日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
33 巻 , 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 岡 良成, 宮崎 雅史, 高津 成子, 国友 桂一, 國米 欣明
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1371-1376
    発行日: 2000/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析関節症は10年以上の透析歴を持つ患者に高頻度にみられる透析合併症であり, その病理学的特徴はアミロイド滑膜炎である. 透析関節症の関節痛は低用量のステロイドの内服投与で改善するものが多い. しかし, 軽症のものや, ステロイド禁忌の症例では, ステロイドを使用しない新しい薬物療法が必要とされている. 当院では弱いステロイド様作用を持つといわれる柴苓湯を用いてそれらの症例の治療を行ってきた. 今回, 我々はこの4年間の投与例をまとめ, 透析関節症に対する柴苓湯の有効性についてretrospectiveに検討した. 対象は1995-1998年の4年間で, 当院にて血液透析を受けている透析歴8年以上の慢性腎不全患者で, 慢性の関節痛を訴えるもののうち, 透析関節症と診断され, 柴苓湯の処方を受けた27例である. ただし, 先行するステロイド治療 (局注を除く) を受けた患者, あるいは柴苓湯投与開始後1か月以内にステロイド治療を受けた患者は除外した. 平均年齢55.6歳. 平均透析歴17.0年. 方法はツムラ柴苓湯® 6.0g/日 (分2) を標準として最低1か月以上投与し, 1か月後に関節痛の改善の程度を患者の自己評価で判定した. 有効率は60.9%で, 特に股関節外側部の疼痛に有効であった. 副作用は胃部不快感2例, むくみ2例, 皮膚症状2例であり, いずれも軽度で, 減量もしくは投薬中止で改善し, 重篤な副作用は認めなかった. 有効例では, その多くが1週間以内に効果を認めた. これまで透析関節症の治療は, 病状が進行した状態でのものが問題とされてきたきらいがあることは否めないが, 今後は本症を, ステロイド治療を未だ必要としない早期の段階から診断, 抽出して, 積極的に治療していくことが重要である. この早期治療という目的のために, 柴苓湯は極めて有力な手段となり得ると考えられた.
  • 森田 弘之, 佐藤 元美, 松本 芳博, 天野 泉
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1377-1380
    発行日: 2000/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の手根管症候群100例に対し内視鏡下に手根管開放術を行い, 同時に内視鏡下に横手根靱帯生検を行った. 生検標本のアミロイドおよびβ2-MG陽性率は初発例では64%, 72%であり, 再発例では77%, 86%であった. 全体のアミロイドおよびβ2-MG陽性率は67%, 75%であり, 従来の観血的生検法と同等の結果であった.
  • 乳原 善文, 田上 哲夫, 香取 秀幸, 横田 雅史, 竹本 文美, 今井 利一, 井上 純雄, 葛原 敬八郎, 原 茂子, 山田 明
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1381-1388
    発行日: 2000/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    多発性嚢胞腎における腎は経年的に腫大を続けることが多く, そのmass effectにより様々な合併症を引き起こすが, これまで有効な治療法はなかった. 我々は選択的腎動脈カテーテル操作により主にcoilを塞栓物質として用いた血管内治療を行い腎の縮小化を目指した. 対象は透析導入後の乏尿症例で腹部膨満の著明な症例, および肉眼的血尿症例で, 1996年10月から現在まで計31名に対して施行した. stainless steel coilを使用した10例の10か月後の腎サイズは前値との対比で平均65±9%であり, microcoilを使用した7例の3か月後では65±13%であった. 全例において効果はみられ, まだ重大な合併症は生じていない. 多発性嚢胞腎の透析患者に対して腎動脈を塞栓することにより行う‘内’的な本治療法は, 外科的手術のような‘外’的治療法と対比すると, 安全かつ有効な血管内治療である. 本疾患における腎動脈が腎機能を保持する働きから嚢胞群を養う働きへと機能転換をきたすことから, 栄養血管化した腎動脈分枝を兵糧攻めすることが本疾患の治療になると考えられる. 塞栓物質の工夫によりさらに効果は上がるものと期待される.
  • 野田 恒彦, 鈴木 正司, 宮崎 滋, 高江洲 義滋, 萩野下 丞, 青池 郁夫, 桜林 耐, 甲田 豊, 湯浅 保子, 酒井 信治, 高橋 ...
