日本透析医学会雑誌
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34 巻 , 13 号
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  • 吾妻 眞幸, 宮崎 哲夫, 内藤 秀宗, 依藤 正彦, 藤森 明
    2001 年 34 巻 13 号 p. 1519-1523
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腹膜組織変化の正確な把握は, 硬化性被嚢性腹膜炎の予防に不可欠である. しかし, 組織障害を正確に反映する検査方法や測定項目については, 未だ明らかにはされていない. そこで, 我々は, CAPD開始直後から経年的に上昇を始めるCAPD排液中のIL-6が, 腹膜機能検査や腹膜組織障害の指標となりうる可能性について報告してきた. 今回は, 排液中のIL-6と腹膜組織障害の関連を証明するため, 壁側腹膜を採取できた4症例 (生検群) を対象として, 2.5% PD液2L貯留後の排液中のIL-6の変化を, 組織障害の程度で比較するとともに, 腹膜組織変化がないと考えられるCAPD歴が, 28.2±3.2か月 (mean±SD) の安定した外来通院を行っている10症例をコントロール群として, それぞれの群に2.5% PD2液2Lを貯留し, 貯留開始から1時間毎に6時間目までの排液中のIL-6を測定した. その結果, コントロール群のIL-6値は, 1時間目は測定感度以下であったが, その後は経時的に上昇を認め, 6時間値は29.8±3.6pg/mlとなった. 生検群の4症例ともコントロール群に比して, 貯留1時間値からIL-6が測定可能であり, かつ1時間毎の経時的変化においても高値を示した. 組織変化では4症例とも腹膜中皮細胞下組織の線維化, 中皮細胞の脱落や変性を認めた. 特に腹膜中皮細胞下組織の炎症細胞浸潤, 高度な線維化および血管周囲炎を認めた1例の排液中のIL-6は, 1時間値から24.2pg/mlとなり6時間値は96.4pg/mlまで上昇を認めた. この結果より, 腹膜組織障害があれば, 1時間目からIL-6は測定可能となり, またその障害の程度によりIL-6の分泌量に差を認めることが明らかとなった.
    以上より, 排液中のIL-6は組織障害の程度を判定する有用な指標となる可能性が考えられた.
  • 宗像 昭子, 鈴木 利昭, 新井 浩之, 横井 真由美, 深澤 篤, 逢坂 公一, 松崎 竜児, 三浦 明, 渡辺 香, 森薗 靖子, 権 ...
    2001 年 34 巻 13 号 p. 1525-1533
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 当院で維持血液透析を施行している安定した慢性腎不全患者59名を対象患者として, ベッドサイドにて簡便に使用できるアイスタット・コーポレーション社製ポータブル血液分析器i-STATを用いて, 透析前後で全血イオン化Ca (i-Ca) 濃度を測定し, 血清T-Ca濃度との関係について検討し, 以下の結果を得た.
    1) 透析前後における血清T-Ca濃度, 全血i-Ca濃度は, それぞれ9.43±0.90→10.54±0.70mg/dl (p<0.05), 1.26±0.10→1.30±0.07mmol/l (p<0.0001) と, いづれも有意な増加を示した. 2) Caイオン化率は, 53.43±0.03→49.55±0.04% (p<0.001) へと透析後有意に低下した. この原因として, 血液pHの変化の影響が考えられ, 血液pHとCaイオン化率との間には明らかな負の関係が認められた. 3) 透析前後における, 血清T-Ca濃度と全血i-Ca濃度の関係について検討したところ, 透析前ではy=7.507x+0.015 (r=0.839; p<0.001) と強い正の相関が認められたが, 透析後においては, 全く相関が認められなかった. この点について, pHならびにAlbを含めた重回帰分析法を用いて検討したところ, T-Ca=3.369×i-Ca+5.117×pH-32.070 (r=0.436, p=0.0052) と良好な結果が得られた. 4) 透析前後の全血i-Ca濃度の測定結果から, 容易に血清T-Ca濃度を換算できるノモグラムならびに換算表を作成した.
