.
抄録全体を表示