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1389-1399
    発行日: 2000/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1981年から1996年に当院で治療を受けた1,837例 (男1,113, 女724) の維持透析 (MD) 患者, 15,517.4患者・年 (男9,542.2, 女5,975.2) を対象として, 脳血管障害 (CVD) の発生率, 発作率, 予後および基礎腎疾患との関連性を後向き調査した. CVDの診断にはCTを用いた.
    初発のTIAと虚血性脳卒中 (RINDと脳梗塞) の発生数, 死亡数, MD患者10万対の年間発生数 (incidence), MD患者10万対の年間死亡数は79, 11, 509, 71, 脳出血 (ICH) では34, 15, 219, 97, くも膜下出血 (SAH) では8, 5, 52, 32であった. 再発を含めたTIAと虚血性脳卒中の発作数, 死亡数, MD患者10万対の年間発作数 (attack rate), MD患者10万対の年間死亡数は104, 15, 670, 97, ICHでは46, 23, 296, 148, SAHでは8, 5, 52, 32であった. また初発の虚血性脳卒中の発生数, incidenceは67, 432, 再発を含めた虚血性脳卒中の発作数, attack rateは92, 593であった. 虚血性脳卒中のincidence, attack rateおよびICHのincidenceに性差はなく, ICHのattack rateで男が女の1.4倍であったにすぎなかった. 一方コントロールとした秋田県地域住民の同年齢の男の一般患者の虚血性脳卒中およびICHのincidence, attack rateは, 女のそれらのほぼ2倍であった. その結果, MD患者では初発の虚血性脳卒中のincidenceは一般患者の1.7倍 (男1.2倍, 女2.2倍), ICHのincidenceは2.4倍 (男2.0倍, 女3.0倍) であった. また再発を含めた虚血性脳卒中のattack rateは1.6倍 (男1.1倍, 女2.5倍), ICHのattack rateは2.6倍 (男2.2倍, 女2.9倍) であった. しかし, MD患者の初発の虚血性脳卒中とICHの発生数の比は1.97, 再発を含めた虚血性脳卒中とICHの発作数の比は2.0で, 一般患老のそれらの比率とほぼ同じであった. MD患者の死亡率 (%) を当院の一般患者と比べてみると, 再発を含めた虚血性脳卒中では2.9倍, ICHでは2.6倍であった. 基礎腎疾患患者10万対の虚血性脳卒中のincidenceとattack rateは, DM腎症で1,375, 2,027, 高血圧性腎硬化症で1,056, 1,441, 糸球体腎炎で275, 330であった.
    MD患者では虚血性脳卒中およびICHの発症の危険度が1.6-2.6倍程度, 死亡の危険度が2.6-2.9倍程度高くなるが, 虚血性脳卒中とICHの比および虚血性脳卒中とICHの死亡率 (%) の比は, 一般患者のそれと大きく異なることはなかった. またMD患者では, ICHのattack rateにわずかの性差がみられたのを除くと, 虚血性脳卒中, ICHともそのincidence, attack rateに差がなかったが, これは高血圧や持続する慢性腎不全状態, 非生理的な体外循環といったMD患者に共通した因子が性差以上に影響すると考えた. さらに基礎腎疾患により動脈硬化の進行が異なり, CVDの病型にも影響すると考えた.
  • 古賀 祐子, 佐内 透, 水政 透, 横山 正明, 宮城 めぐみ, 名西 史夫, 岡崎 悌之, 比嘉 義輝, 古山 正人, 平方 秀樹
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1401-1407
    発行日: 2000/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1995年から1999年の4年間で当院血管外科にarteriosclerosis obliterans (ASO) の外科的治療を目的として入院した維持透析患者15例を対象とし, 糖尿病群 (DM9例: 男/女=7/2, 年齢65±8歳, 透析期間91±55か月), 非糖尿病群 (non-DM6例: 男/女=4/2, 年齢69±15歳, 透析期間124±71か月) に分けて, 臨床的背景と治療成績を解析した.
