日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
36 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中井 滋, 新里 高弘, 奈倉 勇爾, 政金 生人, 北岡 建樹, 篠田 俊雄, 山崎 親雄, 坂井 瑠実, 大森 浩之, 守田 治, 井関 ...
    2003 年 36 巻 1 号 p. 1-31
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    2001年末の統計調査は全国の3,520施設を対象に実施され, 3,485施設 (99.00%) から回答を回収した. 2001年末のわが国の透析人口は219,183人であり, 昨年末に比べて13,049人 (6.3%) の増加であった. 人口百万人あたりの患者数は1,721.9人である. 2000年末から2001年末までの1年間の粗死亡率は9.3%であった. 透析導入症例の平均年齢は64.2 (±13.7; ±S.D.) 歳, 透析人口全体の平均年齢は61.6 (±13.1) 歳と昨年よりもさらに高齢化した. 透析導入症例の原疾患毎のパーセンテージでは, 糖尿病性腎症が38.1%であり, 昨年の39.0%よりもやや減少していた. 慢性糸球体腎炎は32.4%と昨年の34.7%よりもさらに減少した.
    2001年末の調査では, 透析中最低下時血圧, 透析前昇圧療法, 透析中昇圧療法, 血圧低下に対応するための治療方法が新たに調査された.
    透析導入時のブラッドアクセスと生命予後との関係について解析した結果, 人工血管内シャント, 外シャント, あるいは大血管へのカテーテル留置を用いて透析療法に導入された患者において, 自己血管内シャントを用いて透析に導入された患者よりも有意に高い死亡リスクを認めた. 透析導入時のブラッドアクセス作成から導入までの期間が3-6か月の群に有意に低い死亡のリスクを認めた.
    維持血液透析の生命予後危険因子に関する解析では, 120mmHg未満あるいは180mmHg以上の透析後収縮期血圧, 透析開始から終了にかけての血圧上昇, 30mg/dL未満の血清HDL-コレステロール濃度, そして高い除水速度が死亡の危険因子であることが示された.
    虚血性心疾患に対するインターベンションと心筋梗塞および心不全による死亡との関係について解析した結果, 糖尿病患者では, インターベンションを施行されなかった患者に比べ, PTCAを施行された患者に有意に低い死亡のリスクを認めた.
  • Yasushi Ito, Noriyoshi Murotani, Kazushige Ito, Yukihiro Matsuda, Tsun ...
    2003 年 36 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者の筋痙攣に対し, 芍薬甘草湯の服用が有用であるとの報告がされている. 今回われわれは, この筋痙攣に対する芍薬甘草湯の有効性をみるとともに, 芍薬甘草湯の至適服用法を検討した. 対象は, 透析中および透析後に筋痙攣を経験したことのある慢性透析患者38名とし, 筋痙攣の頻度に応じた服用方法を検討した. 服用法は, 筋痙攣時に頓服服用, 透析開始時に服用, 1日3回定期服用の3通りで検討した. 筋痙攣の強さが減弱したものは38例中21名 (55%), 筋痙攣の時間が短縮したものは27名 (71%), 筋痙攣の頻度が減少したものは21名 (55%) であった. 筋痙攣の強さ, 時間, 頻度のいずれかが改善し, 有効とされた症例は32名 (81%) であった. 有効例32名中26名 (81%) は, 筋痙攣時の頓服による服用が有効であった. また, 筋痙攣の頻度の多かった3名は, 1日3回の定期服用が有効であった. 今回の検討により, 慢性透析患者の筋痙攣に対する芍薬甘草湯の有効性は高く, また頓服の服用法が効果的なことが多いと考えられた.
  • 田中 元子, 伊藤 和子, 松下 和徳, 松下 和孝, 野々口 博史, 冨田 公夫
    2003 年 36 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    二次性副甲状腺機能亢進症は長期透析患者の重大な合併症の一つであり, その治療法として選択的副甲状腺エタノール注入療法 (PEIT) は近年急速に広まりつつある. PEITの治療ガイドラインは深川らにより確立され, その有効性については多くの報告があるが, PEIT後の後療法についてのプロトコールは未だ確立されていない. 近年, 静注ビタミンD誘導体maxacalcitolが開発され, 二次性副甲状腺機能亢進症に対する効果が期待されているが, PEIT後の後療法としての有用性について検討した報告は少ない.
    今回, 私たちは二次性副甲状腺機能亢進症に対しPEITを施行した後の後療法としてmaxacalcitol静注パルス療法を施行し, 副甲状腺ホルモン, 骨代謝マーカー, 副甲状腺体積, 骨密度に対する効果について検討した.
