日本透析医学会雑誌
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34 巻 , 10 号
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  • 岡 美智代, 梶浦 尚美, 山本 スミ子, 佐藤 和佳子, 兵藤 透, 日台 英雄
    2001 年 34 巻 10 号 p. 1299-1305
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的: 透析患者の精神状態を良好に保つための対策を講じるためには, 精神状態に関連する他側面との関係構造を明らかにすることが有用である. そこでKDQOL-SFTMを用いて, 血液透析患者の精神状態に影響を及ぼす関連要因を明らかにする研究を行った. 方法: KDQOL-SFTMを用いた自記式質問紙調査を行った. 対象者は, 血液透析患者206名. 内訳は, 通院161名 (昼間透析37人, 夜間透析124人), 入院45名. 男性119名, 女性87名. 年齢54.1±11.5歳 (mean±SD), 透析歴102.1±86.6か月 (mean±SD) であった. 結果および考察: 精神状態の値が高いことと関係があった変数は, Wilcoxonの順位和検定によると通院者, 有職, Kruskal-Wallis検定によると年収あり, 分散分析によるとアルブミン3.6g/dl以上, 血清カリウム5-5.5mEq/l, ヘマトクリット25%以上であり, これらのデータから, 活動性が高く栄養状態の良好な者が精神状態も良好であるといえる. また, 重回帰分析により, 精神状態と有意な関連があった変数は, 身体機能障害による役割制限 (standard beta=0.227, p<0.001), 社会機能の制限 (standard beta=0.216, p<0.001), 睡眠 (standard beta=0.189, p<0.001), 全体的健康観 (standard beta=0.145, p<0.05), 対人関係 (standard beta=0.121, p<0.05), 腎臓病が日常生活へ与える影響 (standard beta=0.114, p<0.05) であった. 特に, 役割や社会機能の制限が少ないこと, さらに対人関係が良好なことが他の変数よりも強い関連がみられたため, 社会との関係性を保つことが, 精神状態を良好にすることにおいて重要と思われる. 結論: 通院, 有職, 年収あり, Alb 3.6g/dl以上, K 5-5.5mEq/l, Ht 25%以上の者で精神状態が良好であった. また, 身体機能障害による役割制限が少ないこと, 社会機能の制限が少ないこと, 睡眠が良好であることが, 精神状態が良好であることに強く影響していた.
  • 岩田 晶子, 安藤 稔, 土谷 健, 二瓶 宏
    2001 年 34 巻 10 号 p. 1307-1312
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者には, 出血傾向を呈する一方で, 血栓症に罹患する頻度も高率であるという, 一見矛盾する2つの病態が同居している. しかしその原因については十分に検討されていない. これまでに, 慢性腎不全患者の血小板では, その表面の糖タンパク (GPIIb・IIIa) 発現の低下があること, それとvon Willebrand因子とのinteractionの障害から血小板の血管内皮への粘着低下が生じることなどが指摘され, その出血傾向の機序はある程度解明されつつある. しかし, 慢性腎不全の血栓形成性に対する血小板の関与については, 報告が少ない.
    我々は, 病的血栓症の発症機序に血小板由来マイクロパーティクル (PMP) が少なからず関係していることを知り, 慢性腎不全患者が血栓を形成し易いことには, このPMPの異常が関与しているのではないかとの仮説を立てた. そこで血液透析 (HD) 患者22例, 腹膜透析 (CAPD) 患者15例の血中PMP数とその質の変化をフローサイトメトリーを用いて, 定量的に測定した. また, HD療法と内シャントのPMP産生への影響についても検討を加えた. その結果, 透析患者の血中PMP数は, 透析方法のいかんにかかわらず, 健常コントロールより増加しており, 特に, Annexin V (凝固因子活性化能の指標), P-selectin (接着能の指標) を発現したPMPが有意に血中に増加していることが判明した. また, こうしたPMP数はHDとCAPD間では差がなかった. 4時間のHD治療の間にPMP数の有意な増加はみられず, シャント血 (内シャント近傍中枢側の脱血用静脈から採取した血液) と, 非シャント血 (非シャント肢の肘静脈から採取した血液) のPMP数の間にも有意差はなかった.
