日本透析医学会雑誌
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35 巻, 12 号
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  • 第47回日本透析医学会シンポジウムより
    重松 隆, 深川 雅史, 風間 順一郎
    2002 年 35 巻 12 号 p. 1479-1485
    発行日: 2002/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 梶川 恒雄, 岩動 一将, 武田 力男, 水野 紹夫, 続 多香子, 清野 耕治, 山内 文俊, 藤島 幹彦, 長根 裕, 細川 久昭
    2002 年 35 巻 12 号 p. 1487-1493
    発行日: 2002/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    【目的】現在の男性血液透析患者の性機能を評価し, リスクファクター, バイアグラTMの効果についても検討する. 【対象と方法】65歳以下の男性透析患者46名 (HD群) と正常男性45名 (コントロール群) にIIEFをもとにしたアンケート調査を行い, 比較検討した. HD群では, 年齢, 透析歴, 体重増加率, DMの有無, テストステロン, 透析前後尿素窒素, プロラクチン, ヘモグロビン, 総コレステロール, 中性脂肪, intact-PTH, β2-MGと, アンケート項目の間の相関を調べ, どの因子がリスクファクターであるかを検討した. バイアグラTM投与を希望した患者のうち5例に, Rigiscanを施行した上で投与し, その効果を検討した. 【結果】HD群は, コントロール群に比べ, アンケートの全項目でスコアが有意に低値であった. しかし, 比較する年齢群を低下させていくと, その差は小さくなり, 40歳未満の比較では, 全項目で有意差を認めなくなった. アンケート項目との相関の検討では, 年齢が6項目, テストステロン, 中性脂肪が4項目, intact-PTHが3項目に相関を認め, リスクファクターと考えられた. バイアグラTMの効果は, Rigiscanパターンが正常型の2例, 短時間型の1例は著効, 平低型の2例中1例は有効, 1例は無効であり, 有効率は80%であった. 重篤な副作用は認めなかった.【結論】男性血液透析患者は性機能障害を合併することが確認された. しかし, 若年層は性機能が比較的保たれていること, 年齢が最も大きなリスクファクターであり, 加齢により正常男性との差が大きくなることが示された.
  • 八木 静男, 榎田 英樹, 仮屋 知, 速見 浩士, 奥 昭一, 北川 敏博, 江田 晋一, 中川 昌之
    2002 年 35 巻 12 号 p. 1495-1501
    発行日: 2002/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の多嚢胞化萎縮腎 (acquired cystic disease of the kidney: ACDK) は高率に腎癌を合併する. 1991年6月から2001年12月までの約11年間に当施設で経験した透析患者のACDKに合併した腎癌症例14例16腎について, 臨床的・病理組織学的検討を行い, 診断・治療上の問題点を中心に考察を行った. 対象の年齢は39歳から75歳, 平均54.5歳, 性別は男性12人, 女性が2人であった. 透析に至った原疾患は, 慢性糸球体腎炎が13例, IgA腎症が1例であり, 糖尿病性腎症はいなかった. 透析方法は, 血液透析13例, 腹膜透析が1例, 透析期間は, 28か月から最長300か月, 平均143か月であった. 診断の手がかりとなったのは, CTが8例, 超音波検査が6例であった. 診断のきっかけになるような自覚症状を伴ったものは4例であり, 血尿が3例, 微熱, 側腹部痛が各々1例であった. 病的骨折部の生検で腺癌が認められ, 原発巣の検索の結果, 右腎癌が発見された症例を1例, 右腎癌に左副腎褐色細胞腫を合併した症例を1例, 両側の同時性および異時性ACDK合併腎癌を各1例経験した. また, 献腎移植希望登録の更新手続きのための受診時に行った超音波検査で偶然発見された症例を2例経験し, 献腎移植希望患者におけるスクリーニングも重要であると思われた. 患側は, 両側性が2例, 右腎が10例, 左腎が2例であった. 手術はいずれも開腹手術で行い, 14腎は経腰的アプローチ, 2腎は経腹的アプローチであった. 手術時間は100分から390分, 平均220分, 出血量は44-1305mL, 平均396mLであった. 症例11は両側性を疑い, 異時的に両側腎摘を行ったが, 後に摘出した左腎には腫瘍は認めず, 術前診断の困難さを改めて認識させられた. 術後合併症はpT4 (膵への直接浸潤) の1例で, 術後にDIC, 心不全を起こし, 術後21日目に死亡した症例を経験したが, 他には特に重篤な合併症はみられなかった.
