日本透析医学会雑誌
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33 巻 , 7 号
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  • 阿部 貴弥, 玉井 定子, 戎 直志, 阿部 富彌, 酒井 啓伸, 森 高裕, 彦根 秀樹, 打田 和宏, 谷口 杲
    2000 年 33 巻 7 号 p. 1081-1086
    発行日: 2000/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    光学式非観血的連続ヘマトクリットモニター (CRIT-LINE) を用いて, 内シャントの再循環率を測定し, 穿刺パターンとの関係を検討した. 対象は当院および当院関連施設にて内シャントで維持血液透析を行っている患者67名, 74シャントを対象とした. これらの内シャント穿刺パターンを, 動脈側と静脈側とも同一血流に穿刺する (I型), Y字に分岐した別々の血流に各々穿刺する (Y型), 異なる血流に各々穿刺する (H型) に分類し, 各内シャントの再循環をCRIT-LINEを用いて測定した. 10%以上の再循環率を呈した内シャントは12シャント (16%) であり, そのうちI型が8シャント (67%) を占めていた. また透析歴10年未満の患者は10年以上の患者に比べて再循環率が有意に低値であった.
  • 中川 芳彦, 中村 倫之助, 松田 香, 安村 寛
    2000 年 33 巻 7 号 p. 1087-1092
    発行日: 2000/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は, ポリウレタン製人工血管 (ソラテック®) の臨床応用を重ねるうちに, この人工血管が過度の屈曲により閉塞をきたす危険のあることに気づいた. 今回, その解決策としてコンポジット人工血管内シャントの術式を考案したので報告する.
    当院で1997年6月より1999年12月までに人工血管内シャント術を施行した患者のうち, 肘関節を越えて前腕にループ状人工血管を植え込んだ31症例を抽出し, 術後の合併症, 開存性について検討した. 今回対象となった術式は, 人工血管の素材によって3種類に分類した. すなわち動脈側吻合部からループの大部分をソラテック®とし, 肘関節を越える部分をE-PTFEで継ぎ足して静脈側に吻合した術式 (コンポジットグラフト) を術式C, 全長にわたってソラテック®を用いたものを術式T, 全長E-PTFEを用いたもめを術式Pとし, それぞれに対応する患者をC, T, P群 (n=15, 5, 11) とした. T群の5例中3例で, 肘関節部での人工血管のキンキングにより2か月以内に閉塞したが, 他の術式ではキンキングによる閉塞はなかった. 1年開存率は, C群で83.3%, P群で90.9%と, T群の40.0%より有意に高かった. 全例, 術後に血清腫は発生しなかった. 術後の浮腫はP群で強かったがC, T群では軽度であった.
    前腕での静脈側が肘関節を越えるループ状人工血管内シャント術では, コンポジットグラフトとすることにより, ソラテック®の利点 (透析での穿刺使用後の止血のよさ, 早期から穿刺可能なこと) とE-PTFEの利点 (耐屈曲性) の両者を生かし, 欠点 (E-PTFEによる浮腫) を補う術式として期待される.
  • 野村 威雄, 三股 浩光, 今川 全晴, 傅 淑霞, 野村 芳雄, 亀川 隆久, 酒本 貞昭, 末友 祥正, 菅 淳一, 谷川 龍彦, 堤 ...
    2000 年 33 巻 7 号 p. 1093-1099
    発行日: 2000/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者における脳血管障害発症症例について臨床的に検討した. 対象は慢性維持透析中 (血液透析38例, CAPD 2例) に脳血管障害を発症した40例 (脳出血18例, 脳梗塞16例, クモ膜下出血5例, 慢性硬膜下血腫1例) で, 男性26例, 女性14例であった. 発症時年齢は平均63歳, 発症までの透析期間は平均78か月であった. 透析導入原疾患は慢性糸球体腎炎17例, 糖尿病性腎症10例, 嚢胞腎3例, その他10例であった. 病型別透析導入原疾患は脳出血群では慢性糸球体腎炎7例 (38.9%), 糖尿病性腎症2例 (11.1%) であり, 脳梗塞群では慢性糸球体腎炎8例 (50.0%), 糖尿病性腎症7例 (43.8%) であり, 脳梗塞群で糖尿病性腎症が有意に多数を占めた (p=0.025). 各疾患の死亡率はクモ膜下出血 (60.0%), 脳出血 (44.4%), 脳梗塞 (37.5%) の順であり, 脳出血の死亡例はすべて発症後2週間以内であった. また脳梗塞群において脳出血群と比較して心疾患を有意に多く合併していた (p=0.049). 出血性疾患では透析前高血圧が顕著であり, 収縮期平均血圧は脳出血群173mmHg (p=0.014), クモ膜下出血群173mmHgであった. 脳出血群の半数以上は収縮期血圧140mmHg以上, 拡張期血圧90mmHg以上であり, 透析前血圧の上昇に伴って, その発症例数も増加する傾向を認めた. 治療については大多数の症例で保存的治療のみ施行されているが, 脳出血3例に対して開頭血腫除去術, V-Pシャント術, 脳動脈瘤破裂2例に対して脳動脈瘤クリッピング術, 慢性硬膜下血腫1例に対して穿頭血腫除去術が施行され, 全例良好な生命予後を獲得できていた.