    以上より, 透析患者血中ではPMP数が増加しており, このため血小板の正常止血機能が低下しているとされる透析患者においても, 血栓性疾患の罹患率は高いのであろう. また, PMP数の増加には内シャントやHD治療過程の血小板刺激は関与していないと推察された.
  • 平中 俊行, 木村 英二, 中村 順一, 山川 智之, 金 昌雄, 奥野 仙二, 加藤 禎一
    2001 年 34 巻 10 号 p. 1313-1317
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析用人工血管として新しく開発されたカフ付きグラフトVenaflo®と, 同じcarbon-polytetrafluoroethylene (carbon-PTFE) 製ストレート型グラフトCarboflo®とのランダム化比較試験を行った. Venaflo®症例 (n=30) とCarboflo®症例 (n=30) との間で, 年齢, 性別, 糖尿病合併, 高血圧合併, 抗血小板療法の頻度, シャント手術回数, 透析期間に差を認めなかった. 一次開存率は術後6か月, 12か月においてVenaflo®症例はそれぞれ42.6%, 29.0%であり, Carboflo®症例はそれぞれ72.6%, 42.9%であった. 二次開存率は術後6か月, 12か月, 18か月においてVenaflo®症例はそれぞれ86.4%, 77.6%, 77.6%であり, Carboflo®症例はそれぞれ96.6%, 90.5%, 84.1%であった. 一次開存率, 二次開存率とも両群間で有意差を認めなかった. 術後3か月未満の早期血栓閉塞はVenaflo®症例8例, Carboflo®症例2例に認められ, Venaflo®症例に多い傾向があった. 術後3か月時に試行した造影検査では, 静脈狭窄の頻度に差を認めなかった. Venaflo®グラフトは従来のストレート型carbon-PTFEグラフトと比較して, 開存性の向上や静脈狭窄の減少を認めなかった.
  • 佐藤 長典, 前田 益孝, 椎貝 達夫
    2001 年 34 巻 10 号 p. 1319-1324
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    intact PTH (i-PTH) が低値 (i-PTH<160pg/ml) を示す副甲状腺機能低下症の血液透析患者に対し低カルシウム血液透析 (Ca=2.5mEq/l, キンダリー液AF-3P号®, 扶桑薬品, 東京) を1年間施行し, その影響を検討した. 対象は, 維持透析患者29例 (男性15例, 女性14例) で, 絶対的副甲状腺機能低下症: 13例 (i-PTH<60pg/ml, absolute hypoparathyroidism: A-Hypo) と相対的副甲状腺機能低下症: 16例 (60≦i-PTH<160pg/ml, relative hypoparathyroidism: R-Hypo) に分類した. 血清カルシウム値は低カルシウム透析に変更後, A-HypoとR-Hypoの両群で有意 (p<0.05) に低下した. i-PTHは, 両群とも有意 (p<0.05) に上昇したが, A-Hypoは上昇後も88.3pg/mlと低値であり, 血清ALP値も上昇しなかった. これに対しR-Hypoは, i-PTHが204pg/mlと透析患者の骨代謝に適正なレベルまで上昇し, 血清ALPも有意 (p<0.05) に上昇した. さらに, 両群の血清ALPと骨型ALPの間に有意な相関 (R2=0.884) も確認された. 以上のことから, 低カルシウム透析は, R-Hypoの副甲状腺機能低下症の改善に, 有効であったが, A-Hypoでは改善に至らず, 二群間で異なった病態が示唆された.
  • 大久保 泰宏, 塩崎 裕士, 猪瀬 和人
    2001 年 34 巻 10 号 p. 1325-1328
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    肝性昏睡の増悪因子を特定できない肝硬変合併血液透析患者に対し, カリウム濃度3.5mEq/lの処方透析を行うことで, 意識状態の劇的な改善をみた症例を経験したので報告する.
