日本透析医学会雑誌
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36 巻, 5 号
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  • 第47回日本透析医学会教育講演より
    金澤 良枝
    2003 年 36 巻 5 号 p. 305-310
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 岸本 大輝, 田村 雅人, 塩津 智之, 中村 章一郎
    2003 年 36 巻 5 号 p. 311-315
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高齢者や糖尿病を合併した透析患者の増加に伴い, 定型的な内シャントの作成が困難な症例を経験する機会が増えた. われわれはこのような症例に対して人工血管の使用や直接動脈穿刺を選択する前に, 上腕動静脈表在化内シャント作成手術を行うことが多い. 今回, その術式と成績について報告する.
    1996年1月から2000年12月までの期間に11症例に対して合計15件の手術を行った. 手術は内シャント作成と動静脈表在化の2つの段階に分かれるが, 内シャントの開存期間は手術を一期的に行った場合が平均2.8ヵ月, 二期的に行った場合が平均15.2ヵ月であり, 二期的に行った方が成績は良好だった. また二期的に作成された内シャントの累積開存率は, 1年が63.6%, 3年が27.3%であった. 合併症として, 動脈破裂, スチール症候群, 動脈瘤形成, シャント血流過多を認め, その作成および使用には注意が必要と考えられた.
    上腕動静脈表在化内シャント作成手術は自己静脈を使用した二次的ブラッドアクセスの1つとして有用な方法と思われた.
  • 安藤 亮一, 吉川 桃乃, 山下 裕美, 土肥 まゆみ, 千田 佳子, 井田 隆, 石田 雄二, 秋葉 隆
    2003 年 36 巻 5 号 p. 317-325
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    活性型ビタミンD静注製剤である, マキサカルシトールとカルシトリオールの透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症に対する効果を比較検討した. また, 新たに開発された1-84副甲状腺ホルモン (PTH) のみを測定するwhole PTHの測定を行い, whole PTHおよびC端の不活性フラグメント7-84 PTHへの効果についても比較検討した. 対象は年齢, 透析歴, PTHをマッチングさせた, 各群10例の二次性副甲状腺機能亢進症を有する透析患者である. PTHの値に応じて, マキサカルシトール5あるいは10μgを週3回各透析後に (マキサカルシトール群), また, カルシトリオールを0.5あるいは1.0μgを週3回 (カルシトリオール群) より開始し, intact PTH, whole PTH, 7-84 PTH, 骨型アルカリフォスファターゼ (BAP), インタクトオステオカルシン (iOC), I型プロコラーゲンNプロペプチド (PINP), 補正カルシウム (Ca), リン (P) に及ぼす影響について, 24週間にわたり前向きに比較検討した.
    両群ともに, 4週後にwhole PTHの有意な低下が認められた. カルシトリオール群では, 8週-12週においてPTHの低下が少ない傾向であったが, 薬剤の増量により, 16週以後, マキサカルシトール群と同様に低下した. Intact PTH, 7-84 PTHは, whole PTHと同様の経過を示した. BAP, iOC, PINPも同様の傾向を示したが, カルシトリオール群では有意な低下ではなかった. また, 補正Caは両群ともに増加, Pは変動が大きいが有意な変化を認めなかった. これらの検査値は24週後において, 両群間に有意な差を認めなかった. 薬剤の投与量を調節した結果, 24週後の投与量の比は約7:1であった. 以上より, マキサカルシトールとカルシトリオールは投与量を調節すれば, ほぼ同等の二次性副甲状腺機能亢進症に対する効果が得られ, その効力比はマキサカルシトールを1とするとカルシトリオールで約7に相当すると考えられた.
  • 西條 公勝, 常喜 信彦, 中村 正人, 長谷 弘記
    2003 年 36 巻 5 号 p. 327-334
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析患者の冠動脈病変は高度石灰化を伴うことが多い. Rotational atherectomy (RA) の登場により石灰化病変に対する適応が拡大されてきた. そこでRA後ステントを留置した石灰化冠動脈病変を有する維持透析患者の初期および遠隔期成績, 合併症の頻度についてballoon angioplasty (BA) 後ステントを留置した症例と比較検討した. 当院にてRA施行可能となった1997年7月から2001年12月までにRA後ステントを留置した42症例49病変をRAステント群, 当院でステント留置が可能となった1994年2月からRA開始となった1997年7月までにBA後ステントを留置した17症例20病変をBAステント群とした. RAステント群において糖尿病性腎症が占める割合が有意に高かった. RAステント群において, よりtype B2/C (ACC/AHA分類) の複雑病変が多かった. 初期成功率はRAステント群95%, BAステント群100%と両群とも高かった. 両群ともQ波梗塞, 緊急冠動脈バイパス術は認められなかった. しかしRAステント群において2例死亡した. 6ヵ月の観察期間で再血行再建が必要であった割合はBAステント群35.3%に対してRAステント群では25.0%と10%低かったが有意差は認められなかった. 維持透析患者に対するインターベンションはRAの登場により, 複雑かつ石灰化病変に対する対応が可能となったと考えられた.