  • 田中 勤, 馬場 一成, 小原 智香子, 鈴木 覚, 山崎 大樹, 朝烏 邦昭, 関内 久美子, 中野 清子, 黒川 千恵, 島嵜 紀子, ...
    2000 年 33 巻 7 号 p. 1101-1107
    発行日: 2000/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者では日常生活上の制限等のストレスから心因反応としての精神症状や身体的愁訴を呈する患者が少なくない. 様々な症状を呈する患者に対しては包括的治療の観点から生活指導のほかに薬物治療も有効なアプローチとなる. 【目的】透析患者の不安や抑うつ等の精神症状やその他の不定愁訴に対する新規セロトニン作動性抗不安薬Tandospirone (TAN) の有効性および安全性を検討する. 【対象・方法】当院に通院する透析患者29例に心理テストの一つSTAIを施行し, 神経症, 抑うつ状態の領域にあった5例に対しTAN 30mg/日を投与した. 投与4週目にSTAIを指標として有効性について検討し, 安全性については, 透析開始時のダイアライザー通過前後および透析終了時のTAN血清中濃度を測定することで, 蓄積性とダイアライザー除去率を検討した. 【結果】 (有効性) STAIの得点から投与5例中3例に改善が認められた. 特にイライラ感等の自覚症状の改善が認められ, 透析療法の受容が向上した. (安全性) 副作用は全例において認められなかった. 血清中濃度は投与4週目においても健常者の血清中濃度と殆ど変わらず蓄積性は少ないと考えられた. ダイアライザーによる除去は投与開始時の除去率16.9%, 透析4時間による最終的な除去率80.4%であった. 【結語】TANは抗不安・抗うつ作用を併せ持つ新しいタイプの抗不安薬であり, 透析患者の精神症状や不定愁訴を改善する. 従来のBZ系抗不安薬と異なり筋弛緩作用がないことから透析後ふらつきを呈しやすい症例に用いやすく, 特に依存性のない点は長期フォローが必要な透析患者のストレスマネージメントに有用と考えられる.
  • 渡辺 修一, 岩永 伸也, 石井 健夫, 佐藤 順一, 小倉 誠, 木村 靖夫, 細谷 龍男, 川口 良人
    2000 年 33 巻 7 号 p. 1109-1113
    発行日: 2000/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腹膜機能の指標として, 分子量が同等で等電点の異なる中性のglutamine (Gln) と酸性のglutamate (Glu) および塩基性のlysine (Lys) を用いた腹膜のcharge selectivity index (CSI) と物質透過性に関するthree pore modelの理論より開発された腹膜機能検査法であるpersonal dialysis capacity (PDC) 検査の諸因子と比較検討した. 検討実施前1年以上腹膜炎の既往がないCAPD38例 (男性24例, 女性14例, 平均年齢は57.8±11.4歳, 平均CAPD期間は46.9±33.2月) を対象とした.
    2.5%透析液2Lを4時間腹腔内に貯留し中間点採血し, 血中 (P) と排液 (D) のGln, Glu, Lysを測定しD/P比を求め, CSI【CSI (Glu, Lys): (Glu, Lys) D/P比÷Gln D/P比】を算出し, 同時に, PDC検査を施行し, Area, Plasma loss, AbsorptionおよびAreaを構成するcell pore, small pore, large poreの面積について検討した. その結果, CSI (Glu, Lys) ともに, Area, small poreおよびcell poreと良い正相関を示し, Plasma loss, Absorption, large poreとは相関を認めなかった. 腹膜のcharge selectivityの減少は腹膜の透析面積の増加を意味するが, この理由としてsmall poreおよびcell poreの面積の増加に依存している可能性が示唆された.
  • 横尾 隆, 久保 仁, 石川 匡洋, 加藤 尚彦, 木村 弘章, 大井 景子, 我那覇 文清, 川口 良人, 細谷 龍男
    2000 年 33 巻 7 号 p. 1115-1119
    発行日: 2000/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は54歳男性, 肝硬変を合併する維持透析患者. 1989年に腹膜透析導入, 1996年よリ血液透析に変更となった. 血液透析中に一過性意識障害をくり返すため精査加療目的に入院. 頭部CTにおいて有意所見みられず, また脳血流シンチでも透析前後で明らかな差異は認められなかった. しかし血液透析後にアンモニア濃度が上昇するため, 門脈ドップラー検査を施行したところ門脈血流は肝内, 本幹とも遠肝性で脾静脈の一部から始まる側副血管を介して下大静脈に流入していた. さらに透析中に本幹での門脈血流の低下が指摘された. このため短絡血流の増加が意識障害を説明するものと考え, 透析中にアミノレバン®を投与することにより認められなくなった. これまでに透析中の門脈血流中の変化に対する報告はみられず, 今回の門脈ドップラーによる血流の結果は肝硬変合併血液透析患者の特殊性を示し, 意識障害が生じた場合の精査に重要であるものと考えられた.
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