    症例は65歳, 男性. 肝硬変に罹患していたが, 腎不全を合併し平成11年血液透析導入となった. 平成12年6月意識障害のため入院. 肝性昏睡の診断で分枝鎖アミノ酸製剤, ラクツロース等を投与したが難治性で, 意識障害が続いた. 透析前後のカリウム値がそれぞれ3.5mEq/l, 2.6mEq/lであることから, 低カリウム血症が誘因であると推測した. 経口カリウム製剤を投与したが, 症状の改善はなかった. 透析後に低カリウム血症がさらに増強することが肝性脳症の増悪因子と考え, 透析液のカリウム濃度を3.5mEq/lに調整した処方透析を開始した. 開始後10日目から, 意識は急速に回復し, その後安定した状態が続いている. 肝性昏睡の増悪因子としては, 便秘・消化管出血・門脈-大循環シャントその他が知られているが, この症例ではそのいずれも該当しなかった. 除外診断および臨床経過から, 低カリウム血症が意識障害の誘因となっている可能性が示唆された.
    透析患者で低カリウム血症となる症例は少なく, 同時に肝性脳症を併発するケースはさらに少数と考えられる. しかし, 長期透析患者の増加につれて, 同様なケースが現れてくることが予想される. カリウム処方透析は有効な透析手技の一つであることを念頭に置くことが必要であると考えられた.
  • 増栄 成泰, 斉藤 昭弘, 西野 好則, 高橋 義人, 出口 隆, 栗山 学, 河田 幸道
    2001 年 34 巻 10 号 p. 1329-1332
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    患者は52歳, 男性. 1996年9月に, 慢性糸球体腎炎で腹膜透析 (CAPD) を導入した. 以後, 経過良好であったが, 1997年9月24日, 38度以上の発熱および全身倦怠感を主訴に当科を受診し, 同日入院となった. 血清alphafetoprotein (AFP) は高値を示し, 腹部超音波検査にて多発性の肝内腫瘤を認めた. 経皮的肝生検の結果, 転移性の腺癌と診断された. 原発巣の精査の結果, 胃癌と診断された. CAPDを断念し, 血液透析に変更後, 同年12月9日, 胃部分切除術, CAPDカテーテル抜去術, 肝動注用リザーバー留置術を施行した. 術後, 血清AFPが著明に低下したため, AFP産生胃癌と考えられた. しかし, 転移巣はさらに増大し, 1998年6月に死亡した.
  • 中山 昌明, 栗山 哲, 加藤 尚彦, 早川 洋, 池田 雅人, 寺脇 博之, 山本 裕康, 横山 啓太郎, 細谷 龍男
    2001 年 34 巻 10 号 p. 1333-1337
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    トラネキサム酸 (tranexamic acid: TA) の投与によりCAPD患者の除水量が増加する現象が報告されているが, これを長期間投与した際の除水効果と腹膜機能への影響に関しては不明である. 我々は, 腹膜透過性は正常範囲にあるものの, 臨床的に十分な除水量が得られない3例に対し, 高濃度ブドウ糖透析液を使用する代わりにTAの少量長期間歇投与を試みた (500mg×3days/week, 18か月間). その結果, 全例において除水量の増加が持続して観察された. 少量のフィブリンの析出が-過性に認められることがあったものの, カテーテルトラブルの発生はなかった. 腹膜透過性は, 1例では明らかな変動は認められなかったが, 2例で上昇する傾向を示した. 以上の観察結果より, TAの本投与法は, 腹膜透析患者の除水量増加に対し臨床的に有効であることが示され, 除水不全に対する新たな治療対策となり得る可能性が示唆された. しかしながら, 腹膜機能に与える影響に関しては明らかではなく, さらに検討を重ねる必要がある.
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