  • 中村 敏子, 中浜 肇, 吉原 史樹, 稲永 隆, 中谷 敏, 河野 雄平
    2003 年 36 巻 5 号 p. 335-339
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ドブタミン負荷心エコー (DSE) は, 虚血性心疾患 (IHD) の診断や手術前の心血管系疾患の評価などに有用と報告されている. また, 慢性腎不全や透析患者ではIHDの合併が多い. そこで, 慢性腎不全患者にDSEを行い, IHDの診断に有用かどうか検討した. 対象は慢性腎不全患者40例 (Cre 4.8±0.4mg/dL) (慢性糸球体腎炎12例, 糖尿病17例, 高血圧9例, その他2例) である. 血圧, 心電図, 心エコーをモニターしつつ, ドブタミンを5μg/kg/minから点滴投与し最大40μg/kg/minまで増量し, 虚血に伴う壁運動異常の出現を検出した. ドブタミン40μg/kg/minで壁運動異常が出現しなかったM群 (14例), 壁運動異常が出現したA群 (10例), 不整脈, 頻脈, 血圧上昇や低下のため検査を中断したS群 (16例) の3群が認められた. 血管造影にてIHDの有無を確定診断し得た26例 (M群8例, A群9例, S群9例) の中で, 12例 (M群1例, A群7例, S群4例) にIHDを認め, A群で有意に多かった (p<0.05). DSEは慢性腎不全患者のIHDの診断に有用であると考えられた.
  • 武林 祥裕, 朝倉 久美子, 中島 桂子, 須賀 孝夫, 市川 靖子, 斎藤 明
    2003 年 36 巻 5 号 p. 341-344
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    59歳男性. 慢性腎不全にて1987年5月よりCAPD療法導入となった. 1994年からは腹膜炎のためHD療法へ変更となり維持透析中であった. 1999年11月頃より進行性の両上下肢筋力低下を認め当院紹介入院となった. 頭部CT, MRIにて右頭頂部と左後頭部に膿瘍を認めた. 脳神経外科的に穿頭ドレナージ施行した. 膿瘍は培養の結果ノカルジアであった. 抗生剤, ST合剤を使用し, 血液透析はHDFやグリセオール使用にて脳圧に変化をきたさないように工夫し, 現在は歩行できるまでに回復した.
  • 今村 茂樹, 森 穂波, 豊田 朗, 黒田 豊, 西田 淳二, 山田 茂樹, 田部井 薫
    2003 年 36 巻 5 号 p. 345-351
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析患者では悪性腫瘍の発生率が高いことが知られている. 近年, 非Hodgkinリンパ腫の患者数は増加傾向にあるが, 透析患者における悪性リンパ腫の報告は本邦では7例と少ない. 今回われわれは, 維持透析患者に合併した非Hodgkinリンパ腫4例を経験したので, 報告する.
    症例1: 63歳, 女性. 糖尿病性腎症による腎不全で, 透析歴5年. 左下肢痛, 発熱, 意識障害を主訴に来院. 各種抗生物質にも反応せず, 汎血球減少を伴った異型リンパの出現とLDHの急速な増加を認め, 悪性リンパ腫を疑うも肺胞出血にて死亡. 剖検結果より悪性リンパ腫 (diffuse large B cell) と診断された. 症例2: 80歳, 男性. 透析歴3か月. 発熱, 右大腿部痛にて発症し, 右大腿部腫瘤生検にて, 非Hodgkinリンパ腫 (diffuse large B cell) と診断. 放射線治療を行った. 症例3: 72歳, 男性. 透析歴6か月. 頸部, 腋窩, 鼠径部リンパ節腫脹, 発熱にて発症し, 右鼠径部リンパ節生検にて非Hodgkinリンパ腫 (T cell rich B cell lymphoma) と診断. 半量THP-COP療法にて部分寛解を得た. 症例4: 53歳, 男性. 透析歴3年2か月. 頸部腫瘤, 嚥下困難にて発症し, 生検にて非Hodgkinリンパ腫 (diffuse large B cell) と診断. CPAを減量したCHOP療法施行するも, 18か月にて死亡.
