日本透析医学会雑誌
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34 巻 , 1 号
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  • 中井 滋, 新里 高弘, 佐中 孜, 菊池 健次郎, 北岡 建樹, 篠田 俊雄, 山崎 親雄, 坂井 瑠実, 大森 浩之, 守田 治, 井関 ...
    2001 年 34 巻 1 号 p. 1-31
    発行日: 2001/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1999年末の日本透析医学会の統計調査は3,231施設を対象に実施され, 3,220施設 (99.66%) から回答が得られた. 1999年末のわが国の慢性透析患者数は197,213人であり, 昨年末に比べて11,891人 (6.4%) の増加であった. 1998年末から1999年末までの1年間の粗死亡率は9.7%であり, 昨年度よりやや上昇した. 透析導入症例の平均年齢は63.4 (±13.9, ±標準偏差) 歳と一層高齢化し, 透析人口全体の平均年齢も60.6 (±13.3) 歳と60歳を越えた. 透析導入症例における原疾患では, 糖尿病性腎症が36.2%と最も多く, 次いで慢性糸球体腎炎が33.6%であった.
    1999年度は, 逆浸透処理の有無, 透析液エンドトキシン濃度測定の有無, 透析液エンドトキシン濃度, かゆみ, HBs抗原・抗体, HBe抗原・抗体, B型肝炎ワクチン接種の既往, HCV抗体, HCV-RNA, 血清glutamic pyruvic acid transaminase (GPT) 活性, 肝細胞癌・肝硬変の既往, 四肢切断の既往, 脳梗塞の既往, 脳出血の既往, 心筋梗塞の既往, 糖尿病性網膜症・網膜循環障害による失明の有無, 血清総コレステロール濃度, 喫煙本数, 血小板数, 白血球数, C-reactive protein, 身長, body mass index (BMI), 過去1年間の結核の既往, そして血液透析濾過療法の液置換法と置換液量が新たに調査された.
    逆浸透処理の普及率は93.0%であった. 患者数の多い施設ほどエンドトキシン濃度は低い傾向が認められた. かゆみがなく, かゆみの治療も行っていない患者は56.7%であった. HBs抗原 (-) 抗体 (-) が84.7%, HBs抗原 (+) 抗体 (-) が1.9%, HBs抗原 (-) 抗体 (+) が13.0%であった. B型肝炎ワクチンの接種歴を持つ者は2.3%であった. HCV抗体 (+) は16.1%, HCV-RNA (+) は8.2%であった. 肝硬変合併患者は2.1%, 肝細胞癌合併患者は0.6%であった. 血清総コレステロール濃度の平均は162.84mg/dl, BMIの平均は20.61 (kg/m2) であった.
    1.4未満のKt/V, 0.9g/kg/day未満または1.5g/kg/day以上のnormalized protein catabolic rate, 低い%クレアチニン産生速度などが血液透析患者の6年間の中期生命予後に対する危険因子であることが, 比例ハザードモデルによる解析により示された.
  • 浅井 友基, 桑原 道雄, 佐藤 和則, 寺田 典生, 栗原 怜, 米島 秀夫, 秋葉 隆, 丸茂 文昭
    2001 年 34 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2001/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    エストロゲン受容体 (ER) のPvuII, XbaI制限酵素断片長多型が透析患者の骨病変に影響を及ぼしているかを検討した. 患者末梢血から抽出したゲノムDNAを鋳型としてpolymerase chain reaction (PCR) を行い, ERのイントロン1とエクソン1を含む領域を増幅した. 得られたPCR産物を制限酵素PvuII, XbaIと反応して遺伝子多型を決定した. また骨生化学的指標として血清Ca, P, Al-P, tartrate-resistant Ac-P, intact-PTH, osteocalcinを測定するとともにdual energy X-ray absorptiometry (DEXA) 法にて腰椎正面 (L2-L4) および橈骨 (遠位端1/3) 骨塩量測定を行った. PvuII遺伝子多型の分布は, 男性 (n=126) がPP 23.0%, Pp 51.6%, pp 25.4%であり, 女性 (n=81) がPP 19.8%, Pp 38.3%, pp 42.0%であった. XbaI遺伝子多型の分布は, 男性 (n=120) がXX 5.8%, Xx 37.5%, xx 56.7%であり, 女性 (n=78) がXX 9.0%, Xx 38.5%, xx 52.6%であった. 遺伝子多型別に比較した骨生化学的指標は, 男女のどの3群間においても有意差は認められなかった. 腰椎および橈骨骨塩量のZ scoreもすべて3群間で有意差はなかった. 腰椎骨塩量のZ scoreと年齢との相関では, 女性のPvuII遺伝子多型でPP群の回帰直線勾配がPp群, pp群より有意に高値であり (p<0.05), 骨塩量減少率が大きいことが示唆された. しかし, 他群における比較では有意差を認めなかった. 以上, ERのPvuII遺伝子多型が, 女性透析患者の腰椎骨塩量減少に関与する可能性が示唆された.
  • 石光 俊彦, 太尾 泰雄, 細谷 和良, 斎藤 真由美, 谷仲 肇子, 鈴木 武志, 稲田 英毅, 太田 智, 吉井 正義, 明石 真和, ...
    2001 年 34 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2001/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析患者534例を対象として, 死亡や心血管事故の発生につき2年間の追跡調査を行い, 背景因子, 身体所見やACE遺伝子型を含む検査所見との関係を検討した. 2年間で70例が死亡し, うち33例が脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患によるものであった. 非致死性の心血管事故の発生は99件であった. 死亡に関係する因子としては, 高年齢, 糖尿病, 心血管疾患の既往, 体重増加低値, 胸部X線心胸郭比高値, 心電図異常, 血清アルブミン低値, 血液尿素窒素低値, 血清クレアチニン低値, 血清Na低値, 血清K低値, 血漿アンジオテンシンII高値などが有意であった. 心血管疾患の発症については, 男性, 高年齢, 糖尿病, 心電図異常, 胸部X線心胸郭比高値, 血液尿素窒素低値, 血清Na低値などに加えACE遺伝子型Dアレルが有意な危険因子であった.
