日本透析医学会雑誌
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36 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第47回日本透析医学会シンポジウムより
    海津 嘉蔵, 今田 聰雄, 吉川 隆一, 河盛 隆造, 片山 茂裕, 宇都宮 一典, 中尾 俊之, 二瓶 宏
    2003 年 36 巻 10 号 p. 1533-1537
    発行日: 2003/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 赤堀 良恵, 須藤 勉, 中野 美佳, 市村 恭子, 大薗 英一, 栗原 怜, 高橋 秀実
    2003 年 36 巻 10 号 p. 1539-1544
    発行日: 2003/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    一般に血液透析開始時にブラッドアクセス穿刺部位の消毒については, 施設ごとに消毒手技が異なり, 標準的な方法は確立されていない. 当院では, 消毒剤を塗布した後, 10-30秒以内に滅菌ガーゼで拭き取るという簡便な手技「ふき取り法」を用いている. この方法で, povidone-iodine (PI) およびchlorhexidine (CH) を用いた場合の消毒効果を, 維持血液透析患者の穿刺部で評価した. 10%PIでは, 12例中11例で消毒後に生菌を認めず, 残りの1例でも生菌数は98%減少した. 一方, 0.05%CHを用いて「ふき取り法」を行った場合, 生菌数を0にできたものは1/7例であった. これらの結果から, 「ふき取り法」による10%PI消毒は有効であると思われた.
  • 岡田 知也, 中尾 俊之, 松本 博, 日高 宏実, 吉野 麻紀, 篠 朱美, 長岡 由女, 竹口 文博, 岩澤 秀明, 外丸 良, 和田 ...
    2003 年 36 巻 10 号 p. 1545-1552
    発行日: 2003/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腹膜透析患者において透析液排液のcancer antigen 125濃度 (dCA125) は腹膜中皮細胞の量を推定するマーカーとして知られている. dCA125の縦断調査を行い, 腹膜炎, 中性透析液使用, 予後との関係を検討した. 対象は70名の腹膜透析患者で, 6か月毎に2.5%ブドウ糖液4時間停滞後の排液から測定した. 観察開始時透析歴は19±25か月 (0-90か月), 観察期間は34±15か月 (12-54か月) である. dCA125と透析期間と有意な関係を認めなかった. 新規導入例21名, 5年以上長期透析例11名における3年間の観察では有意な変化を認めなかった. 中性透析液に変更された8名において, 変更前後で有意な変化を認めなかった. 腹膜炎発症例26名において発症後有意な低下を認めた (発症4か月前23.2±12.1, 9か月後14.4±8.4U/mL, p<0.05). 中止後被嚢性腹膜硬化症発症例6名において中止前2年間で有意な低下を認めた (中止2年前21.7±8.8, 中止時9.0±4.6U/mL, p<0.05). 結論として腹膜透析患者のdCA125は経時的に安定している. 腹膜炎, 腹膜硬化に関連してdCA125の低下を認める可能性があるが, 患者間に共通した病的意義のある変化を捉えることは困難である.
  • 石田 和寛, 木全 直樹, 坂上 貴光, 峰松 祐輔, 岡 享, 三輪 芳久, 川口 敬三, 佐藤 敦司, 金子 岩和, 佐藤 雄一, 峰島 ...
    2003 年 36 巻 10 号 p. 1553-1559
    発行日: 2003/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析療法施行中における急激な血圧変化を早期に発見するための手段として, 日本コーリン社製生体情報モニタ 「Moneo BP-88si) に搭載されている循環モニタリング機能 (harmonized alert sensing technology; HASTE) の有効性を検討した. HASTEとは, 定期的な非観血式血圧測定 (non-invasive blood pressure; NIBP) と, 連続する心電図 (ECG) およびプレシスモグラフの波形情報から, 推定収縮期血圧 (estimated systolic blood pressure; Esys) を連続的に監視し, 急激な循環動態の変化を検知した場合, 自動的にNlBP測定を開始 (HASTEトリガ機能) するものである.
