日本透析医学会雑誌
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35 巻 , 1 号
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  • 中井 滋, 新里 高弘, 佐中 孜, 菊池 健次郎, 北岡 建樹, 篠田 俊雄, 山崎 親雄, 坂井 瑠実, 大森 浩之, 守田 治, 井関 ...
    2002 年 35 巻 1 号 p. 1-28
    発行日: 2002/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    2000年末の統計調査は全国の3,360施設を対象に実施され, 3,358施設 (99.94%) から回答を回収した. 2000年末のわが国の透析人口は206,134人であり, 昨年末に比べて8,921人 (4.5%) の増加であった. 人口百万人あたりの患者数は1,624.1人である. 1999年末から2000年末までの1年間の粗死亡率は9.4%であった. 透析導入症例の平均年齢は63.8 (±13.9; ±s.d.) 歳, 透析人口全体の平均年齢は61.2 (±13.3) 歳と昨年よりもさらに高齢化した. 透析導入症例における原疾患では, 糖尿病性腎症が36.6%と昨年よりさらに増加し, 慢性糸球体腎炎は32.5%とさらに減少した.
    2000年末の調査では, 降圧薬内服の有無, 透析前後の収縮期/拡張期血圧, 血清HDL-コレステロール濃度, ビタミンD製剤の投与内容および投与量, 炭酸カルシウム内服量, 末梢循環障害に対する各種インターベンション (バイパス手術, 人工血管置換術, ステンティング) の既往, coronary artery bypass grafting (CABG) の既往, percutaneous transluminal coronary angioplasty (PTCA) の既往, 虚血性心疾患に対するステンティングの有無, 喫煙の有無, 初回透析時ブラッドアクセス種類, そしてその作成年月が新たに調査された.
    透析患者全体の降圧薬内服率は60.9%であった. 血液透析患者の血清HDL-コレステロール濃度の平均は47.65±18.47mg/dLであり, 血清アルブミン濃度と正の相関を示したが, body mass indexとは逆相関を示した.
    血液透析患者の中で, 四肢切断の既往を持つ患者は1.6%であり, 末梢循環障害に対するバイパス手術の既往を持つ患者は0.7%であった. また, 血液透析患者の中で心筋梗塞の既往を持つ患者は4.5%, CABGの既往を持つのは1.6%, PTCAの既往を持つのは2.8%であった.
    透析患者の2.0%がビタミンD製剤の経口パルス療法を, 6.0%がビタミンD製剤の経静脈的なパルス療法を施行されていた.
    血液透析の生命予後危険因子に関する解析では, 四肢切断, 心筋梗塞, 脳梗塞, あるいは脳出血の既往を持つ患者に高いリスクを認めた. さらに, 20IU/L以上のGPT, HCV抗体陽性, 肝細胞癌・肝硬変の合併, 10万/μL未満または20万/μL以上の血小板数, 0.2mg/dL以上のC-reactive protein (CRP), 3,000/μL未満または8,000/μL以上の白血球数, 22kg/m2未満のbody mass index, 160mg/dL未満または260mg/dL以上の血清総コレステロール濃度などに高い死亡のリスクを認めた.
  • 松本 尚子, 服部 元史, 深澤 哲, 鈴木 俊明, 大西 麻紀子, 浅野 貴子, 近本 裕子, 永渕 弘之, 高橋 和浩, 渡辺 誠司, ...
    2002 年 35 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2002/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    小児慢性腎不全患者における維持血液透析 (HD) ではブラッドアクセスが大きな問題である. 今回, 小児維持HD患者における長期留置用ダブルルーメンカテーテルの有用性を明らかにする目的で, Hickman Catheter® (Bard社) 使用群とPerm Cath® (Quinton社) またはHEMO-CATH® (Medcomp社) カテーテル使用群間で合併症の種類やその頻度について比較検討したので報告する. 16例の小児慢性腎不全患者 (平均年齢6.2歳, 平均体重14.1kg) で使用された合計19本のカテーテル (Hickman Catheter® 12本, Perm Cath® 2本, そしてHEMO-CATH® 5本) を対象とした. Hickman Catheter®では他の2種に比べて脱血不良や返血圧上昇が, 一方, Perm Cath®やHEMO-CATH®ではカテーテル内血栓, 出口部感染, そしてカテーテルの押出しが合併症として問題であった. 平均留置期間は5.2か月 (0.8-19か月) で, 4本は菌血症や脱血不良にて抜去されたが, 13本のカテーテルは腎移植や腹膜透析への移行のために選択的に抜去され, 残り2本は現在も使用中である. 以上の結果より, 小児のブラッドアクセスとして長期留置用ダブルルーメンカテーテルは有用であるが, その使用に際しては, カテーテルの特性を十分に考慮することが重要と思われた.