    以上の結果より, ポータブル血液分析器i-STATを用いた, ベッドサイド (“point-of-care”) での全血i-Ca濃度の測定とノモグラムの利用は, 透析室においてみられるCa代謝異常に対して, 非常に有用であると考えられる.
  • 佐々木 敏作, 脇川 健, 山田 明子, 丸山 禎之, 和田 茂
    2001 年 34 巻 13 号 p. 1535-1541
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血漿交換療法の適応疾患の拡大や, 免疫吸着療法あるいは脂質吸着療法の開発, 進歩により, デュアルルーメンカテーテル (DLC) を使用する機会はますます増加している. しかし, DLCの長期留置に際し, 最も問題となるのは脱血不良である. 我々は以前よりこの脱血不良はDLCの先端形状と密接な関係があることを報告してきた. 今回, 我々が理想とするユニークな先端形状を有するDLC (NiagaraTM) が開発されたので, その特性について他の3種類の異なったタイプのDLCと比較検討した. 凝血塊除去試験の結果, NiagaraTMでは吸引によりほぼ完全に脱血, 返血孔に形成された凝血塊を除去することが可能であった. In vitroにおける血液再循環率はすべてのカテーテルでほぼ同様であった (4%以下). また, NiagaraTMはその径が太いことと挿入試験で抵抗力が大であったにもかかわらず, 実際の挿入に際しては従来のエンドホールタイプのカテーテルと異なりスタイレットを使用することで比較的容易であった. NiagaraTMを使用した15症例のうち1例のみが凝血塊による脱血不良を認めた. 他の14例では定期的あるいは連続的にヘパリン製剤や他の薬剤を注入することなく良好な血流が確保され, 透析は最長37日間連続して行えた. 若干の問題点はあるものの, 現時点ではNiagaraTMは最も優れたDLCであると考えられた.
  • 田岡 正宏, 山本 千恵子, 金 成泰, 高杉 昌幸
    2001 年 34 巻 13 号 p. 1543-1548
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析濾過 (HDF) は慢性腎不全患者体内に蓄積する大分子物質の除去を目的とするが, 液置換が大量になるほど血清アルブミンの漏出が過大となる傾向がある.
    今回, 定圧濾過におけるアルブミン漏出の動態を調べる目的で, 5名の安定維持血液透析患者にポリスルフォン膜を使用し, 血流250ml/分で血液透析およびon-line HDFを施行した. 濾過条件は前希釈法および後希釈法それぞれにおいて膜間圧力差 (TMP) を50, 150, 250, 350mmHgに設定し, 5時間の治療時間中, 経時的に透析排液を採取しアルブミン濃度を測定した. いずれの濾過圧においてもアルブミン漏出は濾過開始時に最大となり, 60分の経過で急峻に低下し, その後は終了まで漸減傾向を示した. 同じ濾過圧であれば後希釈の方が, 前希釈よりもアルブミン漏出量が大きかった. また, 濾過圧が大きいほどアルブミン漏出量は有意に増大した. ただし, 後希釈HDFにおいてTMPを350mmHgに設定した場合は高度の膜劣化による細孔狭小化により, アルブミン損失は150および250mmHgに設定した場合や前希釈法で同じ350mmHgに設定した場合よりも有意に低下した. アルブミン損失を制御する観点から, 漏出が過大となる治療開始後5分間は濾過を行わず, その後60分かけて濾過速度ないしTMPを漸増させ, 以後終了時まで最高の濾過量を確保できる条件に設定すれば, 大量液置換を行いつつ, 1回治療あたりのアルブミン損失量を4g以下に抑えることができる.
  • 天野 栄三, 水田 耕治, 橋本 寛文, 今冨 亨亮
    2001 年 34 巻 13 号 p. 1549-1553
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性, 原疾患は糖尿病. 1995年4月, 血液透析導入. 導入時より慢性C型肝炎, 肝硬変を合併していた. 1997年7月頃よりエリスロポエチン抵抗性の貧血が持続. 定期的上部消化管造影・内視鏡にて下部食道表在癌と診断され, また, 腹部造影CT, 選択的腹腔動脈造影にて肝細胞癌と診断された. 食道癌に対しては放射線療法を行い, 肝細胞癌に対してはSMANCS (styrene maleic acid neocarzinostatin)/TAE (transcatheter arterial embolization) 療法を計3回施行した. 治療後, 上部消化管造影では隆起性病変は消失し, SMANCS/TAE後のCTではリピオドール集積像が比較的良好に認められたが, 次第に肝機能障害増悪, 維持透析継続困難となり, 1999年2月死亡した. 透析患者は細胞性免疫能の低下により, 一般的に悪性腫瘍の発生頻度が高く, 自験例のような重複癌や多発癌の発生する可能性は十分に予想される. 早期診断, 早期治療のためには積極的な定期検査の重要性が強調される.