    維持透析施行中でintact-parathyroid hormone (i-PTH) 400pg/mL以上の症例で, 頸部超音波にて1腺もしくは2腺の副甲状腺腫大および副甲状腺内血流を確認でき, PEITについてのインフォームドコンセントが得られた計5例 (男性4例, 女性1例, 平均年齢44.4±12.1歳, 平均透析期間11.6±2.1年) を対象とし, PEIT後の後療法として初回PEIT後翌週よりmaxacalcitol静注パルス療法 (maxacalcitol 5μg/日×週3回) を施行した. 初回PEIT前, PEIT後6か月, 12か月後のi-PTH, 血清Ca, Pi値, Alp, intact-osteocalcin (i-OC), 骨密度, 副甲状腺体積を測定し, その改善度について検討した. その結果, i-PTH, Alp, i-OC, 副甲状腺体積のすべてにおいて初回PEIT前と比較してPEIT後6か月, 12か月後では有意な低下, 縮小を認めた. 今回の結果より, maxacalcitol静注パルス療法はPEIT後の後療法として有用であると考えられた.
  • 永野 伸郎, 小花 幸子, 宮田 そのえ, 小林 奈巳, 阿部 めぐみ, 福島 直, 和田 倫斉
    2003 年 36 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    カルシウム (Ca) およびアルミニウムを含まない新規ポリマー性リン (P) 吸着剤であるsevelamer hydrochloride (sevelamer) の健常人および透析患者で認められる血中コレステロール (CHOL) 低下作用機序を動物を用いて検討した. 正常ラットおよび正常ハムスターにsevelamerを7日間混餌投与し, 血中P, Ca, 総CHOL (T-CHOL), HDL-CHOL, 総胆汁酸 (TBA) 値ならびに糞中TBA排泄量を測定した. また, ラットを用いた試験では糞中PおよびCa排泄量を測定し, PおよびCa摂取量よりそれぞれの吸収率を算出した. その結果, ラットおよびハムスターにおいて, sevelamerの投与により糞中TBA排泄量の増加に起因した門脈血中のTBA値の低下が認められ, かつ, ハムスターでは血中T-CHOL値の低下が観察された. このとき, HDL-CHOL値は影響を受けなかったため, (LDL+VLDL)-CHOL分画の低下が認められた. さらに, ラットおよびハムスターにおいて血清P値の低下が, また, ラットにおいて糞中P排泄量の増加に伴う摂取Pの吸収率低下ならびに糞Ca排泄量の低下に伴う摂取Caの吸収率増加が観察された.
    以上の結果は, sevelamerのP吸着剤としての主薬効を裏付けるとともに, sevelamerが腸管内でPを吸着した結果, 腸管内でフリーのCa2+濃度が上昇しCa吸収が亢進したことを示唆する. また, sevelamerの血中CHOL低下作用は, 消化管内で胆汁酸 (BA) を吸着し, BA再吸収を抑制することに基づくことが明らかとされた.
  • 原田 浩, 新藤 純理, 竹内 一郎, 渡井 至彦, 櫻井 哲男, 上田 峻弘, 平野 哲夫
    2003 年 36 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    【目的】 本邦においては慢性腎不全患者にとって腎移植はいまだに貴重な手術であり, 予定していた手術が中止となった場合の落胆は計り知れない. ここでは腎移植手術を予定し入院したにもかかわらず, 諸理由により延期, 中止を余儀なくされた症例を検討し, 中止原因を追及することを目的とした. 【対象】 1985年の当科開設以降, 諸理由により予定した腎移植を見合わせた18症例 (15例18機会) である. 【検討項目】 これらにつきi) 患者背景, ii) 見合わせた理由 (レシピエント側要因, ドナー側要因, 両者のmatchingによる要因), iii) 転帰を検討した. 【結果】 i) 生体移植予定17例, 献腎移植予定1例. レシピエント年齢; 16-56歳, レシピエント性別; 男性8, 女性10例. 透析期間; 13-108か月. ドナー年齢; 46-78歳, ドナー性別; 男性7, 女性11例. ii) レシピエント側要因: 極度の不安1, 冠動脈硬化1, 脳梗塞1, 異所性カルシウム沈着による心筋障害1, 透析不足によるうつ状態1, 上肢の蜂窩織炎1, 壊死性リンパ節炎1, 肝腫瘍1, 巨大子宮筋腫1例の計9例. ドナー側要因: 内頸動脈狭窄1, 松果体腫瘍1, 腎癌1, HCV感染1, 敗血症1, 逡巡1, 副腎腫瘍 (無症候性pre-Cushing症候群) 1例の7例. 両者matching による要因: 血液不適合症例における抗A抗体価高値1例, 抗B抗体価高値1例. iii) レシピエント側要因により中止となった9例のうち2例はのちに他施設で移植施行, 抗A抗体価高値であった1例も他院で移植を施行されたが, 他は未施行である. 【結語】 慢性腎不全, あるいは血液浄化による合併症の予防, 早期発見, 治療が肝要であり, またドナーの厳重な精査も可能な限りドナー決定の際に行うべきと思われた. またABO血液型不適合の場合, 血液浄化法を駆使し計画的に速やかな抗A・B抗体価の低下措置が必要と考えられた.