    外科的治療は計34回施行した. DMの透析期間は, non-DMよりも短い傾向であったが有意差はなかった. Fontaine分類III度以上の重症虚血肢の割合は, DMは100%で, non-DMの33%よりも有意に高率であった (p<0.05). DMでは, 肢または趾の切断を要した例が多く, 足趾切断を含めた肢趾切断率はDMでは100%で, non-DMの33%よりも有意に高率であった (p<0.05). 全例における初回外科治療後の観察期間は20±13か月で, 11例 (73%) が死亡した. 1年生存率73%, 2年生存率42%, 3年生存率21%と不良であった. 糖尿病の有無では, 1年生存率がDM67%, non-DM83%で, DMで低い傾向があったが, 2年以降は両群間で差はなかった. 死因は, 虚血性腸炎2例 (18%), 自殺2例 (18%), 悪液質2例 (18%), 敗血症1例 (9%), 心筋梗塞1例 (9%), 誤嚥性肺炎1例 (9%), 髄膜炎1例 (9%), 高カリウム血症1例 (9%) であった. 自殺2例は, 肢切断後の精神的苦痛が原因と考えられた. 悪液質死の2例は, 術後のADL低下が高度なことが原因と考えられた. 透析患者のASOに対する外科的治療成績は不良で, 治療に際しては, 機能面とともに精神心理学的側面からも適応を十分に考慮するとともに, より軽症の時期に治療開始することが必要と考えられた.
  • 田村 忠司, 川口 良人, 東條 克能, 太田 真, 杉本 健一, 細谷 龍男
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1409-1416
    発行日: 2000/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    心疾患合併維持透析患者において心臓超音波ドプラ検査による至適体重評価の有用性を検討するために, パルスドプラ法および連続波ドプラ法による心内血流速波形を解析した.
    心疾患合併維持透析患者11例 (弁膜症6例, 拡張型心筋症4例, 陳旧性心筋梗塞1例) を対象とした. パルスドプラ法を用い, 左室流入血流速波形および肺静脈血流速波形を記録した. 左室流入血流速波形より拡張早期最大血流速 (E), 心房収縮期最大血流速 (A) およびE/Aを, 肺静脈血流速波形より収縮期最大血流速 (S), 拡張期最大血流速 (D) およびS/Dを計測した. また, 連続波ドプラ法を用い三尖弁逆流シグナルの最大血流速度 (V1) および肺動脈弁逆流シグナルの拡張末期血流速度 (V2) を計測し, 簡易ベルヌーイ式 (圧較差=4V2) および右房圧を10mmHgと仮定することにより, 収縮期肺動脈圧および拡張末期肺動脈圧を4 (V1)2+10mmHgおよび4 (V2)2+10mmHgの式で求めた. 左室流入血流速波形はE/A>1, 肺静脈血流速波形はS/D<1を, また収縮期肺動脈圧は40mmHg以上, 拡張末期肺動脈圧は20mmHg以上を至適体重よりもオーバーと評価した.
    左室流入血流速波形は9例, 肺静脈血流速波形は10例, 収縮期肺動脈圧は8例および拡張末期肺動脈圧は6例で評価可能であった. 10例で少なくとも2つの指標で評価可能であった. 1例では頻脈および重症僧帽弁閉鎖不全症のため1指標でのみの評価であった. 5症例において至適体重として設定されている透析後目標体重が過剰であったと判定し, 体重設定を修正後に実施した再評価においてドプラ指標の改善は認められた.
    心疾患合併維持透析患者において心臓超音波ドプラ検査による至適体重評価の有用性が示唆された.
  • 大瀬戸 奨, 貝森 淳哉, 北村 洋, 金子 哲也, 藤田 芳正, 藤井 正満, 流郷 昌祐, 山崎 芳郎, 小林 晏
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1417-1421
    発行日: 2000/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    硬化性被嚢性腹膜炎 (sclerosing encapsulating peritonitis, SEP) を発症し, 約2年間の完全静脈栄養 (TPN) 管理下に血液透析を継続後, 外科的治療を施行し通常の食事摂取が可能となった一例を経験した. 症例は49歳, 女性. 昭和62年1月, 末期腎不全にてCAPD導入. 平成8年5月, CAPD腹膜炎発症. 直後にカテーテル抜去し, 以後, 血液透析に移行. 平成8年8月, 腹痛・嘔吐・下痢出現しSEPと診断. 以後約2年間絶食, 在宅TPN施行. 注腸造影検査でS状結腸に狭窄認めた. 経口摂取不能のため, 平成10年10月, 癒着剥離術施行. 術後, 食事摂取可能となり, TPN中止. 平成11年12月現在全身状態良好で通院透析施行中である.
feedback
Top