日本透析医学会雑誌
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39 巻 , 12 号
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  • 長見 英治, 山崎 英隆, 深井 岳志, 山田 恵子, 沼野 宏子, 山見 暁, 守尾 友宏, 新井 貴士, 長島 正, 桑田 昇治, 角替 ...
    2006 年 39 巻 12 号 p. 1573-1579
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Acetate free biofiltration (AFBF) の血圧保持は166 mEq/LのNaHCO3補充液による高Na効果だと指摘がある. 今回われわれは安定維持透析患者10名に, 血液透析 (HD), 高Na透析, 血液透析濾過 (HDF), AFBFを実施し, 収縮期血圧 (SBP), 血漿Na濃度, 血漿浸透圧, 透析液および全量貯留したNa排液量を測定しAFBFの高Na効果およびその有用性について検討し以下の知見を得た. AFBF施行時の4時間目SBPはHDと比較し有意に高値で, 高Na透析およびHDFとの比較においても最も高値であり, 今回の結果からもAFBFの血圧保持効果が認められた. AFBF施行時の血漿Na濃度は経時的に上昇し, 4時間目は144 mEq/LでHDの4時間目と比較して有意に高値を示していた. またNa出納量 (推定値) においてAFBFはHDFと比較し有意に多くNaが体内に付加されていた. これは1.5L/h持続注入される166 mEq/LのNaHCO3補充液によるものと思われる. この点がAFBFにおける高Na効果だと指摘をうける要因である. 一方, AFBFにおけるNa排液量は高Na透析と有意差はなく, HDおよびHDFと比べて有意に高値だった. これはAFBFにおいてNaは1.5L/hの限外濾過と比較的低濃度 (139 mEq/L) の透析液側に流れるバイフィルーSによる拡散にて除去されていると思われた. さらに高Na効果の指標として重要な血漿浸透圧ではAFBFは高Na透析のように上昇せず, 経時的に低下傾向を示していた. 以上よりAFBFの血圧保持は166 mEq/LのNaHCO3補充液による高Na効果だけでなく, HDF効果および酢酸を使用しないことによる末梢血管の拡張抑制効果によっても血圧は保持され, 酢酸の体内付加がないAFBFは臨床上有用である可能性が示唆された.
  • 原 道顯, 坂本 力也, 澤村 啓史, 田添 友美
    2006 年 39 巻 12 号 p. 1581-1585
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    棚置き型コンソールDCS-26を用い, 起震装置上で震度4-7, 20秒間の地震実験を行い, カウンターと以下の底面素材に対する地震の影響を, コンソールの飛び跳ね (ユレ) と水平移動 (ズレ) により評価した. (1) 標準仕様鎖1本後方固定, (2) 標準仕様鎖2本前後固定, (3) ゼリー状クッション, (4) ゴム20mm厚, (5) 低摩擦性製作足A, (6) 低摩擦性製作足B (摩擦係数B<A), (7) 低摩擦性製作足B鎖2本前後固定. (3)-(6) は鎖1本後方固定. 実験の結果, 標準仕様のコンソールは震度5以上で動き出した. (2) と (4) では震度5でのユレの低下がみられたが, 震度6, 7では効果がなかった. ゼリー状クッション (3) は震度5以下では十分な効果を発揮したが, 震度6, 7では剥がれてしまった. 低摩擦性製作足は全震度で驚くほどユレの低下がみられたが, 震度4でも水平移動がみられた. (5) (6) の鎖固定は可動範囲の制限に効果があった. (7) の鎖2本固定は可動範囲をさらに狭くすることができた. さらに, 低摩擦性製作足ではコンソール自体にかかる衝撃を軽減できた. 以上より, 鎖固定で可動範囲を制限し低摩擦性底面素材による免震機構を加味した耐震方法は地震対策として極めて有効と考えられた.
