重症な副作用が以前にある患者では, ヨード造影剤を使用することができない. そのため, ヨード造影剤禁忌患者の透析シャントトラブルに, 炭酸ガス (carbon dioxide以下CO
2) を用いた経皮的血管形成術 (percutaneous transluminal angioplasty以下PTA) を経験したので報告する.
CO
2によるPTA (CO
2-PTA) は, 患者6人に合計23回行った. IVUSを併用した1症例では, CO
2との血管径を比較検討した. 2症例は, CO
2のみでPTAを行った. 過去にヨード造影剤でPTAを行ったことがある3症例は, 以前のX線撮影を参考にCO
2-PTAを行った.
6人の患者は, 全てCO
2で検査することが可能であった. CO
2とIVUSの横径の比較では, 狭窄1の拡張前で11.1%CO
2がIVUSよりも広く評価した. 狭窄1の拡張後, 狭窄2の拡張前後では, 2.2%から47.4%CO
2がIVUSより狭く評価された. バルーン選択部の非血栓性閉塞近位正常径では, 6.4%CO
2がIVUSよりも広く評価 (過大評価) された. また, バルーン選択部の狭窄1・2の正常径では, 6.3%CO
2がIVUSよりも狭く評価 (過小評価) された. 10%以内の過大評価は, バルーン選択には問題なく, 過小評価では拡張が不十分であればバルーン径のサイズアップを行えばCO
2によるPTAは可能である.
バルーン選択の誤差は±6.4%以下と小さいことから, CO
2-PTAは可能と考えられた.
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