  • 松下 啓, 田中 寿美, 長友 さやか, 石井 當男
    2002 年 35 巻 12 号 p. 1503-1507
    発行日: 2002/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析患者におけるリハビリテーション (以下, リハビリ) の現況および効果につき, 糖尿病の有無で検討した. 対象は1996年4月から2000年11月までの期間, 入院下においてリハビリを施行した血液透析患者47例で, 糖尿病群19例 (平均年齢66.6歳) と非糖尿病群28例 (平均年齢67.5歳) とに分けた. リハビリを開始するまでの透析期間は, 糖尿病群では50.2±40.1 (mean±SD) 日, 非糖尿病群では97.3±94.4日であり, 糖尿病群で有意に短かった (p<0.05). リハビリの適応となった最も多い疾患は, 脳梗塞および脳出血であった. 入院期間および実質訓練日数は, 糖尿病群で, それぞれ, 106.7±117.8日および74.3±96.6日であり, 非糖尿病群で, それぞれ, 90.1±62.9日および64.6±64.7日であった. 糖尿病群は非糖尿病群に比べ, 入院期間, 実質訓練日数はともに長い傾向にあった. 日常活動能力の指標であるBarthel index (100点満点) はリハビリ前後において2群間で有意差はなく, 2群ともにリハビリにより有意に改善した (糖尿病群: p<0.04, 非糖尿病群: p<0.002). リハビリ前のBarthel indexと入院期間あるいは実質訓練日数との間には有意の負の相関関係が認められた (糖尿病群: r=-0.463, 非糖尿病群: r=-0.490). リハビリ前のBarthel index 59点以下 (18例) と60点以上 (29例) に分けると, 入院期間は, それぞれ, 144.9±100.2日および66.9±65.9日であり, 実質訓練日数は, それぞれ, 120.5±91.6日および36.2±46.5日であった. Barthel index 60点以上の群の方が59点以下の群に比べ, 入院期間, 実質訓練日数ともに有意に短かった (p<0.0005). 以上より, 血液透析患者に対する入院リハビリの効果は, 糖尿病群と非糖尿病群との間で有意な差はなかった. 糖尿病のある透析患者においても, 適応があれば積極的にリハビリ治療を行うべきであろう.
  • 増永 義則, 本間 寿美子, 飯村 修, 宮田 幸雄, 雨宮 守正, 丹波 嘉一郎, 桜井 俊宏, 安藤 康宏, 武藤 重明, 田部井 薫, ...
    2002 年 35 巻 12 号 p. 1509-1514
    発行日: 2002/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的・方法: 1982年から2001年に自治医科大学透析センターで加療したCAPD患者の後ろ向きの調査を行い, 当センターにおけるCAPD療法の治療成績を検討した.
    結果: CAPD患者数122名 (うち男性83名, 女性39名), 導入時年齢48.6±1.3 (SE) 歳, 積極的/消極的導入87/35名, 平均CAPD歴48.2±4.2か月 (転院, 継続中などの打ち切り例を除く), 腹膜炎1.7±0.29回/人, 硬化性被嚢性腹膜炎 (EPS); 5名 (4.1%). 原疾患は, 慢性糸球体腎炎 (75名), 糖尿病 (24名), 腎硬化症 (11名), SLE (3名), 腎孟腎炎 (1名), 腎結核 (1名), アミロイドーシス (1名), 痛風腎 (1名), 妊娠中毒症 (1名), 不明 (4名) であった. 離脱者は75名だったが, 離脱理由は, 腹膜炎/トンネル感染 (32名), 死亡 (18名), 除水不全 (14名) の順で多かった. 死亡は18名だったが, 主な死因は, 脳血管障害4名, 致死性不整脈3名, 心不全3名, 腹膜炎2名などであった. 65歳以上の高齢者, 糖尿病, 消極的導入群で継続期間が短かった. 腹膜炎の発症頻度は1回/39.3患者月で, 90年以前の頻度は1回/21.3患者月に対し, 90年以降は1回/65.9患者月と著明に減少した. 122名の患者のうち5名 (4.1%) がEPSを発症した. 積極的導入例では, 糖尿病群/非糖尿病群で継続率に有意差はなかった. 比例ハザードモデルでは, 腹膜炎の頻度が少ない患者ほど, また, 積極的導入は消極的導入に比べ有意に継続期間が長かったが, 導入時年齢や糖尿病の有無には有意差はなかった.
    結論: 透析液交換システムの改良により腹膜炎の発症頻度や腹膜炎による離脱が減少したにもかかわらず, CAPD継続期間は増加しなかった. 患者の選択を考慮し, 透析液の改良やEPSの克服がCAPD療法の長期継続を可能にする要因と考えられた.
  • 君川 正昭, 岡部 正明, 青柳 竜治, 小幡 紀夫, 寺岡 慧
    2002 年 35 巻 12 号 p. 1515-1521
    発行日: 2002/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者に対して造影検査をする機会が増加しているが, 造影剤にはさまざまな副作用が知られており, 一般的に腎不全患者では検査後直ちに血液透析を施行して造影剤を除去すべきとされている.
    今回大量の造影剤による心血管造影検査を行った維持血液透析患者8名と透析導入前の慢性腎不全患者4名について, 検査後直ちに血液透析を施行し, 透析中の血中ヨウ素濃度および透析導入前の慢性腎不全患者では尿中ヨウ素濃度も併せて測定し, 造影剤の薬物動態について検討した.