  • 中村 みどり, 寺脇 博之, 中山 昌明, 伊藤 貞嘉
    2006 年 39 巻 12 号 p. 1587-1592
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    [目的] 腹膜透析患者における食塩コントロールの必要性は本邦で広く認識されている. しかし具体的に推奨されている食塩コントロール基準, そしてその準拠する基礎データに関して, 詳細は不明である. そこで, 食塩コントロールに関する国内医学情報を網羅的に検索し, 記載内容を確認した. [方法] 本邦において1981-2005年に発行された, 腹膜透析患者の食事コントロール内容に関する医学情報を, 医学文献データベース (医中誌Web, 和文のみ) およびハンドサーチにて網羅的に収集した. 収集された医学情報74件 (書籍33冊・学会誌論文4編・商業誌論文37編) を解析の対象とした. [結果] 食塩コントロールの重要性を強調する情報が経年的に増加している一方, 具体的な基準を示さない医学情報も少なくないことが確認された. 具体的な基準を示す医学情報では, 日腎ガイドライン (尿量100mLあたり0.5g+除水100mLあたり0.75g/日) を推奨するものが最多であったが, その比率は29.7% (22件) にとどまっていた. さらに, その他の医学情報では推奨内容に大きな差異が認められた. これら具体的基準の医学的根拠はいずれの資料にも確認することができなかった. [結論] PD患者に対する食塩コントロール基準について, コンセンサスは得られていない実態が明らかになった. 本件に関する臨床エビデンス, それに立脚した食塩コントロールの基準策案が急務である.
  • 丸山 栄勲, 高原 健, 右梅 貴信, 木浦 宏真, 東 治人, 上田 陽彦, 勝岡 洋治, 高橋 朗, 柴原 伸久, 井上 徹, 伊藤 奏
    2006 年 39 巻 12 号 p. 1593-1596
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の多嚢胞化萎縮腎 (acquired cystic disease of kidney; ACDK) に発生した両側同時性腎癌に対してハンドアシスト腹腔鏡下両側腎摘除術を施行した1例を経験したので報告する. 症例は44歳, 男性. 慢性腎不全で14年の透析歴がある. 2003年10月に腎のfollow up CTでACDKに混在する腫瘤性病変の疑いを指摘され当科を紹介された. 造影CTおよび, 造影MRI検査にて両腎に造影効果のある腫瘍性病変を認めた. 両側同時発生の腎細胞癌の診断で2003年12月8日, ハンドアシスト腹腔鏡下両側腎摘除術を施行した. 病理組織学的診断は両側腎腫瘍ともRCC, G2, v(-), INFα, pT1aであった. 術後24か月を経過した現時点において再発転移は認めていない.
  • 粕本 博臣, 平岡 敬介, 和泉 雅章, 岡 聡子, 海部 久美子, 八尋 真名, 豊田 和寛, 中西 健, 中川 清彦, 不動 明子, 杉 ...
    2006 年 39 巻 12 号 p. 1597-1602
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者に収縮性心外膜炎を発症した1例を経験した. 症例は56歳, 男性. 32歳時より慢性糸球体腎炎由来の慢性腎不全のため透析中であった. 今回, 食思不振, 嘔気が出現, 腹水, 下肢浮腫も認めたため, 精査加療目的にて当院入院となった. 胸部X線にて心外膜の石灰化があり, 心臓カテーテル検査にて右室圧曲線でdip and plateauパターンを認めたため, 収縮性心外膜炎と診断した. 目標体重を下げていく過程でも心胸郭比 (CTR) 46%と変化を認めなかったが, 腹水, 下肢浮腫は改善傾向にあった. 目標体重を下げるも心機能の改善を認めず, 透析中の血圧低下も改善されなかった. 原因は収縮性心外膜炎と考え, 心外膜剥離術を施行した. 術中所見でも, 心外膜石灰化を認め, そのために心室拡張障害が生じ, 心拍出量低下, 血圧低下をきたしたと考えられた. 病理組織所見では心外膜の強い石灰化と線維性肥厚, 石灰化を貪食しようとする多核球の浸潤を認めた. 乾酪壊死の所見は認めず結核性は否定的であり, 特発性収縮性心外膜炎と考えられた. 術後は, 血圧, CTR, 左室駆出率, 心拍出量ともに増加し, 経過良好であった. 透析患者に収縮性心外膜炎を合併すると, 心室拡張障害により高頻度に透析中の血圧低下を認める. 安定した透析を行うためにも早期に心外膜剥離術を施行し心機能の改善を図る必要があると考えられた.
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