日本透析医学会雑誌
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35 巻 , 6 号
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  • 中條 恵子, 一宮 千代, 大橋 照代, 鈴江 信行, 水口 隆, 水口 潤, 勢井 雅子, 川島 周, 島 健二, 田原 保宏, 中村 尚 ...
    2002 年 35 巻 6 号 p. 1105-1110
    発行日: 2002/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者において, グりコヘモグロビン (HbA1c) 値が血糖コントロール状態を正しく反映しているかを検討し, 反映していない場合, グリコアルブミン (GA) 値がこれに代わりうる指標になるかどうかを検索した.
    対象は, 非透析耐糖能正常 (nonHD-onDM, n=170), 透析耐糖能正常 (HD-nonDM, n=85), 非透析糖尿病 (nonHD-DM, n=16), 透析糖尿病 (ND-DM, n=16) の4群で, HbA1c値およびGA値を測定した. nonHD-DM, HD-DMにおいては, 毎食前, 毎食2時間後および眠前の血糖値から日内平均血糖値を求め, HbA1c値およびGA値との相関関係を検討した.
    nonHD-nonDM, HD-nonDMのHbA1c値 (mean±SD) は4.9±0.3%, 4.4±0.5%で, HD群が有意に低値であった (p=0.0001). nonHD-DM, HD-DM (日内平均血糖値; 217.2±65.4 vs 182.8±44.3mg/dL) のHbA1c値は8.1±2.3%, 5.7±1.3%で, HD群が有意に低値であった (p=0.0027). 特に, 日内平均血糖値高値の群でその差は顕著であった. また, HbA1c値と日内平均血糖値との相関係数はnonHD-DM群に比しHD-DM群で, 明らかに低値であった (r=0.92 vs 0.45). 一方, GA値は, nonHD-DM, HD-DM群間で有意差は認められなかった. HD-DM群においても, GA値は日内平均血糖値と良好な相関関係を示した (r=0.53, p=0.03).
    透析患者の血糖コントロール状態をHbA1c値のみで評価すると, 時に判断を誤ることがある. この場合, GA値で代用し得ることが判明した.
  • 石川 勲
    2002 年 35 巻 6 号 p. 1111-1118
    発行日: 2002/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    著者らは先の第9回アンケート調査に引き続き, 2000年2月に過去2年間に診断された透析患者の腎細胞癌 (腎癌) について再びアンケート調査を実施し, その結果を解析した. アンケートは全国の透析センターを中心に2,924通送付され, 2,042通 (69.8%) の回答が得られた. 今回のアンケート調査では新たに透析患者の腎癌が399例集計され, うち男性は320例, 女性は79例と男性で4.1倍多かった. 腎癌症例の平均年齢は56.1±10.7歳 (平均±標準偏差), 平均透析期間は132.8±85.8か月であった. また診断の手がかりはこれまでと同様, スクリーニングによるものがほとんどで (88.0%), 症状出現によるものは23例 (5.8%) にすぎなかった. 多嚢胞化萎縮腎の合併は報告のあった380例中304例 (80.0%) にみられた. 予後をみると転移は379例中57例 (15.0%), 生存腫瘍なしは281例 (70.4%), 生存腫瘍ありは51例 (12.8%), 腎癌死は42例 (10.5%), 他疾患死は19例 (4.8%) であった. 1999年腎癌取扱い規約に基づく組織型でみると, 報告のあった287例中淡明細胞癌141例 (49.1%), 顆粒細胞癌62例 (21.6%), 嫌色素細胞癌2例 (0.7%), 紡錘細胞癌4例 (1.4%), 嚢胞随伴性腎細胞癌24例 (8.4%), 乳頭状腎細胞癌54例 (18.8%) であった.
    以上より, 今回はこれまでのアンケート調査の中で腎癌例が最も多く集計された. 特に注目される点は, 透析患者の腎癌は205例52.3%が透析10年以上, 54例13.8%が透析20年以上の長期透析例でさらに増加したことである.