    透析患者の生命予後については, 食事摂取や運動能などの活動性が良好に保たれていることが重要であると思われた. 心血管疾患の発症に対しては, 高年齢, 糖尿病などの既知の危険因子に加え, ACE遺伝子型Dアレルの存在が寄与することが推測された.
  • 大和 恒恵, 有村 義宏, 吉原 堅, 笠原 仁, 和久 昌幸, 松澤 直輝, 副島 昭典, 中林 公正, 長澤 俊彦, 中本 安
    2001 年 34 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2001/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腹直筋鞘血腫は, 腹壁に生じる大血腫で, 稀な疾患の一つである. 時に重篤な症状をもたらすが, その存在を知らずして診断に至るのは難しい. 我々は, 1998年の1年間で本症を呈した血液透析患者を3例経験した. 年齢は52歳から69歳, 平均63歳, いずれも女性で, 透析中または透析後に腹痛の増悪を認め, 2例では血腫を腫瘤として触知した. 2例はHb値最大3.3g/dlおよび4.6g/dlの低下を認め入院した. そのうち1例はショック状態を呈し輸血を行った. 誘因・素因として, 2例で咳嗽, 2例で高血圧を認め, 全例で透析治療のため抗凝固薬 (heparin sodium) を使用していた. 血腫の診断後はnafamostat mesilateを用いた透析を行い, いずれも予後良好であった. 血液透析患者は, 抗凝固薬使用, 高血圧など腹直筋鞘血腫の誘因・素因を有しており, 本症は血液透析患者において留意すべき合併症の一つと思われた.
  • 上江洌 良尚, 富山 のぞみ, 大城 陽子, 徳山 清之
    2001 年 34 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2001/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は51歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全のため維持透析施行中であったが, 発熱, 悪心, 嘔吐, 筋力低下, 全身倦怠感が持続するため当院へ紹介となった. 発熱を認め, 炎症反応も高値であったが, 感染症を示唆する所見は認めなかった. TSHは0.1μU/mlと低値で, free T3 (9.5pg/ml), free T4 (4.2ng/ml) は高値であったが, 甲状腺自己抗体は陰性であった. テクネチウム甲状腺シンチグラムでは甲状腺へのRIの取り込みは著明に減少していた. 入院後, 高カルシウム血症 (13.2mg/dl) を呈し, 意識障害 (見当識障害) を認めた. 亜急性甲状腺炎と診断し頻回透析を行うとともにprednisolone (30mg/日) を投与開始した. これらの加療により症状は軽快しカルシウム値, 炎症反応はともに正常化した.
    しかしその後, prednisoloneを漸減中止したところ, 再び全身倦怠感が出現したため再入院となった. 再入院時の甲状腺機能は正常であったがACTH (5.1pg/ml) およびcortisol (0.6μg/dl) は著明な低値を示した. 下垂体前葉ホルモン刺激試験の結果よりACTH単独欠損症の合併と診断し, hydrocortisone 20mg/日を投与したところ全身状態は速やかに改善した.
    本症例は糖尿病維持透析患者に亜急性甲状腺炎, ACTH単独欠損症を合併した稀な症例であった. 維持透析患者においてはACTH欠乏による副腎機能低下があっても, 低血圧, 低血糖, 低ナトリウム血症などの特徴的な臨床所見を呈さないことがあるため注意が必要である.
  • 河合 華代, 鍋島 邦浩, 高山 公洋
    2001 年 34 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2001/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は83歳, 女性. 既往に高血圧症と高脂血症あり. 1999年2月8日冠動脈造影検査 (CAG) 実施後, 足趾チアノーゼが出現し, その約3週間後には腎機能障害を認めた. 腎機能は一時改善傾向を示したが, 6月に実施された2度目のCAG後より再び腎不全が悪化し血液透析へ導入となった. その後肝機能障害や動揺性の意識障害が出現, カヘキシアが進行し9月29日死亡した. 剖検所見より多臓器にコレステロール結晶塞栓に伴う血管閉塞像を認めた.
    臓器障害を伴うコレステロール結晶塞栓症 (CCE) の死亡率は高く, その再燃に至っては極めて予後不良であり, 再燃予防が重要である.
  • 鈴木 俊明, 服部 元史, 深沢 哲, 松本 尚子, 近本 裕子, 渡邉 誠司, 白髪 宏司, 甲能 深雪, 伊藤 克己
    2001 年 34 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2001/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    原発性巣状糸球体硬化症 (FSGS) の組織学的バリアントのひとつであるcellular lesionを, 病初期高度に認めた男児例に対して, LDL吸着療法を行い完全寛解が得られたので報告する. 症例は全身性の浮腫で発症し, ネフローゼ症候群を呈した11歳男児で, 腎生検にて原発性FSGS cellular variantと診断した. 経過中ステロイド抵抗性を示したため, LDL吸着療法を開始したところ完全寛解が得られた.
    FSGS cellular variantは典型的FSGSと比較して, 腎機能予後は明らかに不良とされている. しかし一方では, 寛解が得られた場合, その予後は良好であったと報告されている. そのためFSGS cellular variantに対する治療上, 寛解を目指して適切な治療を行うことが重要であるが, 本症例の経験より, LDL吸着療法を早期から積極的に実施する意義は大きいと考えられた.
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