血液透析療法施行中における急激な血圧変化を早期に発見するための手段として, 日本コーリン社製生体情報モニタ 「Moneo BP-88si) に搭載されている循環モニタリング機能 (harmonized alert sensing technology; HASTE) の有効性を検討した. HASTEとは, 定期的な非観血式血圧測定 (non-invasive blood pressure; NIBP) と, 連続する心電図 (ECG) およびプレシスモグラフの波形情報から, 推定収縮期血圧 (estimated systolic blood pressure; Esys) を連続的に監視し, 急激な循環動態の変化を検知した場合, 自動的にNlBP測定を開始 (HASTEトリガ機能) するものである.
今回の評価では当院入院患者5例を対象とし, HASTEによるEsysと, 観血式収縮期血圧 (invasive systolic blood pressure; Isys) を比較検討することによりその精度を評価した. その結果, EsysとIsysには強い相関関係が認められた (r=0.81±0.07). また, Isysの血圧変化を基準としたHASTEトリガの起動率を調べたところ, sensitivity 85.7%, specificity 84.6%であった. さらに, NIBP測定点からHASTEトリガ作動点までのIsysとEsysのBP変化率を調べたところ, 両者間において有意な正の相関が認められた (r=0.62, p<0.01). これらの結果から, HASTEは血液透析中の急激な血圧変化を早期に発見するための手段として有効であると思われる.
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