    今後, 透析患者の悪性リンパ腫の増加が懸念されるが, 化学療法の選択について慎重でなければならない.
  • 田中 元子, 伊藤 和子, 松下 和徳, 松下 和孝, 野々口 博史, 冨田 公夫
    2003 年 36 巻 5 号 p. 353-358
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年, 二次性副甲状腺機能亢進症に対する新しい局注療法として副甲状腺内カルシトリオール局注療法 (percutaneous calcitriol injection therapy) が考案され, 注目されている. 副甲状腺内カルシトリオール局注療法の利点として反回神経麻痺のリスクを回避できる点で優れているが, エタノールに比べて効果が劣るために複数回の注入が必要であり, 治療効果については選択的副甲状腺内エタノール注入療法 (percutaneous ethanol injection therapy: PEIT) に比べ有効率が低いとされている.
    今回われわれは, 副甲状腺内カルシトリオール局注療法によりintact-PTHの良好なコントロールが得られた二次性副甲状腺機能亢進症の1例を経験したので報告する. 症例は48歳, 女性. 1980年4月より慢性糸球体腎炎を原疾患とする慢性腎不全のため血液透析施行中であった. Calcitriol経口パルス療法などの内科的治療を行っていたが, intact-PTH上昇 (567pg/mL) およびCa×Pi積の上昇を認め, 頸部超音波検査で副甲状腺両葉下端にそれぞれ1腺ずつ血流を伴う腫瘤を認めたため, 2002年4月2日より週1回, 計3回の副甲状腺内カルシトリオール局注療法を行い, 終了後よりcalcitriol経口パルス療法を開始した. 注入薬剤は, 副甲状腺インターベンション研究会より助成をうけ, Abbott社製Calcijex (1μg/mL) を使用した. intact-PTHは初回副甲状腺内力ルシトリオール局注療法前567pg/mLから1週後で276pg/mL, 2週後で309pg/mL, 3週後270pg/mL, 4週後211pg/mL, 6週後40pg/mL, 8週後169pg/mL, 12週後134pg/mL, 16週後104pg/mLと良好なコントロールが得られた. intact-PTHの低下に伴い, Ca×Pi積の改善および副甲状腺体積の縮小も認められた. 観察期間中, 軽度の局所疼痛を認めるのみで, 高Ca血症や反回神経麻痺などの副作用は認めなかった.
    以上より, 副甲状腺内カルシトリオール局注療法は二次性副甲状腺機能亢進症に対し安全かつ有用であると考えられた.
  • 松尾 博司, 筬島 明彦, 椛島 成利, 下池 朋子, 田村 雅仁, 穴井 博史, 瀬川 賀世子, 鐘江 香, 徳永 昌樹, 中島 康秀
    2003 年 36 巻 5 号 p. 359-362
    発行日: 2003/05/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は53歳女性. 1998年より糖尿病性腎症による慢性腎不全で血液透析導入. 2000年11月11日より発熱, 13日には左側腹部から臀部, 陰部および左大腿部に疼痛・発赤・腫脹が出現し, 握雪感を認めた. 腹部, 大腿部単純写真およびCTにて皮下ガス貯留像を認め, ガス壊疽と診断した. 左側腹部から左大腿部の切開排膿およびデブリートメントを施行した. 術所見より肛門周囲膿瘍が原因と考えられた. 術後はDICを併発し, ショック状態を呈した. CHDFを施行し抗生剤および抗凝固剤の投与に加え, 高圧酸素療法を併用した. 起因菌としてBacteroides属を認めた. 1か月の経過にて同部の炎症は消退し, 植皮術を施行し2001年2月17日に退院した. 糖尿病を基礎に有し, 肛門周囲膿瘍が原因と考えられる血液透析患者の重症ガス壊疽の発症に対し, 集学的治療にて救命し得たので, 若干の文献的考察を加え報告する.
  • 2003 年 36 巻 5 号 p. 370
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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