  • 古橋 三義, 中島 光好
    2002 年 35 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2002/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の消化性潰瘍に対して, H2受容体拮抗剤は有効な治療薬である. 新規H2受容体拮抗剤であるlafutidineは他剤と比較して尿中排泄率が低く, 腎機能の低下した高齢者〔Ccr: 20-60 (平均45.2) mL/min〕でも, 腎機能の正常な高齢者 (Ccr: 61mL/min以上) および健常成人と同様な未変化体の血漿中濃度推移を示すことが報告されている. そこで今回, 透析患者におけるlafutidineの体内動態について検討した. 透析患者6名 (年齢49-72歳, 透析歴11か月-14年) の非透析時および透析時にそれぞれ, lafutidine 10mg錠を1回1錠投与し, 血漿中未変化体濃度を測定し, ファーマコキネティックパラメータを算出した. また, 透析による除去率についても測定した. 非透析時にはTmaxが0.8±0.1hr, Cmaxが336±40ng/mL, t1/2が6.71±0.30hrを示し, AUC(0-24hr)は2278±306ng・hr/mLであった. 透析時はTmaxが2.6±0.5hr, Cmaxが226±36ng/mL, t1/2が4.57±0.24hrを示し, AUC(0-6hr)は853±128ng・hr/mLであった. 使用した透析膜におけるlafutidineの除去率は7-18%であった. 透析患者においてもlafutidineのt1/2の延長は大きくなかった. Lafutidineの透析患者におけるt1/2 (6.7hr) はlafutidineの投与間隔 (12hr) よりも短く, 他のH2受容体拮抗剤と異なり, 透析患者においても用法を変更する必要はないと考えられた. しかし, 透析患者ではCmaxが健常成人の約2倍に上昇したことから, 用量は低用量から投与開始することが望ましい.
  • 水野 正司, 小林 薫, 中田 敦博, 渡辺 緑子, 鳥山 高伸, 川原 弘久, 松尾 清一
    2002 年 35 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2002/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期血液透析患者において, 心・脳血管障害は合併症の中でも重要な位置を占め, 高脂血症は注目すべき危険因子の一つである. この高脂血症を伴う長期血液透析患者におけるポリスルフォン膜 (PS膜) による脂質代謝の改善効果についての検討, および服用中の高脂血症薬の減量・中止の可能性について検討を行った. 対象は平均透析歴64か月, 食事制限, 服薬コンプライアンスの良好, かつ血中総コレステロール (TC) 値が263±17mg/dLの非糖尿病患者6名 (うち4名はPravastatin sodium (メバロチン®) を内服中) について, 既存のハイパフォーマンス透析膜 (うちCTA膜1例, EVAL膜5例) からPS膜へ変更前, 直後, 1週, 1, 3, 5, 6か月後のそれぞれたついて中2日の透析前に採血を行い血中TC, TG, LDL-C, HDL-C, LDL-TG, HDL-TG, apo-A1, apo-C3等を測定して膜変更前値と比較検討した. 血中のTCはPS膜変更後から下降しはじめ, 3か月後には212±8mg/dLとなり, その後の血中の値に有意な変化はみられなかった. 血中LDL-C, Apo-A1, Apo-C3についても同様に下降した. 対象患者のうち, 高脂血症薬を服用中でかつPS膜に変更6か月後血中TC 180mg/dL以下となった2例について高脂血症薬の減量・中止し, その後の経過をみたところ, 一例は薬剤を中止できこれを継続できた. 他の一例は高脂血症薬中止後再びTCが上昇したため高脂血症薬を再開した. しかし, この症例についてもPS膜へ変更前に比べてTCは有意に抑えられていた. 以上より, 高度の高脂血症を伴う透析患者にPS膜を用いることが脂質代謝改善につながる可能性が示唆され, 内服中の高脂血症薬減量にもつながる可能性が示唆された.