  • 金井 秀夫, 野口 俊治, 藤塚 直人, 新屋 博之, 戸塚 芳宏, 義江 健, 橋本 俊英
    2003 年 36 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者ではシャント血管の穿刺およびカテーテルを用いた体外循環が必要であり, ブラッドアクセスに関連した感染症が問題となる. 今回われわれは比較的稀な疾患とされる化膿性脊椎炎を発症し, 経過中傍脊椎膿瘍を合併し右胸膜へ波及, 最終的に整形外科的な手術を必要とした症例を経験した.
    症例は39歳男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全のため1995年7月より血液透析を開始した. 2000年9月1日右内シャントの閉塞のため入院した. シャント修理までの間, 右鼠径部よりダブルルーメンカテーテルを留置し透析を開始したところ, 9月20日より39℃を超える発熱が出現, 血液培養にてMRSAが陽性であった. 9月下旬より腰痛が出現したが抗生物質にて改善し退院した. その後, 約1か月後に突然強度の腰痛が出現し, 再入院した. MRI・Gaシンチの所見より, 胸椎11および12の化膿性脊椎炎と診断し, 抗生物質の投与を開始した. 12月8日突然右胸部痛および呼吸困難が出現, 傍脊椎膿瘍の合併および同病巣から右胸膜への炎症の波及が考えられた. 抗生物質による加療を続けたが, 下肢の麻痺の進行, 脊椎骨病変の進行, 膿胸の増悪などより整形外科的手術の適応と考え, 傍脊椎膿瘍のドレナージ, その後, 後方固定術の処置を行った.
  • 村田 弥栄子, 相馬 淳, 鈴木 健弘, 宮田 正弘, 中山 恵輔, 城田 裕子, 佐藤 博, 佐藤 寿伸, 伊藤 貞嘉
    2003 年 36 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は26歳男性. 1998年11月, 海外でのハーフマラソンに出場し熱中症を生じて, 横紋筋融解症による急性腎不全を合併した. 現地にて2回の血液透析施行後帰国. 空港近くの高次救命救急センターに収容され血液透析を受け, 2日後当院へ転入院した. 当院入院時, 依然乏尿状態にあり, BUN 104mg/dL, Cr 8.1mg/dL, CPK 2,128IU/L, 血中ミオグロビン11,700ng/mLであったためさらに3回の血液濾過透析を行った. その後利尿期 (回復期) に至ったが, 高カルシウム血症 (血清Ca 16.2mg/dL) が出現した. 高カルシウム血症に対し, prednisolone (40mg/日静脈内投与), elcatonin (40単位筋肉注射) と生理食塩水の補液の投与を行ったところ10日後には血清カルシウム値 (血清Ca 10.1mg/dL) は正常化した. これまでの本邦での報告例は少ないが, 横紋筋融解症による急性腎不全の利尿期に時として高カルシウム血症を生じることがあり, 十分な注意が必要である.
  • 内山 浩一, 土田 昌弘, 岸 弓景, 藤川 公樹, 河村 英文, 高井 公雄, 内藤 克輔, 米田 勇, 須賀 昭信, 竹本 雅彦
    2003 年 36 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    異なった治療法である血液透析と腹膜透析を併用する, いわゆるHD+PD併用療法では透析量の定量が問題となる. 今回, HD+PD併用療法時の透析量を週間クレアチニン除去量 (Mw: mass of creatinine removed per week) として評価した. また腹膜透析患者の予後が良いとされる週間クレアチニンクリアランス60L/week 1.73m2に見合う週間クレアチニン除去量を適正週間クレアチニン除去量 (ideal Mw) とし, ideal Mwを満たし血液透析間の体重増加がドライウェイトの5%以内かつ3kg以内となる治療法を適正透析と定義した. 残腎機能による週間クレアチニン除去量, 血液透析による週間クレアチニン除去量を測定し, 腹膜透析によるクレアチニン除去量については, 腹膜機能解析ソフトPDAdequest ver. 2.0上のシュミレーションで予測クレアチニン除去量や予測除水量を算出し, 可能であれば総週間クレアチニン除去量がideal Mwを超えるような処方を選択した. ideal Mw算出はPDAdequest ver. 2.0上で可能であった. 血液透析よりHD+PD併用療法へ移行した2症例について上記の方法で治療計画をたて治療を行ったところ, 血液透析間の3kg以上の体重増加, 腹膜休息時の臨床検査値の危険な上昇は認められなかったが, 腹膜休息の日数を多くすると透析不足となる可能性が高いことが示唆された. 治療計画時の予測腹膜透析除水量と予測腹膜透析クレアチニン除去量は実測値とほぼ一致した. 今回示した治療計画のたてかたは比較的簡便であり有用であると考えられた.
feedback
Top