  • 根木 茂雄, 山際 健司, 小村 隆洋, 柏井 利彦, 秋澤 忠男
    2001 年 34 巻 13 号 p. 1555-1559
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    嚢胞の自然破裂と嚢胞内出血を契機に発見された両側腎細胞癌を合併した多発性嚢胞腎 (autosomal dominant polycystic kidney disease: ADPKD) を原疾患とする慢性血液透析患者を経験した. 症例は58歳, 男性. 透析歴は4年. 1998年7月25日, 自宅にて突然左側腹部痛出現, 改善しないため当院救急外来受診し, 腹部CTにて左腎嚢胞破裂による出血と診断され, 入院となった. 入院後貧血が進行したため, 7月29日左腎摘出術施行, 摘出標本より充実性の腫瘍が認められ, 組織学的にはclear cell subtypeの腎細胞癌と判明した. 8月14日退院となったが, 9月10日, 自宅にて突然右背部から側腹部にかけて疼痛出現, 改善しないため, 当院受診, 腹部超音波検査にて右腎嚢胞内出血と診断された. 9月22日精査目的にて入院, 入院後の血管造影では明らかなtumor stainは認めなかったが, 腎細胞癌の合併が完全には否定できなかったため, 患者の希望もあり10月14日右腎摘出術を施行した. 摘出標本より, 術前の出血部位とは異なる部位に充実性の腫瘍を認め, 前回同様組織学的にclear cell subtypeの腎細胞癌であった. 11月3日退院となり, 現在外来透析施行中である.
    以上の経過からADPKD患者において腎嚢胞の破裂や嚢胞内出血が生じた場合, 腎細胞癌合併の可能性も考慮すべきであると考えられた.
  • 小根森 元, 清水 俊彦, 末永 健二
    2001 年 34 巻 13 号 p. 1561-1565
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) は, 血小板減少症, 細小血管障害性溶血性貧血, 発熱, 神経症状, 腎機能障害を特徴とする疾患である. 近年, 特異的なvon Willebrand因子切断酵素が正常人の血清から分離され, 非家族性TTPは, 自己免疫による後天的なvon Willebrand因子切断酵素の機能不全と考えられている.
    今回我々は, 腸管出血性大腸菌O157感染後TTPの経過中に, 一時的に自己抗体が出現した症例を経験したので報告する.
    患者は50歳の女性で, 腹痛, 下痢, 下血を主訴として当院入院. 入院翌日に便培養でenterohemorrhagic Escherichia coli; EHEC (O157, ベロ毒素産生型) が検出されたため, EHEC感染症と診断し抗生物質の投与を開始した. 入院後第5病日の血液検査で, 貧血 (Hb 11.0g/dl) と血小板数の減少 (2.6万/μl) と血清クレアチニン値の軽度上昇 (1.0mg/dl) がみられた. 検尿では尿蛋白と尿潜血が, また末梢血液像では破砕赤血球を認めた. 同日夜には神経症状が出現したため, TTPと診断し凍結血漿を用いた血漿交換療法を開始した, 血漿交換は計6回施行した. 第6病日の採血で抗血小板抗体PA IgGの高値 (249.0ng/107 cell) とLEテストの陽性を認めたが, 第27病日にはいずれもほぼ正常化した. 本症例から, 腸管出血性大腸菌感染症に続発したTTPにも, 自己免疫が関与していることが推測された.
    TTP/HUS (hemolytic uremic syndrome) の鑑別には, PA IgGなどの自己抗体も有用であると考えられた.
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