血液透析のためのブラッドアクセスとして人工血管内シャントは, 長期成績が不良であることが問題とされてきた. しかし, 近年ブラッドアクセストラブルの治療法としてインターベンション治療が導入され, シャントが閉塞する前にアクセス不全を発見するためのsurveillanceも導入されるようになり, 人工血管内シャントの開存成績が向上するものと期待される. そこで, 1996年1月から2000年12月の5年間にブラッドアクセスとして使用した人工血管362本の長期成績を, 2001年12月までの6年間を観察期間とし検討した. 使用した人工血管はexpanded polytetrafluoroethylene製342本, polyurethane製20本で, 植え込み部位は前腕170本, 前腕-上腕78本, 上腕108本, その他6本であった. 経過観察期間中の主要な合併症は血栓閉塞38.7%, 静脈狭窄37.8%, 感染7.2%であり, グラフト廃絶 (89本) の主要な原因は血栓閉塞62.9%, 感染20.2%であった. 全グラフトの開存率は一次開存が術後1年, 2年, 3年, 4年においてそれぞれ48.4%, 32.2%, 20.5%, 13.4%, であり, 二次開存が術後1年, 2年, 3年, 4年, 5年においてそれぞれ, 81.9%, 77.1%, 69.0%, 54.7%, 50.8%であった. 年次別二次開存率は, シャント狭窄に対するsurveillanceとインターベンション治療の導入後向上しつつあり, 今後さらに向上することが期待される.
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