    今回の評価では当院入院患者5例を対象とし, HASTEによるEsysと, 観血式収縮期血圧 (invasive systolic blood pressure; Isys) を比較検討することによりその精度を評価した. その結果, EsysとIsysには強い相関関係が認められた (r=0.81±0.07). また, Isysの血圧変化を基準としたHASTEトリガの起動率を調べたところ, sensitivity 85.7%, specificity 84.6%であった. さらに, NIBP測定点からHASTEトリガ作動点までのIsysとEsysのBP変化率を調べたところ, 両者間において有意な正の相関が認められた (r=0.62, p<0.01). これらの結果から, HASTEは血液透析中の急激な血圧変化を早期に発見するための手段として有効であると思われる.
  • 坂入 徹, 石田 克敏, 野口 俊治, 原田 孝, 吉見 誠至, 仁平 聡, 水間 春夫, 大野 順弘, 長坂 一三, 富岡 眞一
    2003 年 36 巻 10 号 p. 1561-1566
    発行日: 2003/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は, 69歳男性. 慢性糸球体腎炎による慢性腎不全にて近医で血液透析施行中であったが2002年9月9日早朝に意識障害のため当院へ搬送された. 左共同偏視, 水平方向の眼振等を認め, 脳血管障害を疑い, 脳CT, 緊急脳血管撮影を施行したが異常所見を認めなかった. その後著明な低血糖が出現し糖液の静注を頻回に行った. 循環不全のため翌9月10日死亡し, 剖検にて僧帽弁の感染性心内膜炎および脳を含む全身の細菌性塞栓と診断された. 低血糖は敗血症が原因と考えられた. 敗血症に著明な低血糖を伴うことはまれであるが, 慢性腎不全, 肝硬変等の糖代謝異常を呈する基礎疾患を有している場合には合併しやすいことが報告されており, 透析患者の低血糖の原因として敗血症を念頭におくべきと考えられた.
  • 深澤 瑞也, 松下 和通, 寺本 咲子, 宮本 達也, 座光寺 秀典, 荒木 勇雄, 田邉 信明, 武田 正之
    2003 年 36 巻 10 号 p. 1567-1572
    発行日: 2003/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腹膜透析カテーテルの高度位置異常は注排液困難を呈し体重増加等を引き起こすのみならず, 大網に巻き入まれるとカテーテル機能の完全な消失をきたしカテーテル抜去再挿入あるいは血液透析への移行を余儀なくされることがある. このためカテーテル位置異常に対する予防策としてカテーテル形状の工夫や処置としてのα整復術等が考案されてきた. しかし高度な位置異常に対しては効果が限られていた.
    今回われわれは腹腔鏡を用いて行う腹壁へのカテーテル固定術を報告する. これは腹腔鏡でサポートしながら体表よりカニュレを介して固定糸を挿入後, 腹腔内でカテーテルを下向きに固定する方法である. 腹腔内の縫合を要しないために針や鋏鉗子を腹腔内に挿入しないでよく, 特殊な機材はまったく不要である. このためこの方法は簡便かつ安全に施行でき, また万が-にカテーテルを抜去しなければならない事態に陥ったとしても腹腔内の操作なしにカテーテルを抜去できる利点を有する.
    今回この腹壁固定術により新規挿入のカテ跳ね防止を行った1予防症例と, 度重なるα整復術では改善しなかった難治例に対して施行した1治療症例を報告する.
  • 藤田 哲夫, 吉田 一成, 斎藤 毅, 吉田 煦, 馬場 志郎
    2003 年 36 巻 10 号 p. 1573-1577
    発行日: 2003/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎嚢胞内血腫が腎細胞癌との鑑別が困難であった維持透析患者を経験したので報告する. 症例は64歳の男性. 45年前に右腎出血により右腎部分切除術の既往があった. 慢性糸球体腎炎による終末期腎不全のため2000年3月に血液透析導入. その後, 腹部超音波検査で右腎腫瘤を指摘された. 腹部CT・MRI検査では右腎下極の径4cm大の腫瘍は血腫と腎細胞癌との鑑別が非常に困難であった. そのため手術摘除が選択されたが, 術後病理組織学的診断は腎嚢胞内血腫であった. 血液透析患者に発生した腎嚢胞内血腫の報告例は多嚢胞化萎縮腎 (ACDK) に合併するものが多く, 本症例のような画像所見はまれである. 透析中の抗凝固剤使用による易出血性が考えられるが, 詳細は不明である. 血腫は画像診断上, MRI検査が有用だが確定診断は今回の症例では困難であった. 低侵襲的治療をすべきであると考えられたが, 腎細胞癌の合併率が高いことを念頭におき手術切除とした.
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