    維持透析患者, 透析導入前の慢性腎不全患者とも時間依存性に造影剤は除去され, 除去率は維持透析患者では1時間後平均44.6% (37.1-54.7%), 2時間後平均60.5% (50.6-71.1%), 3時間後平均71.4% (62.6-80.5%), 透析終了時平均85.1% (79.4-95.5%) であった. うち5名の維持透析患者で測定したヨウ素クリアランスは透析開始後15分, 30分で平均110mL/min (100-122mL/min), 113mL/min (100-121mL/min) であった. 透析導入前の慢性腎不全患者で測定した尿中ヨウ素濃度は長時間持続して高濃度で, 検査翌日の尿中にも高濃度のヨウ素が検出された. 造影検査直後の血中ヨウ素濃度は体重当たりの使用造影剤量 (mL/kg) と比較的強い相関 (r=0.82, p<0.001) があった. したがって検査直後の血中濃度をある程度予測することが可能であり, 造影剤除去目的で透析を実施する際に有用と思われた.
    血液透析は造影剤の除去に有効であった. 透析導入前の腎不全患者の尿中には高濃度のヨウ素が検査翌日でも検出され, 腎機能保持のために検査当日だけでなく検査後数日間は経口摂取や輸液等を十分に行い, 利尿により積極的に造影剤の排出を図るべきと思われた.
  • 佐藤 長典, 前田 益孝, 椎貝 達夫
    2002 年 35 巻 12 号 p. 1523-1525
    発行日: 2002/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    骨や電解質代謝の病態においては, 総カルシウムに比し, イオン化カルシウムが, より生理的な関連性が強いことが知られている. しかし, イオン化カルシウムを測定できる検査機器は限られるため, 従来から, 1973年にPayneが報告した式を用いて, 実測血清カルシウム値と血清アルブミン濃度から補正カルシウム値を計算し, イオン化カルシウムを簡便に求めてきた. この補正方法について, 補正項 (Alb-4) の係数の検討や, 透析後の血清カルシウム値との相関を高めるため, pHとAlbを含めた重回帰分析法の検討が報告されている. 今回われわれは, 補正式そのものの必要性を検討するため, 血液透析患者86例についてイオン化カルシウムを実測し, 実測血清カルシウム値や補正カルシウム値と比較, 検討した. その結果, 透析前値における実測イオン化カルシウム値との相関係数 (r) は, 補正カルシウム値がr=0.861, 実測血清カルシウム値はr=0.896であった. 同様に透析後は, 補正カルシウム値がr=0.637, 実測血清カルシウム値はr=0.585であった. このように, 血液透析患者の透析前値において, 実測イオン化カルシウム値との相関係数は, 補正カルシウム値と実測血清カルシウム値が同程度の値を示した. さらに, 1/ (実測血清カルシウム値とイオン化カルシウム値の回帰直線の係数) の値が, 従来から使用されているイオン化カルシウム値 (mmol/L) は血清カルシウム値 (mg/dL) の約8分の1であるという値と一致した. したがって, 血液透析患者における透析前値では, 実測血清カルシウム値からイオン化カルシウム値を判断することが可能であり, 補正カルシウム値を求める必要性はないと考える.
  • 速見 浩士, 森 勝久, 今園 義治, 八木 静男, 川原 元司, 後藤 俊弘, 中川 昌之
    2002 年 35 巻 12 号 p. 1527-1532
    発行日: 2002/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 男性. 1981年1月から慢性糸球体腎炎による慢性腎不全にて血液透析を導入された. 1995年4月から透析時に高血圧発作が出現するようになり, 血中ノルアドレナリンは高値を呈し, CTにて左副腎腫瘍が認められ, また131I-MIBGシンチで同部に集積像が認められたことから左副腎褐色細胞腫と診断され, 同年8月1日に当科入院した. また, CTにて後天性腎嚢胞 (ACDK) と右腎中部外側に径約2cmの充実性腫瘍が認められ, 腹部超音波検査, MRIにてACDK合併腎癌と診断した.
    同年8月31日全身麻酔下, 上腹部孤状切開にて左副腎摘除, 右腎摘除術を同時に施行した. 摘出副腎は病理組織学的に褐色細胞腫であり悪性所見はなかった. 摘出右腎には径2cmの腫瘍が認められ, 腎細胞癌であった. 術後血中ノルアドレナリン値は正常化し, 降圧剤の内服も不要となり術後18日目に退院した. 現在高血圧発作および両腫瘍の再発は認められず, 他院にて週3回の維持透析を施行しつつ経過観察中である.
    血液透析患者に副腎褐色細胞腫とACDK合併腎癌が同時に発見された症例は, われわれが検索した範囲内では本症例が本邦2例目と思われた.
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