  • 鶴田 良成, 成田 幸夫, 大林 孝彰, 畦倉 久紀, 山崎 純子, 前田 憲志
    2002 年 35 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2002/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    マキサカルシトール (22-oxacalcitriol, OCT) の長期投与により副甲状腺ホルモン (PTH) を管理し得た二次性副甲状腺機能亢進症の2症例を経験したので報告する. 症例1. M. H. 62歳, 男性. 透析歴30年. 原疾患は慢性腎炎. 症例2. H. K. 51歳, 男性. 透析歴26年. 原疾患は慢性腎炎. 症例1へはOCT投与前に経口ビタミンDパルス療法を実施したが十分な効果が得られなかった. 1994年12月後期第II相臨床試験よりOCT投与を開始した. 投与前値はHS-PTH 71900pg/mL, intact-PTH 898pg/mL, ALP 310IU/Lであった. 症例2へは96年3月第III相一般臨床試験より投与開始した. 投与前値はHS-PTH 56000pg/mL, intact-PTH 851pg/mL, ALP 160IU/Lであった. 開始時の投与量は治験に従い, 両症例ともにOCT 1回10μgを毎透析後に静注した. その後は補正カルシウム, リン, PTHをみながら投与量を調節した. 治験終了後, 両症例ともに患者, 治験審査委員会, 厚生省 (当時) の許可を得て2000年9月まで長期継続を行った. 症例1は97年8月頃より, また症例2は97年11月頃よりそれぞれHS-PTHが20000pg/mL以下となり, 以後安定して推移した. OCT投与量は最終的には1回5μgが両症例ともにふさわしかった. またOCT投与中, 過度のPTH抑制と高カルシウム血症の発現に注意を払う必要があった.
  • 深澤 瑞也, 松下 和通, 田邉 信明, 武田 正之
    2002 年 35 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2002/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析において安定した維持透析療法を施行するためには, 内シャントをいかに維持していくかが大きな鍵になる. しかし手術時の血管剥離に伴う外膜損傷や非生理的な血流負荷, 穿刺による機械的な損傷などにより, いくら注意深く管理しても狭窄や閉塞などは起きうる. これに対してblood access intervention therapy (BAIVT) が, 各種デバイスの進歩に伴い近年普及してきている. しかし高耐圧のバルーンカテーテルを使用しても “くびれ (balloon indentation)” が残存し不十分な拡張になってしまうことも時に経験する. 我々はこのような高度狭窄症例に対して, 冠動脈形成術の技術として考案されたparallel wire technique (PWT) に若干の改良を加えて施行している.
    通常のPWTではカテーテルのガイドに用いたワイヤー以外にさらに1本必要であるが, 変法である自己反転式PWT (self reversed PWT: SRPWT) は1本のみで可能な方法である. この方法によりシースはバルーンの適応シースで十分となり, 元法で問題となる施行中の血液ロスもなく施行可能となった. またさらに簡便にSRPWTを施行するため, 先端柔軟長3cmの通常ガイドワイヤーを改良し, 柔軟長5cmを作成し現在施行している. これによって反転させたワイヤーのループ部分がバルーンの拡張長より十分長く得られるようになり, 容易に施行可能となった. PWTは高耐圧バルーン拡張に抵抗するような強固な狭窄に対しても拡張可能であり, さらに簡便に行えるSRPWT本方法は, 手技を断念する前に試行してみる有用な手段であるものと思われた.
  • 橋本 整司, 上田 峻弘, 城下 弘一, 桜井 哲男
    2002 年 35 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 2002/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    急性腎不全を呈した発作性夜間血色素尿症 (PNH) の2例を経験し, その病理所見を質的・経時的に検討した. 患者はハムテストや水砂糖試験でPNHと診断され, 溶血発作のため幾度か輸血治療等を受けていた.
    症例1: 51歳, 男性. 昭和56年2月に高熱と下痢に引き続き乏尿に至り, 約1か月透析施行後に透析より離脱した. しかし, 2年後に敗血症により死亡した. 症例2: 54歳, 男性. 平成11年4月に高熱を機に急性腎不全に陥り, 回復するのに約1か月半の透析を要した. MRIのT2強調画像で皮質が髄質に比べて低信号を示すなど特徴的な所見を得た.
    2症例とも急性腎不全からの回復期に腎生検を行った. その組織所見は類似し, 検索した時点では糸球体に著変なく, 著しいヘモジデリンの沈着を伴った近位尿細管細胞の壊死崩壊像を認めた. 間質は一部線維化し, 萎縮していた. これらの所見は急性尿細管壊死 (ATN) の像であった. これら2症例のPNHの急性腎不全は, 脱水と鉄の処理能力を越えたヘモジデリンの近位尿細管への著しい沈着により惹起されるATNがその本質で, 加えて繰り返す溶血発作による潜在性の尿細管の障害も付加されていると考えられた. 特に剖検例では著明な間質の線維化とリンパ球浸潤を認め, その所見は3年前の腎生検時より進行していた. この間に急性腎不全の既往はなく, 急性腎不全を惹起しない程度の溶血発作でも慢性の尿細管間質障害の進行が示唆された.
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