  • 吉本 敬一, 飯田 博行, 内藤 毅郎, 青木 周一
    2002 年 35 巻 6 号 p. 1119-1123
    発行日: 2002/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的: 糖尿病性腎症による透析患者の合併症と予後を, 糸球体腎炎および高血圧による透析患者のそれらと比較検討した. 対象と方法: 1991年1月から1995年12月の間に維持血液透析へ導入した, 糖尿病性腎症を原因疾患とする26名 (DM群, 平均年齢58.3歳), 慢性腎炎を原因疾患とする49名 (CGN群, 平均年齢52.2歳) および高血圧による腎硬化症を原因疾患とする16名 (HT群, 平均年齢62.8歳) について, 透析導入後に発症した合併症および生存率を比較検討した. 結果: DM群では, 虚血性心疾患 (p<0.05) および閉塞性動脈硬化症 (p<0.001) の発症率が他の2群に比較して有意に高く, 生存率はHT群に比べ有意差は認められなかったがCGN群に比べて有意に低かった. また, 全体では, 心不全の発症・増悪 (p<0.0005), 重症感染症 (p=0.0005), 悪性新生物 (p<0.01), 脳血管障害 (p<0.05) が死亡危険因子であったが, DM群ではASO (p<0.01) と悪性新生物 (p<0.05) が死亡危険因子であった. 結論: 糖尿病性腎症による透析患者では慢性糸球体腎炎による透析患者に比べて生存率が低かった. また, 心血管系疾患の出現率が有意に高く, 特に閉塞性動脈硬化症が死亡危険因子であった.
  • 大坪 茂, 森 典子, 長井 幸二郎, 松尾 研, 前原 陽子, 新田 孝作, 秋葉 隆, 二瓶 宏
    2002 年 35 巻 6 号 p. 1125-1129
    発行日: 2002/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者において, ポリウレタン製人工血管であるソラテック®人工血管 (Thoratec® Vascular Access Graft, TVAG) とExpanded Polytetrafluoroethylene Graft (Gore-tex® Stretch vascular grafts, E-PTFEG) との開存率の比較を行った. TVAG症例 (n=38) とE-PTFEG症例 (n=23) との間で, 性差, 年齢, 透析期間, 糖尿病合併, 心血管疾患合併, 抗血小板療法の頻度, 抗凝固療法の頻度に差を認めなかった. 一次開存率はTVAG, E-PTFEGそれぞれ6か月で75.4%, 73.7%, 12か月で59.2%, 57.3%であった. 二次開存率はTVAG, E-PTFEGそれぞれ6か月で94.3%, 87.0%, 12か月で75.4%, 66.7%であった. 一次開存率, 二次開存率ともに両群間で有意差は認めなかった. 初穿刺までの期間は, TVAG 15.1±3.8日, E-PTFEG 19.9±5.0日であり, 有意差をもって (p=0.003) TVAGのほうが早期に穿刺可能であった. TVAGは血液透析の人工血管として第一選択となり得るが, 感染に弱い点, 屈曲しやすい点より易感染症例や肘関節をこえる症例ではPTFEGが望ましいと考えられた.
  • 酒井 善之
    2002 年 35 巻 6 号 p. 1131-1134
    発行日: 2002/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    患者は71歳の男性. 1996年1月血液透析に導入. 1997年3月肉眼的血尿が出現し, PSAが37.2ng/mLと異常高値であった. 病理組織診断は前立腺の高分化腺癌で, 臨床病期はT2aと診断した. 8か月間の内分泌治療の後に, 前立腺に放射線治療を行った. 総線量70Gyを, 35回に分割し, 58日間かけて, 120度外側回転振子照射で行った. 1999年4月から, 歩行時に両側鼠径部の痛みを訴えるようになった. 2000年6月に両側の陳旧性大腿骨頸部骨折と診断された. PSA値は1998年5月以降0.5ng/mL以下を維持している. 血液透析患者の場合, 根治的前立腺全摘除術では大量出血は避けられない. 内分泌治療で前立腺癌を治癒させることは困難である. 放射線治療は, ステージT1やT2などの早期の前立腺癌に罹患した血液透析患者には最も適した治療法と考えられる.
  • 丸山 聡子, 朝長 修, 高山 真一郎, 佐藤 賢, 作家 有実子, 武田 將伸, 馬場園 哲也, 松尾 美也子, 松尾 武文, 岩本 安彦
    2002 年 35 巻 6 号 p. 1135-1138
    発行日: 2002/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析導入後, 抗platelet factor 4 (PF 4)・ヘパリン複合体抗体によるヘパリン依存性血小板減少症をきたした糖尿病性腎不全の1例を経験した. 症例は56歳, 男性. 糖尿病性腎症による腎不全のため血液透析を導入した. 初回透析時, 血小板数は20.3万/mm3であったが第7回目には3.5万/mm3まで低下し, 同時期に, 内シャントが閉塞した. 抗凝固剤をnafamostat mesilateに変更, またはヘパリンにaspirinを併用したところ, 血小板数は回復した. 血中にヘパリン依存性血小板凝集因子の抗PF 4・ヘパリン複合体抗体を認めたことから, ヘパリン依存性血小板減少症が強く示唆された.
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