分子量の異なる低分子ヘパリン (LMWH), ダルテパリンナトリウム (フラグミン; FR), パルナパリンナトリウム (ローヘパ; LH), レビパリンナトリウム (ローモリン; LM) の特性を出血時間と凝固能から比較し, 臨床での有用性を検討した.
対象は当センターにて透析施行中で, 出血性病変および出血傾向を有する7症例 (男性5例, 女性2例, 平均年齢71.4±11.5歳) とし, 各LMWH, 透析開始時15-20IU/kg, 持続7.5-10IU/kgの投与量にて, クロスオーバーにて各1週ずつ使用した. 臨床評価は, 抗Xa活性, 抗IIa活性, 出血時間, 止血時間, さらに, ダイアライザーおよび回路内の残血の程度からLMWHの有用性を比較検討した.
1. 透析終了時における抗Xa活性/抗IIa活性は, LH, FRに比してLMが有意 (LM vs LH (p<0.001, LM vs FR p<0.01) に高かった. 2. 各LMWHが出血時間に及ぼす影響は, LMとLHにおいて, LMが有意 (p<0.05) に短かった. 3. 抗Xa活性/抗IIa活性と出血時間の関係は, 相関係数r=-0.54と有意 (p<0.05) な負相関を認めた.
LMは, 出血性病変および出血傾向を有する透析症例に対し, より有用なLMWHであることが示唆された. LMWHはどれも同じではなく, 個々の薬剤特性を良く理解し臨床使用することが望ましいものと考えられた.
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